世界には天才と言われる人がそれぞれのジャンルで多くいるが天才は必ずしも世の中で支持されるものばかりではない。
ヘビーメタル界の早弾ギタリストの第一人者といえばイングウェイ・マルムステーンをおいてほかにいないだろう。クラシックに影響を受けた様式美な曲は独特の世界を作り上げ、80年代前半にアルカトラスを経てライジングフォースというバンドを結成して一躍注目を浴びた。
今や世界各地のオーケストラとの競演でクラシックメタルなコンサートを行っているが、こういった感性と独特のギター奏法とパフォーマンスは天才といえる。天才故自分が中心の世界で生きているのだ。そのため、彼のバンドのメンバーはよく入れ替わる。気に入らないとすぐ首にするのだろう。
イングウェイが影響を受けた、かのリッチー・ブラックモアもまったく同じで、メンバーの入れ替わりが激しい。この人も天才の一人だ。
このYngwie Malmsteenがサンアントニオの古びたライブハウス White Rabbit に来るとあって私も見に行った。世界のトップヘビーメタルギタリストがなんでこんな汚いライブハウスにほんとに来るのかと不思議だったが、前座バンドの演奏の後、夜の10時過ぎにマーシャルのアンプを後ろ一面に積んだいつもの光景のなかで登場して見事なステージを見せてくれた。
今までにも増してソロパートが増えたがすばらしいテクニックを目の前で入れて満足である。
ボーカルは元Praying Mantis, Rainbowのドゥギー・ホワイトであるが、一歩引いてマイクの音量も落としてギターが前面に出る音作りのステージなのだ。もう少しボーカルの声を聞けるミックスをしてほしかったが、このあたりもイングウェイのこだわりであろう。
しかし今回のライブは500人も入っていない。信じられないほどの小規模なステージである。それだけマニアック層にしか受けないのであろう。いかにも北欧メタルでギター中心のバンドは特にアメリカでは受けないのかもしれない。ちなみに値段は前売りで23ドル50である。2700円ぐらいで天才イングウェイが至近距離で見えるとは何とも信じがたいしこの上ない喜びである。
そういえばノアの田上明選手はこのイングウェイのエクリプスを入場テーマ曲に使っているが本人もインギーフリークなのであろうか?一度聞いてみたい。


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