地雷と分かっていながらも、それでも「ひょっとして…」という淡い期待も少しあったりして、恐る恐る観たのでしたが、やっぱり地雷でした。パニック映画好きなので、これとか『252━生存者あり━』とか、つい観てしまうのですが、ナンか良い様にあしらわれてしまったみたいで、ほとほと脱力してしまいますな。
オープニングが『アウトブレイク』や『L Change tha World』ソックリで、東南アジアの小さな村がウィルス発祥の地という導入部は、この手の映画の常套手段になってしまいましたな。毎回、アジアの村を容疑者扱いしてしまう事に、ある種の差別意識を感じてしまうのも気になりますが、他に何か考え付かないのでしょうか。
内容というか、ストーリーや展開は、地雷覚悟だったので、ある程度の予想はついていましたが、まさかこんなにスケールの小さな話だったとは意外でした。後半、少しだけタイだったか何処かへ出張するシーンはありましたが、他はほとんど一つの病院が舞台になるだけ。『アウトブレイク』のようにアクションでもあればまだ楽しめるんですが、それもナシ。思った程のパニック描写も無かったし、“感染列島”というタイトルは、かなり水増しされてますなぁ。
それより何より気になったのは演技陣の芝居の下手さ加減でしたね。特に主演の妻夫木聡のヘタッピな演技にマイりました。彼の映画は『ウォーター・ボーイズ』ぐらいしか観た事がありませんが、こんなにヘタだとは思いませんでした。特にセリフ回しがダメダメですな。もう棒読みそのものという感じで。大声を出すところは誤魔化せるものの、普通に喋ってるシーンが全然ダメでした。
で、さらにそれに輪を掛けてダメだったのが、相手役の壇れい。宝塚出身らしいですが、基本的に演技の基礎が出来ておりませんでした。なので、リアリティゼロで感情表現もゼロ。本人は一生懸命セリフを覚えて喋っているんでしょうけど、こちらには何も伝わってきませんでした。
そもそも、こんな芝居ベタな二人が主演して、映画が面白くなる訳がないですな。話題作りか何か知りませんが、作り手に、面白い映画を作ろうという気概が全く感じられませんでした。話は二番煎じではあるけれども、話の膨らまし方やちょっとした工夫で、もうちょっと面白くなりそうなもんですけどねぇ。とりわけタイの島のエビの養殖工場のシーンは、ゾンビ映画風味が漂っていて、なかなかグーだったんですけどねぇ。あそこをマツール島的な設定にして、『サンゲリア』の姉妹編として撮れば面白かったと思うのですが。どうせなら、そこまでハジけて欲しかったですな。 (★★)
カラー/1.85/ドルビー・デジタル/136'42"
●TOHOシネマズ梅田・シアター1/無料(ポイント鑑賞)/ガランガラン(20:00からのレイトショー)

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