2011/3/30

クーベリックの田園  指揮者


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Toshiba EMI AA-5003 LP


ラファエル・クーベリック(クーベリーク)の残したベートーヴェンの交響曲と言えば、DGGの全集が浮かぶが、若き日には、トマス・ビーチャムが君臨していた時代のロイヤルフィルを振ったレコードが、EMIに在る。此方では、田園の俗称で有名な第6交響曲を紹介する。収録年は、今まで不明だったが、1959年のものである事が判明した。私は、東芝EMIのセラフィム名曲シリーズの盤で所有しているが、若き日の巨匠の溌剌とした姿が浮かぶ快演で、DGGに残るバイエルン放送交響楽団の第7と共に其の存在感を示してくれる。まづ後年の巨匠との比較では、リズム感が断然勝っている点を評価したい!瞬発力も勿論そうだが、とにかく歯切れが良い!其れにキッパリとした造型感覚が加わるので痛快と言う他は無い!其の為テンポも弾んでいるので実際のテンポよりも早く聴こえる。このレコードで聴く第1楽章は、その最たるものである。全ての音に必然性が在り無駄と言うものを全く感じない演奏である。だからこのレコードは、春先になると自然とターンテーブルに乗る機会が増える。不思議と何度聴いても飽きないのは、暖かみの在る音色とエレガントな弦の調べに惹かれるからである。流石、ビーチャム時代のロイヤルフィルだと感心する。因みにこの演奏だが、繰り返しは、スコアの指示通りやっている。とにかく聴いていて全く嫌味の無く音楽が流れる。第2楽章の描写も然りで、これ程心地の良いソフトな描写もそう在るまい!だが鼓動するリズム感覚は此処でも同様である。此処で白状するが私は田園交響曲の良い聴き手では無く、寧ろ苦手な方だが、空気の様に漂うこの演奏には、何の抵抗を感じない!前半2楽章には、聴いていて本当にうっとりしてしまう!リズムの素晴らしさと言う点では、第3楽章の田舎の人々の集いの描写が素晴らしいのは、言うまでも在るまい!舞曲風の旋律を聴いていると光景が目に浮かぶ様である。そして嵐を描写した第4楽章だが、威圧感と言うものには無縁の演奏の筈なのに迫力を感じる。聴いていて気が付いたのだが、土台と成る造型感覚が、意外と質実剛健で大地に根のついたもので在るのが、此処まで聴いていると本当に解る。だがカール・ベームの様に険しさや厳しさを其れ程感じないのは、単にポリフォニーに対するセンスの違いであろう!そして終楽章の感謝の描写だが、別に何の説明が無くても広い大地に真っ赤な夕日が沈む光景が浮かんでくる。大自然への感謝の気持ちが是ほど心に響く演奏もそう無いだろう!

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2011/3/29

残念なカラヤンのレコード  指揮者


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Polydor Japan MG-2048 LP


これは、私の愛蔵盤だが最近、聴く機会が無いので久々に聴いてみた。収録は、1967年4月14〜17日で人によっては、この頃を往時と言うだろうが私も賛成だ!完成度で判断すれば1970年代中期との声が在るが主兵ベルリンフィルの精度が更に上がり精密を極めた表現が可能に成った分、指揮者の調子の悪い時でも精度の高い演奏が出来るのが災いし、何と無く空虚な演奏もしがちである。だから当時の巨匠のレコード録音には、完備された演奏に感心する割には、感銘に不足するものも在る。それに対し此方の演奏は、その弊害が無いばかりか巨匠の豊かな音楽性が体験出来る一枚である。最初にリストの前奏曲が入っている。重厚だが柔らかい当時のベルリンフィルの響きが良い!現在と比べてもドイツ色が濃く、確かにフルトヴェングラーの様な燻銀の様な音色では無いが、やはりドイツの楽団と言う印象が濃い!一つづつ念入りに音を積み上げる構成重視の演奏だが神経質な表現では無いので後半の豪快で勇猛果敢に響き聴き終わると何だかやる気が出て来る。前奏曲とは、よく言ったものである。リストと言えば、ハンガリア狂詩曲第2番も在る。これは当時のカラヤンらしいゴージャスな響きの演奏で最も巨匠らしい表現が魅力である。さて裏には、スメタナの「我が祖国」から「高い城」と「モルダウ」がカッティングされている。「高い城」は、冒頭のハープから魅了される。本当に美しい響きだ!続く木管の素朴な調べも良い!弦も流麗だが内容も濃く、金管の壮麗な響きと相まって本当に素晴らしい!構築的な面からみても説得力の在る演奏である。続いて「モルダウ」が収録されているが、巨匠自身も何度も収録を繰り返す十八番の曲だけにどれも見事だが充実度の点からこの演奏を一番に掲げたい!目を閉じて聴いていても此処まで情景描写に優れた演奏は、そう在るまい!巨匠の表現主義者としての一面が、はっきり出た演奏で、モルダウ河の壮大な流れと共にボヘミヤの自然や民族の誇りさえ浮かんで来る名演だ!残念なのは、是ほどの完成度を「高い城」と「モルダウ」で示しているのに「我が祖国」の全曲録音が無い事だ!それが返す返す残念である。

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2011/3/23

ロ短調ミサ  クラシック


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Philips PHCP-20019/20 2CD


大震災から一週間を過ぎた頃からようやく音楽も聴く様に成ってきたが、まさか精神的にも此処までの衝撃を受けるとは思わなかった!それは震災そのものだけでは無く、政府与党の余りにも役に立たない無能振りと、この後に及んでの国民無視の行動に憤りを覚えたからだが、それと同時に国民は、もっと国を大事に思い、頑張らなければならない事を思い知らされたからだ!このブログは、政治を対象にしていないので、私の意見は此処で終わりにするが、このままでは、日本が存亡の危機を迎える事態に発展しないかと心配で成らないのも事実である。保守こそ現在の日本には望ましい!さて、そうして鎮魂曲から聴き始めているが、私が事在ることに聴くのは、J・S・バッハのロ短調ミサである。演奏時間が、2時間ちょっとなので聴き易いのも其の理由だが、キリエから気字壮大で純真な合唱に心が洗われる。バッハに詳しい方なら御存知だろうが、寄せ集めミサとの異名が在る様に各部の作曲年代が、20年程開きが在る。参考に記しておくと

キリエとグローリア       1733年
クレド(ニケア信経)      1747〜49年
サンクトゥス          1724年12月
オサンナ、ベネディクトゥス、
アニュス・ディ、ドナ・ノービス・
バーチェム           1747〜49年

伝統的なミサ曲は、5部構成だが、こちらのミサ曲は、第4部27曲になっている。その理由は、本来分かれる筈のキリエとグローリアがまとめられて第1部とされているからだが、形式もバッハにしては珍しいナポリ風のカンタータの流れを汲むミサで在るのも特色とされてる。これは、私が始めて聴いて感銘を受けたバッハのミサ曲なのだが、頭のイメージに合う演奏が中々無くて、とりあえず揃えたのが、このオイゲン・ヨッフム(ヨーフム)によるCDであった!慟哭する衝撃的な冒頭の合唱から惹きつけるものが在るが、中間部は、寧ろ室内楽的とも言える素朴さが在る。祈りの深い合唱は、正しく「主よ憐れみ給え」と慈悲を願っている深刻な気持ちが聴く者にも染み入り一緒に祈りを捧げたくなる。木管が慈悲深く響くのが感動的だが、其れこそ巨匠の特色とも言えないだろうか?巨匠は暫し自ら師匠と崇めたフルトヴェングラーの如く近代浪漫派の作品で、テンポを動かし過ぎて呼吸が浅くなり、とても師匠に及ばないが、バッハに関しては、其の弊害が無い様である。ロイス・マーシャルとヘルタ・テッパーの二重唱もしっとりして耳障りでないのも好感が持てる。グローリアは、「天のいと高きところには神の栄光」と称える合唱から始まるが、其の荘厳な雰囲気に呑まれる程である。何処と無く鄙びたトランペットは、力強い合唱を支えている。此処で「我ら主を褒め」テッパーの独唱が聴かれるが柔らかくも堂々とした歌唱も素晴らしいと思う!合唱は、バイエルン放送合唱団だが、如何にも南ドイツ的な暖かさを感じる。其れは、バイエルン放送交響楽団にも言える事だが、やはり巨匠の音楽性がものを言っているのではないかと思う!「聖霊と共に」と歌う合唱の力感溢れる表現も聴きものだ!此処まで聴いて一つも批判めいた感想が無いのも不思議な位だが、そう言えば、この演奏には過度の緊張を感じない!さてクレドだが、前のグローリアの勢いが残っているのか精妙ながら辺りを掃う推進力を感じる。「我は信ず、唯一の神」「全能の神」と歌う勢いは其の最たるものだ!聴いていて本当に和む。他の独唱者だが、テノールにピーター・ピアーズ、バスは、キム・ボルイとハンス・ブラウンの二名である。残念ながら男性陣は、奥の支え位の印象しか無いのも不思議な印象だ!さて演奏の感想に戻るが、沸々と感動が込み上げてくる。特色としては、とてもあっさりしているのに実は造型が柔らかくも重厚なので、其処に安定感を感じるのが要因である事に気が付く!どうやら是は、其等の相乗効果が作用している様である。全曲を聴き終えると、とても幸福な気持ちになった!1957年12月に行われた演奏会の実況録音である。

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タグ: ミサ曲 バッハ



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