2011/2/27

ローマの祭り  クラシック


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RCA-Victor LM-1973 LP 1956


レスピ―ギのローマ三部作からの一曲だが、現在迄に発売されたレコードやCDでは、未だにトスカニ―ニのRCAビクター盤が最高で、越える処か同等のレベルにさえ追いつくのも困難な様である。況して三部作粒揃いのものは更に難しく、あのカラヤンでさえ噴水と松は手掛けても祭りは到頭録音しなかった。アンセルメも然りである。勿論、全曲残している指揮者も居るが、祭りのクオリティーだけは、トスカニ―ニに及ばない!そう言う点では、カラヤンのDGG盤は、本当に残念である。てな訳で、此処で紹介するのは、当然、トスカニ―ニ盤である。噴水と松は、既に紹介済みである。楽団は、NBC交響楽団、1949年に収録されたものである。やはりアナログ盤で聴くには、音質面での老化が気になるので、普通に一曲を片面にゆったりカッティングした盤が、やはり良い! さて演奏だが、「チルチェンセス」と言う暴君ネロが円形劇場で行った猛獣と剣闘士との戦いから始まる情景描写が凄まじく正しく圧巻!此処迄の騒乱を音で描き切るとは、巨匠恐るべしと言った位に結晶化した表現に舌を巻く!打って変って次の「50年祭」では、静謐だが緊張度に富んだ音楽をじっくり聴かせる。歓喜の賛歌を歌う巡礼者を描いている箇所では巨匠ならではの刃金のカンタービレが実感出来て最高!続く「10月祭」は煌びやかだが、牧歌的な風景画が浮かび、鳴り響く音楽は、本当にイタリアそのものである。 最後に「主顕祭」だが、これは祭りの前夜祭で広場に集まった人々の浮き立つ気持ちと言おうか、雑踏の賑やかな光景が目に浮かぶ程で、改めて是は祭りの音楽なんだと思う!情熱溢れるカンタービレも凄まじい!終始部も圧巻で、どうして此処迄出来るものかと圧倒されて曲は終わる。流石に初演者の演奏は素晴らしい!完全に曲を把握している。実は、是のレコードでは裏面の曲である。凄い音楽的な衝撃だったので、本来の表面は、少し時間を置いてから聴く事にした。さて次は、ゴーダイの「ハーリ・ヤーノシュ」である。是は、1947年の収録だ!曲の主人公は、バロン・フリードリッヒ・ミュッシュハウゼンの誇大妄想家の話に似ているが、此方は時代も違いナポレオンも絡むお話!前奏曲は、淡々としながら情熱的に始まり、「ウィーンの音楽時計」の煌びやかさに耳を奪われる。3曲目の渋い歌もいい感じである。続く「ナポレオンの敗北」は、戦争の描写だと言うのに旋律は、とてもヨーモアに満ちている。大ボラ吹きの自慢話ゆえか?間奏曲の如何にもハンガリーを感じさせる表現は、聴き惚れる位である。聴いているとハンガリー舞曲が浮かぶのだから不思議なものだ!終曲の「皇帝と廷巨達入場」は、まるでおもちやの行進みたいだが、おどけた荘厳さが面白い!演奏も其れに答えている。音質は、共に優秀で素晴らしい!

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2011/2/26

作曲家存命中に発売されたレコード  クラシック


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Columbia USA ML 4037


これは、作曲家が存命中に発売されたレコードである。曲は、セルゲイ・プロコフィエフの交響曲第5番である。楽団は、ニューヨーク・フィルで指揮は、アウトゥ―ル・ロジンスキ―である。このレコードは、1948年頃の発売なので、初演から数えても僅か3年後であり、プロコフィエフ自身も存命中で在った!西側楽壇の関心の程が伺える。指揮者のアウトゥ―ル・ロジンスキ―は、現在に於いても熱血漢として知られているが、それは歴任した楽団との衝突が、些か誇張されて後世に伝わった事が要因であろう!しかし巨匠は、オ―ケストラ・トレ―ナ―としても熟練した指揮者として知られているので、定説にある短気な性格は、どうも信じがたい!何故ならトレ―ナ―は、短気な性格だと務まらないからである。嘗てのNBC交響楽団を訓練したのも巨匠である。さて演奏だが、LP盤の最初期は、米.コロムビア社に限って言えば、放送局の規格と同じ16吋33回転のディスクをマスターにしている。音質は、古いながらも聴き辛いレベルでは無く、寧ろし其の時代にしては良好と言えるが、ダイナミックレンジが少々狭く感じられるのは仕方在るまい!表現自体は、精妙で当時は、ブルーノ・ワルターが関わっていた時期と重なり、楽団自体のアンサンブルも上々だった。だから何の変哲も無く始まる第1楽章も深く流麗な音色で、多様な表現力を持った楽団である事も解る。曲自体もプロコフィエフの交響曲の中では、最も歌謡性に優れているので。巨匠自身も振り易かったのでは無いかと思う!調べてみないと解らないが、たぶんこのレコードが、同曲では最初のレコーディングだと思う!巨匠は大らかに第1主題を歌うが、どんどんと膨れ上がる造形美も素晴らしく、男性的な力強い表現と共に曲を構築して行くので本当に聴き応えが在る。展開部も地鳴りを感じる程である。第2楽章も軽快とは言わないまでもリズムは弾み推進力も充分である。楽器の色彩感が少し足りない様にも思えるが、巨匠自身も煌びやかな音色を求めていない様にも思える。それは演奏が直向きで情熱的なので世評に在る熱血漢と言う言葉は、巨匠の音楽性から人間性を表したのでは無いのかと思われる。第3楽章のどっしり腰を据えた揺ぎ無い造型で聴かせる。まるで近代浪漫派の作品を聴いている様である。終楽章もしっかりとしたリズムで突進する。木管の惚けた色彩感が面白い!低弦部が分厚く鳴るので、此処でも浮ついた響きに成らないのも良い!そして怒涛の終始部を迎える。このレコードは、米国コロムビア、LPレコード第1回販売のカタログに載っているレコードでもある。

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2011/2/21

ブラットナ―フォン  録音史


先にマグネトフォンについて触れているので、順序は逆に成るが、磁気録音方式の沿革に触れてみよう!磁性体を帯磁させることで音声信号を記録する磁気録音方式自体は、1888年に米国のオバリン・スミスが最初に着想しているのだが、システムとして実用化したのは、デンマークのヴォルデマール・ポールセン(1869年-1942年)と言う発明家が、1898年に完成させた鉄線を利用した磁気録音式ワイヤーレコーダー「テレグラフォン(Telegraphon)」が最初である。テレグラフォンは、後のワイヤーレコーダーの祖で在る。性能は当初、人間の声が、聴き取れる程度の実用水準であったが、1924年には、ドイツのクルトスティーレ博士(1873年〜1957年)によって多少の改善がされている。しかしながらオフィス用の口述録音機の粋は脱してはいなかった。しかし映画プロデューサーで在り、演出家でも在ったルイ・ブラットナー(1881年〜1935年)がドイツの開発者と共にワイヤーレコーダーの開発会社を設立しており、其等の装置は映画産業にも応用する事も想定していた。 最初の装置は、1930年9月に完成している。最初に関心を持ったのは、英国のBBC放送であった。そこでラジオ放送を目的に試験をした処、ようやく音楽再生にも可能性を見出したそうである。




そこで翌年1月には、製造元であるBlattnerphone社と5年間の賃貸契約の交渉を終えてラジオ・メディアで放送に使用された。尚、新開発の録音機は鋼線から6ミリ幅の鋼帯に改良されており、鋼帯速度は、5ft/secと言う早いものであった。鋼帯が巻かれているリールも巨大で直径1メートルは在ろうかと思われるものだが、収録時間は、20分であった。だが1932年9月には、鋼帯の幅が、3ミリに改善されており、収録時間も32分に延びている。それで肝心の特性だが、4Kz迄が限界だったが以来の物よりは遥かに技術上の見通しは明るかった。尚、鋼帯にした事で編集が可能に成った利点もある。接合方法は、調べてみたらハンダを使用したとの事である。




そして其の後も改良が進められて1934年には、其れなりの効果は得られた様だ!最初は走行系から手が付けられた。と言うのも以来のものは、扱いに対して余りにも危険と思われる要素も否定出来ないからである。其の結果、より走行が滑らかになり、駆動音も静かに成ったと言う事である。勿論、周波数特性も改善されて1935年には、6KHz、SN比も35dbと飛躍的な発展を遂げている。




このマルコニ―社が開発したブラットナ―フォンだが、ドイツの放送局でも使われた形跡が在る。それも1936年のバイロイト音楽祭の演目の収録に使用された様だ!此では、1936年のバイロイト音楽祭で上演された「ロ―エングリン」のレコードを紹介しよう!フルトヴェングラーが指揮した歴史的上演と言われているものである。 これもオリジナルの鋼帯の存在は不明である。このレコードのマスターは、鋼帯からディスクに転写されて保存されたものである。たぶんオリジナルの鋼帯は、戦災で消失しているか、米国か露西亜が研究用に持ち去った可能性も否定出来ないが、ドイツは、自国開発のマグネトフォンの性能が途中から飛躍的に改善されて以来の鋼帯録音機の必要性も無くなったので、残っている可能性も薄いと見た方が懸命かも知れない!

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The Wilhelm Furtwangler Society Japan LP 1985


さて演奏だが、最初にHMVが録音した第1幕前奏曲が収録されているが、その感想は、後から述べる事として第3幕の抜粋から聴いてみよう! 私は当初、伊.チェトラから発売されていた「ワーグナー・ドキュメント」なるレコードを聴いていたが、復刻の状態が万全では無いながらも感激してしまった事を思い出す。此処では、日本フルトヴェングラー協会のレコードを紹介するが、復刻は見事で申し分無い!第3幕の前奏曲が鳴り出した途端に演奏に引き込まれる程の素晴らしい緊張度だが、音色は明るく辺りを掃う様な神聖な威厳も感じる。巨匠の指揮振りも絶好調で物凄い推進力である。続く婚礼の合唱も暖かく雰囲気に呑まれてしまう!こんな古い録音からも弦楽器の繊細な音の絡みが聴かれる奇跡的な状態の良さに只々感心してしまった。勿論、不安定な処も無い訳では無いが、此処まで演奏が伝われば言う事も無い位である。フランツ・フェルカーのローエングリンの英雄的な高貴な声とエルザのマリア・ミュラーの心の篭った名唱に当時最高の名コンビを音で実感する喜びは、充分に文面で表現出来ない程に素晴らしい!合唱も見事でハイリッヒ王万歳!と歌う精神の高揚状態は、熱狂すらを超えて物凄い事に成っている。是は当時の祝祭的な雰囲気が其のまま反映されたかの様である。ハイリッヒ王は、ヨーゼフ・フォン・マノワルダだが、独特の威厳が在る。 見事と言えば、聖杯の歌を歌うフェルカーは、やっぱり見事だ!私は是からローエングリンを聴いたので、自身では王道と言ってしまっても良い位である。ローエングリンの告別も名唱だ!心の動きが聞き取れる程だ!ドラマティックな終幕の熱狂振りも凄まじく、聴き終った時には、他の物音も耳に入らない位の圧倒的な感動を覚える。

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収録は勿論、バイロイト祝祭歌劇場、1936年7月19日の実況録音である。同年は、ベルリン・オリンピックの年で、まるでオリンピックを包む様に音楽祭は開催された!改めてブラットナーフォンの性能を振り返ったが、それからの転写ではあるものの思った程聴き辛くは無く、充分実用に耐えていた事を知った!衰退の理由は、操作性の問題だった事が推察される。さて順序は逆に成ったが、第1幕の前奏曲である。是は1947年8月30日にルツェエルン音楽祭のオーケストラと使いレコード用の収録をした様だが、近年迄、発売された形跡か無いので、御蔵入りしていた音源の様に思われる。音質は、針音が在るものの音の粒立ちも良く、とても聴きやすい!SPレコードそのままの音質と言っても過言では無い!演奏も繊細の極意であり、神経が透けて見えるほどの美しい弦の音に魅了される。音色も神聖で素晴らしい!クライマックスも凄い迫力だが、最後迄、デリカシーの極意である。

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