The Mule
イーストウッドの最新作。御年88歳の御大が90歳の役柄を演じていますが、ハッキリ言ってまだまだ元気なのには恐れ入りましたな。それにしてもイーストウッドのこの余裕は一体どこから来るものでしょうかね。長年イーストウッドの映画を観てきた訳ですが、身体全体から漂うこの余裕感には並々ならぬものを感じますな。普通なら、危ない危険な場面であっても、イーストウッドが演じていると安心して見ていられるというか、悪者に対して全くヒケを取らない余裕でもって乗り切ってしまうというのはある意味凄いですな。これは他の役者では絶対に出来ないものでしょうね。もしかすると、いきなりマグナム銃で相手をブッ飛ばしてしまうんじゃないかと思うぐらいで、その堂々たる余裕ぶりに脱帽しましたです。やっぱりこれは、長くイーストウッド映画を観てきた者だけが感じるものなんでしょうな。思えば、この映画の役柄も一種の悪人=犯罪者ですが、今まで演じてきた役柄も例えば現金強奪犯だった『サンダーボルト』や、囚人の脱走犯だった『アルカトラズからの脱出』や、或いは強盗犯だった『目撃』にしても、どれもある種ヒーローとして捉えられている訳で(演出がそうだったにしても)、体制側を演じた時と全く変わらない人物像になっているのは、これも彼自身のキャラクターから来るものであり、そういった事が今回の“余裕”に繋がっているんだろうと思いますな。まぁ極端に云えば、例の“マカロニ3部作”だっていわば“悪人”ですもんね。
因みにイーストウッドが生まれた1930年は昭和で言えば昭和5年で、ウチの母親と同じ歳ですな。実は義母も同じ歳で、二人ともまだまだ元気なんですが、ウチの母親は痴呆症で、今やワタシが誰かすらも分からない状態です。義母は頭の方は大丈夫なんですが、身体があまり芳しくありません。それと比べるとイーストウッドは同年代でも驚く程元気ですな。この先もまだまだ元気で映画を撮って頂きたいものですな。そして役柄は限られるけども、主演もお願いしたいですな。ハリウッドの最後の輝けるスターとして、頑張って頂きたいものですな。(★★★★)
★WB配給/カラー/2.35/ドルビー・デジタル/116分
●梅田ブルク7・シアター4/ネット先売券(¥1300)/21:10からのレイトショー

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