2011/2/16

マグネトフォン  録音史


ある管球アンプのマニアが、再生しずらいものについて、戦時中のマグネトフォンで録音したレコードの低音の再生を上げていたが、それは私も賛成だ!そのマグネトフォンと言えば、所謂、テ―プレコ―ダの原型だが、1928年には、その原型が出来ている。だが当初の性能は、あまり褒められたものではなかった。そこで、AEG社が、開発に踏み切った訳だが、1935年に成果となって現れる。それが市販化に及んだマグネトフォンだが、気に成る音質は、それ程でもなかったらしい!使用するテープも単に酸化鉄を紙テープに塗布したものから始まっているので無理もなかろう!その後、化学メーカーBASF社の協力によるテープ材質の改良(アセテート樹脂)と、1938年の永井健三、五十嵐悌二による交流バイアス方式の発明で、1939年〜1941年までに音質が飛躍的に改善され、実用に耐える長時間高音質録音が可能となった。やはり改善の鍵は、録音テープの磁性帯にあった。だが、その後も更に改善されているので、本当に完成と言えるのは、やはり戦後と言う事になるだろう!




さて音質が改善されたものの、どうも低音に関しては、自身が所有している戦時中の実況盤を聴いてもそんな印象である。つまり低音感が、いい加減なのだが、実際どんな低音かと言うと締まりの無い音色で、今一つの決め手に欠ける。だから音階もあやふやに聴こえる。それでも大戦末期には、大幅な改善がみられるのだが旧来の装置では、どの様な再生音だったか不明なので検証してみる必要も在りそうである。当たり前の事だが、現在の装置と当時の物は性能に雲泥の差が在る。さて開発に関わった企業は、AEGと言うドイツの家電メーカーである。実は、この企業は、エジソンとの関わり合いがある事は御存知だろうか?発祥について調べてみたら1883年にトーマス・エジソンの特許を取得したユダヤ人実業家・エミール・ラーテナウ(ドイツの政治家ヴァルター・ラーテナウの父親)は、Deutsche Edison-Gesellshaft(略称:DEG)を設立している。つまりドイツエジソン社と言う事だ!その後1887年にAEGへと社名を変更している。そして1994年からAEGは、スウェーデンのストックホルムに本社を置く世界的電機メーカー・エレクトロラックスの傘下となっている。現在は、「AEG」はエレクトロラックスの高級家電ブランドの名称となり、2005年からは、ブランド名を AEG-Electrolux へと変更し、本格的世界進出を図っている。

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WIHG WCD 15 CD 1993


これは、聴覚上だが、1930年代のマグネトフォンの録音と推察されるものである。事実、針音も無く回転系のムラもディスク収録のものとも違う!曲は、「フィガロの結婚」第3幕である。指揮は、クナッパーツブッシュだが、巨匠に在っては、珍しい曲では無かろうか?収録日を見ると1939年の8月21日との記載が在る。歌手の名を見るとMargarete Reining(S),Martha Rohs(S),Esther Rethy(S),Mario Stabile(Br),Ezio Pinaz(Br)の面々なので、ザルツブルク音楽祭の音源と見て良かろう!それで音の状態だが、思ったよりも鮮明な反面、とても不安定である。テープの保存状態は最悪である。音は絶えず変調しており、とても聴き辛い!それも大きくループして音が変動している。おまけに例の婚礼のダンスは途中からテープの片伸びと見られる音揺れもある。終始そんな感じなので演奏について報告するのは無茶かも知れぬが、一応の感想を述べるとスタービレの伯爵は堂々としているが、其の頃の歌手にしては、変な歌い崩しも無く好感が持てる。フィガロは、ピンツァだが、流石に戦前の当たり役を誇っただけの事は在る。軽やかな感じが其れらしい!それと女性歌手だが、配役の記載が無いので、誰が、どの役を歌っているかが全く不明である。従って批評の仕様が無い!巨匠の指揮は、要点を付いたもので、特に不満は無く、寧ろ良い印象が在るが、こうもテープの保管条件が悪いとどうしようもない!困ったものである。尚、CD化にあたっては、余計な補正を行っていないので、良好な箇所だけは鑑賞に耐える。取りあえず是は、現在の処聴ける最古のマグネトフォン音源である。敢えて価値が在るのは其の点だけである。他には、バラの騎士とフライシュツの抜粋が、カップリングされているが、他メーカーでも同様の箇所が既にCD化されており、後に紹介する予定もあるので割愛する。

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"Magnetophon" reel-to-reel tape recorder.
The Allgemeine Elektrizitatsgesellschaft [AEG]1935


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