『タイタニック』以来のジェームズ・キャメロン監督の新作。という事で、別に期待していた訳ではないんですが、一応話題に乗り遅れないようにと、前夜祭からして観に行ったんですが、ナンていうか、まさかこんな幼稚な映画だったとは…。
ジェームズ・キャメロンって、監督としては一流かも知れませんが、脚本家としては小学生レベルの才能しか持ち合わせていないんじゃないかと、観ていてずっと気になってしょうがなかったですな。だって、今までの監督作って、ほとんど自分で脚本も書いてますが、1本たりともオリジナル作品が無かったですからな。例を挙げてみましょうか?
デビュー作の『殺人魚フライング・キラー』は『ピラニア』の続編だったし、『ターミネーター』はTVシリーズ「アウター・リミッツ」のエピソードのパクリだったし、『エイリアン2』は『エイリアン』の続編、『アビス』は『未知との遭遇』の深海版、『ターミネーター2』は『ターミネーター』の続編、『トゥルー・ライズ』はフランス映画のリメイク、『タイタニック』は多数あるタイタニックものの一種で、ストーリーはまんま『ロミオとジュリエット』…と、どれをみてもオリジナル性に富んだ作品はなく、全て続編・パクリ・リメイク・モノマネのオンパレードという具合。どうでっか?
そのキャメロンが、映画史上初めて、オリジナル作品に挑んだという事で、ある意味注目していたのがこの作品で、それがこのストーリーですからね。「どうしたんだ、キャメロン…」と絶句しかかりましたです。どこをどう練ったら、こんなストーリーが考え出されるのか、不思議でしょうがなかったですな。
地球軍が、資源を得る為にある星の土地を侵略しようとするが、そこには先住民がいてなかなか困難。よし、お前らは先住民に化けて敵方に潜入しスパイしろ。そして弱点を見つけたら我々に報告して、そこを一気に攻めるんだという作戦を敢行。ところが、スパイしていた人間達が、敵方の真心に触れ、考え方を180度変えた為に立場が微妙になり、両方から裏切り者扱いされてしまう始末。そして…という、多分、こんな話だったような。これって、今までにも何度か目にしたストーリーですな。結末は異なれど、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』とか『ラスト サムライ』とか、これと似た話だったような。まぁ大筋は許すとしても、もうちょっと意外性とか捻りが欲しいものであったと思われますが、ホント、これだけですもんね。これで2時間40分は辛いですな。
一応3D映画として作られておりましたが、こんな他愛無い話を3Dで作られてもなぁという感じもして、わざわざ3Dにしたのは、脆弱なストーリーを誤魔化す為だったのではないかと勘繰ってもしまいますな。
取り敢えず3D版を観ましたが、この手の映画によくある、目の前にモノが飛び出す効果は皆無で、画面全体が立体的になっているというものなのも微妙でしたな。画像自体は綺麗で、ま、これが今後の3D映画の方向性なのかも知れませんが、目の前に飛んでくるイベント性がないと、正直2時間40分は辛いですな。確かに立体感は出てますが、この映画に限って3D自体はあまり“売り”にはならないような…。もっとも、このストーリーから3Dを失くしてしまうと、却ってアラが目立ってしまうので、やはり3Dは必要かも。どっちやねんって感じですが、ま、どっちにしろ、映画がつまらないのは変わりませんな。
しかし、これでキャメロンの株も落ちた…と思っていたら、こんな映画でも結構「面白い!」と言ってる人もいるので、人の感覚って分かりませんな。ま、評価は人それぞれですから、別に構いませんが、そういう人と一度朝まで討論したいですな。どういう考えを持っているのか、とても興味がありますからな。(★)
Avatar
デラックスカラー/2.35/ドルビー・デジタル/DTS/ドルビー3D/161'33"
●TOHOシネマズ梅田・シアター2/ネット先売券(¥1500)/約半分(20:00からのレイトショー)

10