「旅客機の墜落事故で何人かが生き残った…」という設定だけ聞いて、原作者はあの人かなぁと、公式サイトのスタッフ欄を懸命に探したんだけど、見付からなかった。どうも原作ものではないらしい。でも、イギリス系のスタッフが多い事が引っかかった。あの小説の作家もイギリス人だったし。そういえば70年代に一度映画化された時もイギリス映画だったよなぁと思ったけど、あとで調べたらオーストラリア映画だった。ま、それはヨシとして、どうもあの小説の事が気になって、それを確かめる為に映画を観に行ったのだが…。
あ〜、やっぱり…。ちょっとアレンジしてあったけど、予想通りのオチだった。まさしく、あの小説そのままのストーリーだった。あの小説とは、ジェームズ・ハーバートが書いた「サバイバー」。「鼠」「霧」に次ぐ3作目で、前2作とはアプローチを変えたこれまた恐ろしい小説だった。後に映画化されたのは前述の通り。日本では残念ながら未公開で、ビデオでリリースされた際のタイトルは『ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー』というもので、テレビ放映時は『墜落大空港』という恐ろしい邦題だったっけ。勿論、このオチはこの小説オンリーのものではなく、映画に限って言うと、『恐怖の足跡』が元ネタというのが大方の意見ですな。って事は、『シックス・センス』や『アザーズ』等もこのジャンルに入る訳で、今回のこの映画も、当然ながら、その仲間入りを果たす訳で…と言ってしまうと、どんな話か大体見当がつきますな。
ナンでこんな使い古されたネタをまた映画にしたんだろうというのが最大の疑問ですな。確かに多少捻りは利かせてあるとはいうものの、観終わった後の感想は「ナァーんだ」で終わってしまいそうだし、配給会社は一応これをラブ・ストーリーものとして売ろうとしているみたいだけど、それなら“衝撃のラスト・シーン!”なんて惹句は要らないんじゃないかと思ってしまいますな。むしろ無い方が、ショックが大きかったりしますしね。
という事で、これは完全に売り方を間違えましたな。パクリだとは言わないまでも、「またか…」という感は強いですし、よく似た設定でも、最後は違う方向へ話を持っていくみたいな創意工夫が必要だったと思いますな。アン・ハサウェイが頑張っていただけに残念ですな。(★★★)
Passengers
デラックス・カラー/2.35/ドルビー・デジタル/DTS/SDDS/91'42"
●TOHOシネマズ梅田・シアター5/ネット先売券(¥1200)/約半分(21:15からのレイトショー)

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