近未来を舞台にしたロボットSF映画かと思いきや、現代が舞台だったのが意外でしたね。現代の市民生活に於いて、携帯電話がほぼ一人に一台になってしまった感がありますが、それと同様、一人にほぼ一台の割合で自分の身代わりロボット=サロゲートが普及している社会を舞台に、連続して起きる殺人事件を追う刑事の物語。事件を捜査する刑事もロボットなら、追われる容疑者たちもロボットというのが、現代の代替社会を風刺しているようでユニークな設定になっておりました。
普通、自分ソックリのロボットが登場する映画というと、『ウエストワールド』とか『未来世界』のような、サスペンス・ホラーっぽい内容を想起してしまうんですが、ここでは、あくまでも自分の代わりに仕事をこなしたり、市民生活を営んでくれているだけで、コンピュータが狂って反乱を起こしたりとか、人間を襲い始めたりとか、そういう映画ではありませんでしたね。
因みに、ロボットが働いてくれている間、本人は何をしているかというと、人間が入る容器のようなベッド(?)に頭がロボットと通信している状態で寝そべっているだけ。確かに楽そうですが、これはどう見ても人間腐敗に繋がりますな。で、この映画で起きる殺人事件も、実はその理由が絡んで…という具合。いわゆる、管理社会に対する警鐘のようなものも含まれている訳ですが、舞台がほぼ現代なので、全体的に何となく違和感が漂っていたのも事実で、それはちょっとマイナス要因だったような気が…。
ストーリーも、殺人の謎を追う刑事の捜査がメインで、ロボットSFにありがちなハラハラするサスペンスが皆無なのも物足りず、こじんまりとまとまり過ぎた感はありましたね。途中のヘリや車でのチェイス・シーンは迫力ありましたが、ジョナサン・モストウ監督の持ち味が発揮されないまま終わってしまったって感じで、むしろTVムービー的なスケール感だったのも、ちょっと残念でした。
テレビのCMで、歩いてる人間がいきなり全員止まってしまうシーンがありましたが、アレを見て一瞬、『ハプニング』を思い出したりして、それ系の映画なのかなぁとも思ったりもしましたが、アレが全員ロボットだったというオチも、あまり効果的でなかったように思いますな。やはり、この手の映画には、もっと身に迫る恐怖感的なものが欲しい所ではあり、観ていて、完全なる絵空事に思えて致し方なかったですな。(★★)
Surrogates
テクニカラー・プリント/デラックス・カラー/2.35=パナヴィジョン(カメラ&レンズ)/ドルビー・デジタル/DTS/SDDS/88'57"
●なんばパークスシネマ・シアター2/ネット先売券(¥1200)/約1/2(20:40からのレイトショー)

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