映画館で観るのはほぼ35年ぶりぐらい。勿論ロードショーで観て、その後色んな名画座で観て、テレビでも放映される度に観て、さらにLD、DVDと何度も観てきた映画ですが、やはり映画館の大スクリーンが一番イイですなぁ。特にこの手のスペクタクル感満点の映画は、こうして映画館で観るのがベストな鑑賞方法と言えますな。
もう何度も、それこそ数え切れないぐらい観てきた映画なので、今更内容がどうのこうのという気はさらさらないんですが、ストーリーを完璧に把握していても、それでもこれだけ面白いんだから、もう文句の付けようがありませんな。そういう意味では奇跡的な映画であるとも言えますな。こういうのを本当の名作って言うんでしょうな。
しかし、これは最近この映画を家でDVDとかで観る度に思う事なんですが、この映画で一番の悪役というと、どうしてもリチャード・チェンバレンって事になるんでしょうけど、立派な大人に(誰がやネン)なった今改めて観ると、チェンバレンがそんなに悪く見えない自分がここにいますな。いや勿論、この映画のチェンバレンは最悪で最低なヤツだけど、もし自分がチェンバレンの立場だったらって事を考えた場合、やぱり自分もコイツと同じ事をしてしまうのではないかと思ったりするんですな。
立派な大人だったら、そんな事をしないだろ、というツッコミは当然でしょうが、まぁナンていうか、ベッピンさんの社長令嬢と結婚して、社長の義理の息子としての地位も確立し、金も使い放題、さらに社長から「ちょっと金を浮かせて儲けをヨロシク」なんて言われたら、やっぱり自分もやってしまうんだろうなぁって思うんですよ。だって、バレなきゃイイじゃん。今回たまたま火事になっちゃったけど、もしこの日火事になっていなければ、分からなかったかも知れないし。とか言いながら、結局いつかは火事になり、いや、このビルに人が住み始めてから火事になったら、もっと犠牲者が出て大惨事になる訳で、それはそれで最悪になっちゃうんだろうけど、まぁナンて言うか、チェンバレンやワタシのような自分勝手で誘惑に弱い卑劣な人間がいる限り、こういった災害は減らないんでしょうな。
逆に言うと、祝賀パーティの場で火災が起きて良かったとも言えますな。後だったらもっと悲惨な状態になっていた訳ですからな。そういう意味では、チェンバレンも最後に良い事をしたのではないかと思えますな。ちゃんと自分から進んで死んでくれたしね。でも、チェンバレンがやってなくても、きっと誰か他のヤツが同じような事をやっていたに違いありませんな。ホールデンの社長が、「じゃあお前がやれ」と、命令したに違いありませんからな。ワタシが言われたら「ハイハイ」とやっちゃいそうですな。そんなヤカラが今もこういう仕事に就いている思うとゾッとしますな。きっと日本の、いや、世界のどこかで、こういうヤカラが悪い事をやって私腹を肥やしているんでしょうな。で、罪の無い人が犠牲になるんですな。怖いですな。恐ろしいですな。リチャード・チェンバレンは悪くない。悪いのは、こういう人間を作った創造主ですな。何故創造主は、良い人間と同時に、悪い人間も作ってしまったのでしょうか。オ〜、神よ。アーメン!(★★★★★)
The Towering Inferno
●TOHOシネマズなんば・シアター6/ネット先売券(¥1000)/ほぼ満席(10:00からの1回目)

1