2011/6/7

セスト・ブルスカンティーニのフィガロ  歌劇・楽劇


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Toshiba EMI EAC-30236/38 3LP


ステレオ初期の名盤で、寧ろ指揮者の「グイのフィガロ」と言った方が、通りが良いかも知れない!だが、私は敢えてセスト・ブルスカンティーニのフィガロと言おう!事実、こんなに達者で軽妙なフィガロは、聴いた事が無く、意外に期待したエーリッヒ・クライバーの名盤と言われたものは、私には、ピンと来なかったからである。この手のものは、鳴り物入りで宣伝しているものこそ大した事は無い!だから自身の耳が一番信用出来る訳である。だからこそ色々な名盤が存在する。配役は、フィガロ以下は、スザンナは、グラツイエルラ・シュティ、バルトロは、イアン・ウォーレス、マルチェリーナは、モニカ・シンクレア、ケルビーノは、リーゼ・スティーヴンス、アルマヴィーヴァ伯爵が、フランコ・カラブレーゼ、ドン・バジリオは、ユーズ・クエノ、伯爵夫人が、セーナ・ユリナッチ、アントニオは、グウィン・グリフィス、バルバリーナが、ジャネット・シンクレア、ドン・クルチオは、ダニエル・マッコーシャンである。このレコードは、1956年のモーツァルト200年祭に先駆けて前年にグラインドボーン音楽祭の面々と録音したものである。だから管弦楽団と合唱団は、その音楽祭のものである。尚、チェンバロは、レイモンド・レッパードである。そして指揮は、ヴィットリオ・グイである。針を降ろすと軽妙だが些か縦割りのリズムで序曲が演奏されるが少しも嫌味は無く爽快である。幕が開くと落ち着いたテンポでフィガロとスザンナの掛け合いが始まるが、変に表情過多に成らないので聴き易い!ブルスカンティーニはフィガロを得意にしていたが、流石に役をこなしており不自然さは感じられない!只、最初は調子が乗って無いのか表情が重い!寧ろスザンナを歌うシュティに好感が持てる。アルマヴィーバを歌うカラブレーゼは、程々の風格が在る。シンクレアのマルチェリーナも良いと思う!第4場のシュティとの小2重唱が美しい!しかし其の後のスティーヴンスのケルビーノは、声質の為か少し老けた感じに聴こえる。処が第7場で突然どうしたか?と言う位に演奏にも歌にも活気が出て来る。最初から、こんな感じならと残念だが、此処までの経緯に破線が無いので聴く人の気分も在るかも?村人達の合唱は、とても充実している。第10場のフィガロの有名なアリアは、ブルスカンティーニの巧みな歌唱は、独断場と言っても差し支え在るまい!第2幕は、伯爵夫人のアリアから始まるが、ユリナッチの歌唱は品が在り、本当に素晴らしい!其の後のレシタティーヴォでは、ブルスカンティーニとの掛け合いが聴けるが、調子は取り戻している様である。さてケルビーノの「恋とは、どんなものかしら?」のアリアだが、スティーヴンスの歌唱は立派だが、思春期の人間を歌で演じるとしても、やはり老けた感じに聴こえて役には少し不利な声質である。次は、スザンナが、ケルビーノの着せ替えをしながら歌うアリアだが、シュティは、やはり見事だ!声だけとは言え演技も見事だ!聴いていると準主役の歌手が良いので名盤に成っているのかなとも思ってしまう!この辺あたりから演奏も安定して来るので、とても聴き易い!第2幕は、特に文句なし!第3幕も特に引っ掛らずに聴いていられる充実した演奏である。しかしふんわりと漂う貴族的な雰囲気と気品は最高だ!グイの表現もデリカシーが在る。婚礼のダンスも優しい感じである。終幕は、シンクレアの歌うバルバリーナのカヴァティーナから惹かれるものが在る。第7場のバジリオのアリアは、今ひとつ!フィナーレは、グイの熟練した指揮が光る。さて此方の録音は、1955年だが、古くからの音楽ファンでは御馴染のNHKによるイタリア歌劇団公演が翌年にあり、指揮者のグイも同行し同曲を振っている。私は後に放送で聴いたが、このレコードより更に快適テンポで精気溢れる快演だったのを思い出す。現在、そのテープが全曲残されているかは不明だが、在れば是非、CD化して欲しいものである。確か既にステレオ録音で収録された筈である。

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