2011/12/11

ベートーヴェン没後100周年の「第九」  交響曲


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Sinseidou-Toshiba EMI SGR8528 CD 1999


ベートーヴェンの没後100年を記念して当時のレコード会社は、色々と企画を組んだが、その中でも英国コロムビア社は、偉業と言える程の膨大なレコードを製作しており、英国楽壇に関りの在る音楽家と一大事業を成功させているが、現在では、それらの録音も復刻されているので、どの様なものだったかを垣間見る事が出来る。此処で紹介する電気録音では恐らく最初の「第九」も其のプロジェクトのものである。指揮者は、ワインガルトナーである。巨匠が、初めて英国に関りを持ったのは、1898年かららしいが、実際、評価も高かった様である。事実、当時の巨匠は、ベートーヴェンの権威としても知られており、欧州楽壇への影響力も強かった。だからこの企画に巨匠が選抜されたのも当然と言えるが、演奏を聴けば、現在でも充分納得出来る。巨匠も新即物主義の音楽家だった。嘗て若き日にハンス・フォン・ビューロと対立した事でも有名だが、巨匠こそが、現在の模範と成る指揮者と言える。知っての通り、巨匠には、ウィーンフィルと再録した同曲の方が有名だが、是とて無視出来るものでは無い!此処で演奏者の紹介だが、ロンドン交響楽団と其の合唱団、そして独唱者は、ミリアム・リセット(S)、ミュリエル・ブランスキル(A)、ヒューベルト・アイスデル(T)、ハロルド・ウィリアムス(B)である。収録は、ロンドン・ペテイ・フランス録音所で、1926年3月16日と17日に行われている。歌詞は、ナタリー・マクファーレンが英訳したものを使用した。不思議な事だが、当時の録音には、英訳された同曲のレコードも多く、演奏会でもそんな感じだったが、当時の時代背景を調べると色々と理解出来ると思う!気に成る復刻状態も良好なので充分に演奏を堪能出来る。さて演奏だが、録音年代から演奏精度について苦言を述べるのも酷な感じもするが、序奏部のホルンのズレは在るものの自然に音楽が流れているので然程気に成らなくなる。そして音には、気合が篭っているのが解る位に熱っぽい!そして各主題に対しての描き分けも神経が行き届いているので単調にならずに聴く事が出来る。木管部分の箇所でテンポを落とすのも印象的深い!ウィーン盤とは、9年の開きが在るが、断然、推進力は、此方の方が在る。それは巨匠の年齢を考えても当り前だろう!展開部もストレートな表現である。テインパニーの響きが薄いのは、当時の再生装置を考慮した結果なので仕方が無いが、蓄音機でオリジナル盤を再生すると案外気に成らない箇所かも知れない!品の良いフレーズの扱いは、この頃の録音からでも健在である。第2楽章は、とてもキビキビとしたリズム感が印象的だが、余りキツイ印象は無い!最初のリピートが無いのは収録の関係だと思う!聴いていると楽員の英国人としてのジェントルマン気質が、巨匠によって、より助長されている様だ!第3楽章は、冒頭からクシャミの音と共に始まるので「おやっ?」と思う!そのクシャミは、途中も聴こえるが、演奏は、サラサラ進む。うっとりする程の美音を奏でているが、指揮者の資質が、やはり重要なのが実感出来る。ウィーン盤とは、別の良さが在ると思う!終楽章冒頭旋律のトランペット加筆は、巨匠ならではだが、バリトンが入るまでのオケ部分は、流石堂々としている。ハロルド・ウィリアムスの英語での歌いだしは、どうかと気に成ったが、然程違和感が無かった!それは、巨匠がオーストリア人なのも関係する事かも知れない!他の独唱者のバランスも良い!だが合唱団の水準は、「当時は、こんなものなのかな?」と思う位だが、この頃のブルーノ・キッテル合唱団の方が、まだ上手かった感じがした。演奏全体としては、手堅くまとめられており、終止部も良いと思う!尚、このCDには、1938年2月14日収録(アビー・ロードNo.1 スタジオ)の「レオノーレ」序曲第2番が収録されている。楽団は同様である。これは堂々たる演奏で、どっしりとした印象を受ける。楽団とも相性が良いみたいで「第九」の頃よりも楽団自体の演奏精度も上がっているので文句無しの快演と言える。楽員も巨匠の表現に必死に食らい付く様で素晴らしい!

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