2010/12/25

ウェリントンの勝利  クラシック


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Polydor Japan MGX7031 LP


これは、ベ―ト―ヴェン最大の愚作と言われる作品だが、作曲された時代背景から見ると時流に合ったものなので、現在には合わないと言うのが実際の処である。この作品が作られた背景は、1812年の戦闘に於て、オ―ストリアの同盟国であった英国軍が、フランス軍に勝利したのが、実は発端である。その英国軍を率いたのが、ウェリントン将軍であった。つまりそれは、その勝利を祝って作られた祝祭曲であり、イベント曲でも在ったと言う事である。因みにそれを企画したのは、ベ―ト―ヴェンの友人であり、メトロノームの発明者として知られるメルツェルであった。当時のメルツェルは、作曲者に対し所謂プロデュース活動をしており、この企画は、英国を賛美しながら実は、英国に媚びを売って利用するのも目的だった!そのメルツェルの思惑は、見事的中しており、俗な言い方だが、大いに儲かったらしい!何せ当時の祝祭イベントでは、必ず演奏された曲だったので尚更であろう!




尚、同時期の作品には、交響曲が2曲在り、其の後7番と8番が作曲された。双方、現在では人気曲だが、当時は「ウェリントンの勝利」を演奏する時は、前座的な存在だったと言う事なので、人気の程が伺えよう!つまり、この曲は、ナポレオンの敗北を表したものだが、同年は、ロシア遠征にも失敗しており、散々の年だったと言えるだろう!さて、レコードだが、収録は、1969年に行われたものだが、楽団は、勿論、ベルリン・フィルである。曲は、2部構成である。第1部は、ヴィットリアの戦いの模様を表しており、戦闘場面と言う事も在ってか、大砲や銃声を効果音として使用する場合が在り、流石にイベント目的で書かれた曲で在る事が解かる。そして第2部は、勝利の曲として書かれている。そして裏には、同年のフランス軍のロシア遠征の失敗を描いたチャイコフスキーの「1812年」である。ナポレオンにとっては、踏んだり蹴ったりの曲でカップリングされている。此方も鳴り物の多い曲だ!収録は、1966年である。尚、合唱は、ドン・コサック合唱団である。それで演奏だが、いつも演奏効果を狙う巨匠の事なので、どうかと思ったが、意外と正統派で造型面でも優れており、乱痴気騒ぎで終わらないのが良い!この手の曲で、名演も在り得ないので、名盤としては敢えて紹介するのは止めておく!指揮はカラヤンである。



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2010/12/23

ヨ―フムのブルックナ―  指揮者


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Toshiba-EMI EAC-90086


オイゲン・ヨ―フムの二度目のブルックナ―交響曲全集からの分売である。本当は、フルトヴェングラ―の戦時中の演奏を聴きたいのだが、LP盤を発売時に買いそびれてしまったので、購入の機会が在れば紹介しよう!さて、巨匠の名前だが、いつも迷うのは、どう表記しようかと言う事である。此処でのヨーフムとの表記は、1980年前半迄には、一般的だったものだが、どうも現在に於いては、ヨッフムと表記するのが、一般的である。だがネット上で検索すると双方の名称も見られるので、何とも言えない!さて、この9番の交響曲だが、終楽章が、未完であるのは、承知の通りである。その為に曲の演奏時間は、一時間程なのだが、聴き終わった後の疲労感や充実感は、この作曲家の交響曲としては、最大級なので、もしもこの曲が完成していたらどれ程のものかと末恐ろしく感じてしまう!これは、巨匠の同曲録音としては、3度目に辺るものだが、既にベルリン・フィルと残した名盤が存在していたのは、好事家には御存知の事だろう!それは、1964年の収録で在ったが、此方は、1978年の収録なので、14年後の演奏なのだが、元々大らかな音楽性の巨匠に在っては風格に差異を生じると言う結果のみで、音楽の奥行きが広がるのは聴いていても明白である。所謂、暖かい演奏をする印象が強い指揮者でも在る。楽団も優秀で聴き応えが在る。それもドレスデン・シュターツカペレと成れば格別である。さて、針を降ろすと些か古い表現だが、宇宙戦艦ヤマトのナレーションの様に「無限に広がる大宇宙」を感じさせる。この交響曲は、特にそうだ!混沌とした始まりから展望が開け壮大な景観が目の前に現れる印象が在る。特にこの楽団は、合奏能力が精妙なので、録音によっては冷たい印象を与えるが、此方では巨匠の音楽性が起因してるのか暖かさを感じる。それから膨れ上がる様に序奏部は終わるが、其の経過が壮大で先行きを期待させる。其の後の弦楽器のピッツィカ―トと木管は、宛ら星の瞬きを感じさせるが、地球上から見上げる夜空ではなく、宇宙空間から眺める永遠なる奥行きが只事でない程に巨大である。此処ではブルックナ―ならではの信仰告白も宗教を超越して全宇宙的な規模で聴く者の心を揺さぶる様である。とは言うものの若き日にフルトヴェングラーに影響を受けた片鱗は、此処でも伺える。それは上昇する旋律には必ずと言って良い程、アッチェレランドが掛る点だが、此処で聴ける演奏では、その度合いが過去の録音から比較して控え目に成っているので曲を離脱する事が無い理想的な表現と言える。其の為か第2主題の滑らかな流れが暖かい!だが、やはり第3主題は、テンポの上がり過ぎる処も在るのが残念である。その理由としては、どうしても其の箇所が演奏密度が薄く成るからで、作品を軽く感じてしまう!それでも終始部は圧巻の一言に尽きる。第2楽章は、スケルツォと言う事もあるが、テンポは、どちらかと言うと速めである。其の為かも知れぬが激しい表現ながら少々上滑りしている様にも聴こえる。トリオのテンポも速めだ!此処では少し余裕が欲しい感じがする。楽団自体の表現能力は見事だ!そして巨大なアダージョである終楽章だが、流石に荘厳に響き深い表現である。同時に只ならぬ静けさが漂っており、何とも味わい深い!そのうちに第1主題が膨れ上がり巨大なエネルギーが放出される様は圧巻であり、滅多に体感出来ない程の感銘を受けるが、作曲家自身が言ったとされる「生からの別れ」とは、そう言うものか?と納得する演奏である。其の後に第2主題に移るが、何と美しい事かと思う!それから第1主題が再現されるが、その対位法的に扱われる主題が熱い!巨匠の表現も見事である。深く気品に溢れた響きは素敵だ!何度か繰り返される第1主題がフォルテシモで鳴り響く時は、大宇宙の神秘さえ感じさせる。これは名演だ!

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2010/12/19

衝撃的なモーツァルト  クラシック


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TELDIC 242 924-2 CD 1983


ニコラウス・アーノンクールが、管弦楽曲の録音を本格的に始めた頃のCDである。収録は、1982年、楽団は、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団である。巨匠が、カール・ベームからモ―ツァルトの演奏解釈の件で、批判を受けていたのは知られた事だが、実は、両巨匠は、外面的な差異は在るにしても、根本的には、目指したものは同じだった。つまり造型の感覚には、意外と共通点が多いと言う事だ!此処では、33番と31番の交響曲を紹介するが、楽章事の性格を区別すべく表現している点もそうだが、終楽章も力に任せず適正なテンポ感でしっかり演奏する処も似ている。違いと言えば、ベームは、近代浪漫派に新即物的な表現を調和した処に特色が伺えるが、アーノンクールは、バロック形式からモーツァルトを鑑みた処が在るので、外的な面に於いて違いが出るのは当たり前である。ましてアーノンクールは、古楽器による演奏様式の研究に余念が無かったので尚更と言えるだろう!さて演奏だが、此処では、アムステルダムのコンセルトヘボウ管弦楽団が、如何に奮闘しているかが聴きものであるが、近代オーケストラに古楽器の演奏様式を其の儘継承している事も賛否の原因となるだろう!これは、ジンマンが、チューリッヒ・トンハーレを振ったベートーヴェンの交響曲も同様だったので、成る程、表現者は其の基盤によって差異は出るものだと当たり前の事ながら感心してしまう!33番から聴いてみよう!第1楽章からサラリと流した感じだが、やはりリズムと各動機の動きには目が光っており、全体を見通す巨匠の音に対する感覚は、とても鋭く主旋律との対比が、とても面白く聴ける。突き刺さるような音感は、当時の巨匠の特色だが、この時代のものは、特に強い!だからアンダンテもダレる事無く進んで行く!メヌエットも立体感が在り構成が理解出来る。終楽章も其の延長だが、腰を据えてじっくりと演奏しているので、聴く方もゆとりが持てるのも良い!だが、次の31番の演奏が衝撃的である。それは、第1楽章冒頭から鋭くぶつかる様に駆け上がるダイナミクスが在り豪快さも兼ね備えているので凄い迫力が在る。其れと同時に主題事の句読点も構成上考察した演奏なので、少々説明的なのだが、説得力も比類ないので、聴いていて納得する事も請け合いである。尚、巨匠は、ウィーンフィルの定期に初登場した時も同様の解釈で、この曲を演奏しており、老年の会員が、アタックする音圧の衝撃に耐えかねて驚愕しながら胸を押さえていたと言う逸話も在った!続く第2楽章も緊張感溢れるアンダンテで、これも素敵だが、造型は、質実剛健で、これもベームを聴いてる趣きがある。勿論、優美さも在る。終楽章もまるで天下の御意見番が何やら言い放つ様な迫力が在り、「控えおろう!」と聴衆に平伏せされる趣も在る。尚。このCDには、もうひとつのアンダンテが収録されており、研究者としての巨匠を窺い知る事も出来る。

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