60年代にテレビ放映されていた「それゆけスマート」の映画化作品。以前に一度、『0086/笑いの番号』として劇場版が作られていたので、これは第2弾という事になりますが、主演も代わっているので、新生第1弾といった方がイイみたいですな。
しかし、まさか今世紀に入って新しい「それゆけスマート」が観られるとは思ってもいなかったので、感慨ひとしおですな。テレビ・シリーズ版は、リアルタイムではなく70年代の深夜にやっていた再放送で観てました。リアルタイムでも観た事はある筈ですが、あまりに幼少の頃なので、覚えていないんですな。とにかく面白かったですな。毎回大笑いしていたのが思い出されます。後にメル・ブルックス映画と出会って、このテレビ・シリーズの脚本を書いていたのを知った時は驚きました。どおりで面白かった筈ですな。後のブルックス映画に通じる笑いのセンスが満ち溢れていましたっけ。特に主演のドン・アダムスのキャラクターに負う所大でもありましたが、ブルックス流ギャグとアダムスのキャラとのコラボレーションが見事花開いた傑作でしたっけ。
で、それはそのまま『0086/笑いの番号』にも引き継がれて、映画版になってもテンションは変わっていなかったですが、さて色んな意味でリニューアルされた今回の映画版、皆さんは如何ご覧になったでしょうか。スティーブ・カレルのマジメくさった演技がなかなか良く、このキャラにピッタリでしたな。あと、相棒の99号を演じたアン・ハサウェイ。イイですな。まず名前がイイ。アン・ハサウェイって、何か60年代風の名前ですな。最初、往年の大女優が出てるのかと思っちゃいました。そもそも“アン”なんて名前は今時使っている人はいませんな。アンといえば、アン・フランシスとかアン=マーグレットしか思い浮かびませんからな。あとはアン・ルイスぐらいですか。みんないなくなっちゃいましたな。そんな事はありませんな。アン=マーグレットは好きでした。最近観ませんな。
そんな事はともかく、一つだけ、断固これだけは言っておきたい事があります。上司役にアラン・アーキンが出ていて、後半になって登場する大統領役に扮しているのがジェームズ・カーンなんですな。分かりますか? ジェームズ・カーンとアラン・アーキンですゾ! ジェームズ・カーンとアラン・アーキンと言えばフリービーとビーンじゃないですか! そう、あの名作『フリービーとビーン大乱戦』の刑事コンビですゾ! その二人が34年ぶりに顔を合わせているんですゾ! 二人が並ぶショットもあって、その時はおそらく「やぁ、ビーン!」「ナンだ、フリービーじゃないか!」「元気か?ビーン」「元気だよ、お宅は? フリービー」「元気いっぱいだヨ、久しぶりだなビーン」「ホント、久しぶりだな、フリービー」「元気だったか、ビーン」「さっき答えたよ、フリービー」「オマエ、まだ居たんだな、ビーン」「オマエも居たのかよ、フリービー」「こんな所で何やってるんだ、ビーン」「オマエこそ何やってるのよ、フリービー」……という会話が成されていたに違いないですな。
なのに、なのになのに、この件についてパンフレットの何処にも書かれてないし、映画評論家(映画ライター)が3人も寄せているのに誰もその事を指摘している人がいないとは一体どういう事なのか!? そもそもパンフに載ってる二人のフィルモグラフィからも抜け落ちているとはどういうこったい! ジェームズ・カーンといえば『ゴッドファーザー』に『ローラーボール』に『フリービーとビーン大乱戦』だし、アラン・アーキンといえば『愛すれど心さびしく』に『クルゾー警部』に『フリービーとビーン大乱戦』と相場は決まってるじゃないですか! ましてや『フリービーとビーン大乱戦』は、この映画と同じワーナー映画なんですゾ! 今のワーナーには、『フリービーとビーン大乱戦』の事を知っている人はいないという事なんですな。寂しいですな。今の世の中はホント、おかしいですな。何か、間違ってますな。 (★★★)
Get Smart
テクニカラー/1.85=パナヴィジョン(カメラ&レンズ)/ドルビー・デジタル/DTS/SDDS/108'44"
●なんばパークスシネマ・シアター8/ネット先売券(¥1200)/ガラガラ(20:25からのレイトショー)

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