最初にこの映画の大まかなストーリーを知った時は、とても面白く思い興味を持った。でまぁ、わざわざ映画を観に行く事もないだろう思い、先に原作を読んでみようかなと思ったものの、どうしても気になったんで、ついつい映画館まで足を運んだのだった。普段あまり日本映画を観ないワタシを、そこまで駆り立てる程の魅力が、この映画にはあったという事なんでしょうな。
で、映画を観ました。映画を観ている間は結構面白く観れて、それなりに楽しませて貰ったんですが、観終わった後冷静になってもう一度考えてみたら、何と言うか、結構穴だらけの脚本であった事が分かってきましたな。恐らくその大半は、原作の小説では上手く読み手をかわしているんでしょうけど、映像化された媒体では、どうも穴が目立ってしまいましたな。
大体設定自体がヤワいですな。そもそもあの山崎努は何をしたかったのか。孫娘が残虐に殺されて、犯人に対してその復讐をしたいってのは分かるんですが、何故にあそこまで大々的に全国民に対して殺しを募るのか。あれだけの財力があり、政財界にも影響を及ぼすぐらいの権力があるならば、もっと賢明なやり方があった筈。プロの殺し屋でも雇えば簡単に出来たろうにと思うと、結局彼が取った行動は、単に混乱を招いただけで、しかも関係なかった人間が死んだり逮捕されたりと、迷惑この上ない話。
勿論、フィクションであり映画である以上、単に犯人が死んで終わったのでは面白くないから、例えばプロの殺し屋集団から、いかにして容疑者を守るかとか、そんな展開にした方がもっとサスペンスもアクションも盛り上がったに違いないですな。当然、内外に潜む裏切り者たちも絡めて、という感じで。出来上がった映画のように、素人の殺し屋たちが出てきても、迫力に欠けるというか、どうせ失敗するんでしょうという印象を受けますな。ま、意外性というか、リアリティを重視したのかも知れませんが、この辺りが日本映画の限界って感じがしますな。ハリウッド映画だったら、この10倍ぐらい面白い映画にするでしょうな。
(★★1/2)
ワーナー配給/カラー/2.35/ドルビー・デジタル/124'56"
●梅田ブルク7・シアター4/ネット先売券(¥1200)/ガランガラン(21:20からのレイトショー)

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