先日発表されたアカデミー賞で、作品賞を始め、監督賞など6部門で受賞した作品。ま、当面の相手が元旦那の『アバター』だっただけに、追い込んで軽く交わしたって感じでしょうかねぇ。
イラクでの米軍の爆薬処理班の面々の仕事ぶりをドキュメンタリー・タッチで描いた作品で、これといったストーリーはなく、彼らの仕事=命がけのプロフェッショナルぶりを淡々と描いていて、ほとんどドキュメンタリーと言ってもいいようなぐらいのリアルさが出てましたな。もっとドラマ性を持たせ、いくらでも盛り上がらす事が出来そうな内容なんですが、敢えてそれをやっていないのが律儀というか潔いというか。女性監督なのにも関わらず、男気満々の演出力は、確かにオスカーに値するものがありましたな。
ただ内容的には、ほとんど思っていた通りの展開で、別段目新しい部分が無いのが、ちょっと残念といえば残念で、ドラマ性や意外性を求めると、肩透かしを食らう内容になってますな。そこがこの映画に対する評価の分かれ目という感じもしますな。ドキュメンタリー映画なら、諦めもつきますが、一応劇映画なので、もうちょっとサムシングを求める向きには、不満が残るかも知れませんな。
確かに、全編緊張感いっぱいで、扱っているものがものだけにスリリングかつサスペンス・フルでもありますが、あまりにドキュメント過ぎるので、1回観れば十分という感じになってしまい、何度も観たい、後でDVDを買ってまで観たいと思わないところが、何と言うか、一過性のもので終わってしまいそうで、あまり残るものがないように思いますな。例えは悪いかも知れませんが、映画って、ちょっとばかり突っ込み所がある方が、また後でもう1回観ようという気になるもんですな。
勿論この映画、良い映画には違いないと思うのですが、単に、「ハラハラ・ドキドキして面白かった」で、終わってしまうような映画でもあり、ハートにはあまり残らないように思うのですが、あなたのハートには、何が残りましたか?(★★★)
The Hurt Locker
カラー/1.85/ドルビー・デジタル/130'34"
●TOHOシネマズ梅田・シアター9/ネット先売券(¥1200)/ほぼ満席(21:00からのレイトショー)

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