2011/6/26

大クライバーの第五  指揮者


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DECCA 592118 (BA-322) 2LP


カルロス・クライバーが、亡くなってから、もうこんなに?と言う程、年月が過ぎてしまったが、晩年は、思った程の活躍が出来ていなかったのでは無いかと残念に思ったファンも居る筈である。事実、年齢を重ねるに従い引篭もりでもしてるのかと思われる程の僅かな演奏会の話題ばかりだったので仕方在るまい!大家には、違いないが、「父上同様、天才的な男です。」と生前のカール・ベームに言わしめた程のの才能を開花させながら意外な晩年を迎えたのは残念な事である。私個人の望みとしては、バイロイト音楽祭にも再登場して指環でも振って欲しかったのだが、今では望むべくも無い幻に終わってしまった。是からは、放送局に残る音源や映像がCDやDVD化される事を願いたいが、ファンとしては、寂しいものである。さて此処では、その父上であるエーリッヒ・クライバーの録音を取り上げよう!思えば、其のエーリッヒも不遇なのだが、黄金期と言われる戦前にも録音が多数在り、戦後は、ステレオ録音まで残してくれたので、息子とは段違いの恩恵を音楽ファンに与えてくれた。其の点は、感謝すべきであり、英.DECCAと契約を結んでいたのも音質の点では幸運だったと思う!さてレコードの紹介をするが、曲は、ベートーヴェンの第5交響曲である。是は、御承知の通りカルロスも録音している。息子は、ウィーンフィルだが、父上は、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と録音している。初めてカルロスのDGGの演奏を聴いた時には、あまりにも父上の演奏と酷似しているので、影響力とは、そう言うものかと感心したのを思い出す。だからこのレコードは、正しく原典なのだが、聴き返す事で再認識も出来ると思ったので、其の意も含めて聴き直そうと思う!尚、カップリングされている第九は、既に紹介済なので割愛する。針を降ろすと実に勢いが在り、明確な格言動機が聴こえて来る。はっきり音を刻んでいる。音楽も骨太なのに切味も鋭い!全ての音が明確に鳴るのでトスカニーニを連想させるものが在るが、基本にドイツ音楽的思想が根本に在るので安定感も在る。是は、一筋縄ではいかない演奏である。久々に聴いて、すっかり面食らってしまった。巨匠は、若き日に電光石火の如く演奏をすると批評されたが、此処で聴いている音楽は、正に其の言葉通りの音楽である。感心しているうちに第1楽章は終わってしまった。恐ろしいアレグロ コン ブリオである。第2楽章も其の興奮冷めやらずと言ったものだが、此処でも曲に正面から向き合う姿勢で取り組んでいるのが解る。とにかく息つく暇も無い演奏だ!風格も断然、巨匠の方が上だ!思わず皇帝万歳!と叫びたくなる高情感も凄まじい!テンポもよく動くが、巨匠の場合は、曲想によって変えるので、やや鋭角的である。しかしこの曲の場合は成功しており、効果的である。第3楽章も力強く足を踏み締める様に演奏される。其れも堂々と少しも軟弱な処が無い!全ての音が実在感を持って鳴り響くのは、DECCAの技術陣の成果だろうが、元々の音楽もそうなので、より効果的だ!終楽章への駆け込みもまるでエネルギーが放出するかの如く音楽が膨れ上がる。主部のテンポは、寧ろ普通なのだが、骨太な音楽は、此処でも健在なので聴き応えが在る。木管の音色が、ハッとする程新鮮だ!後半に向かって巨大な造型が聳え立つ!其れも目の前に!そうして圧倒されているうちに曲は終わってしまった。是は、恐ろしい演奏だ!この曲に対して斜に構えている人に聴かせると認識を新たにするかも知れない!そんな演奏だった!尚、収録年が、このレコードの表記では、1949年と言う事に成っているが何かの間違いだろう?後の表記を参考にすると1953年9月に録音されたらしい!

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