2012/1/21

最近は、カラヤンを聴くのだが...  指揮者


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Nippon Grammophon SMG-2036 LP


最近は、やたらとカラヤンを聴くのだが、以前はアンチだったので不思議なものである。それも通俗名曲の部類は実に良く、過去に買ったレコードを引っ張り出して聴くのだが、其れもどんどん頻繁に成ってきている。是から紹介するレコードも其のひとつである。録音は古く1959年のものだが、現在の耳で聴くと如何にもアナログらしい豊満な柔らかい音質に魅了されてしまう!曲目は、ブラームス「ハンガリー舞曲」とドヴォルザーク「スラブ舞曲」の共に選集である。楽団は、もちろんベルリンフィルだが、「指揮棒の魔術師」と言われていた頃のカラヤンらしい演奏をしている。よくオーケストラの魅力を表現する言葉に「シンフォニックな魅力が...」云々と書かれるが、是も其の典型のものだ!華麗で豊麗、其れで洒落ている。巨匠の生前は、精神性と言う言葉を使い、アンチの人は批判合戦を繰り広げていたが、まだ対象と成る指揮者も居た事から何かと比較されていた。思えば聴き手にとっても良い時代だったと思う!当時、対抗馬とされていたのは、カール・ベームなのだが、両巨匠の新譜が出る度に購入時に迷った経験の在る人には懐かしい思い出だ!しかしながらカール・ベームも巨匠同様、新即物主義の洗礼を受けた音楽家で、違うのは、今から思えば単に特質の点だけだったので、華麗か無骨か程度の事だったと思う!其れでは演奏に触れるが、曲順は、番号通りには収録されていない!是は巨匠の狙いだろう!参考に表記すれば、ハンガリー舞曲は、5,6,17,3,1,20,19,18番と曲想の流れに添って巨匠なりの起承転結を表現している。だが聴いてみると効果的で、其れこそ狙いが解ろうと言うものだ!それにしても後年程、洗練されて無いとは言え、当時の華麗な響きには魅力がある。例えれば、ゴージャスなマントヴァーニだろうか?B面のスラブ舞曲も同様だ!是も曲順に特色がある。表記すると1,10,3,16,7の順番だ!第1番から圧巻だが、揶揄に値する演奏も在り、特に第10番の叙情的で儚い甘美な演奏だけを聴くだけでも価値の在るレコードだと言える。何気なくネットで、このレコードを調べていたら同じジャケット・デザインのCDを見つけた。息の長い演奏だ!

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2012/1/20

バックハウスのベートーヴェン Part.2  器楽曲


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King-Londn(Decca) MZ 5002 LP 1969


鍵盤の獅子王ことウィルヘルム・バックハウスが弾いたベートーヴェンのピアノ・ソナタである。尚、巨匠のレコードを御持ちの方は、御存知かも知れないが、英.Deccaには、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全集が、モノーラルとステレオ録音双方に在る。此処では、旧全集であるモノーラル盤を紹介する。どちらが良いかは、個人の好みかも知れないが、私は、旧全集の方を好む。何故かと言えば、後年のものと比べて巨匠が嘗て技巧派として腕を鳴らした面影を知るには、とても最適なレコードで在るからだ!其れと言うのも奏者は、年齢と技巧に対して密接な関わりが在るからなのだが、巨匠とて例外では無い!特に高齢まで活躍した奏者には、影響が出るのは、考えなくとも当たり前である。確かにこの頃の巨匠には、まだヴィルトゥオーゾ的な感覚が残っている。其の点では、作曲家のベートーヴェンとてピアニストとしても即興の大家として有名だったので尚更だと思う!前置きは、此処までとして演奏の感想を述べよう!曲は、4・5・6番のピアノ・ソナタである。最初に4番だが、この曲は「恋してる女」との俗称が示す様に作曲家の感情の発露と成っている作品でも在る。第1楽章の素朴な鮮やかさは、聴いていると乙女の弾んだ気持ちを表しているかの様だが、絶えず音が丸く転がり回る感覚は微笑ましく急に差し込む暗雲も思春期の女性の様である。同時に御茶目な描写も散りばめられている。第2楽章の物思いに耽る表現も音に優しさを感じる。一見、淡々と弾いている様で内面性を素直に表している。第3楽章も揺れ動く乙女の心情を良く表した描写が、とても素敵だ!終楽章の優しい表情も聴き手の方が「恋してる女」の気持ちに感情が同化する様な処が在る。そして「乙女の気持ち」ってそんなものなのかな?なんて空想している内に曲は終わる。第5番に至っても巨匠特有の無骨さが在るが、素朴な味わいを感じる演奏で、しっとりと曲に浸透する様は良いものである。其れは、第6番も然りだが、此処には鍵盤の獅子王と揶揄されたバックハウスの真髄を聴くべきものがある。

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2012/1/14

ニルソンのイゾルデ  歌劇・楽劇


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DECCA jubilee JB 58 LP 1979


ビルギット・ニルソンのイゾルデと言うと即座にバイロイト音楽祭でのカール・ベームとのDGG盤が浮かぶが、ハイライト盤としては、このハンス・クナッパーツブッシュとの共演盤が、やはり現在に在っても最強だと思われる。当時のクナッパーブッシュは、英国DECCAのプロデューサーであるジョン・カルショウから既に冷遇されていたが、そんな状況に在っても演奏自体は、とても個性的で、所謂十八番物のワーグナーは、やはり素晴らしかった。是は、クナッパーブッシュが最後にDECCAに残したワーグナーの録音だった。しかも主役は、ビルギット・ニルソンである。そう言いながらも、クナッパーツブッシュの個性満開で、細部に渡り指揮者の目が光っているレコードである。しかしながら録音バランスは、ステレオ初期の慣例で、ティンパニーが遠く、弦主体の上品なものである。其れによって指揮者の個性が薄くなっているのは、残念だが仕方在るまい!そんなものだから私自身もこのレコードに関しては、少々物足りなさが在り、不満も在ったが、現在では、少しづつであるが見直している。曲は、「前奏曲と愛の死」と「イゾルデの物語と呪い」である。収録は、1959年9月22〜25日にされているが、正直、初めて聴いた時は、流石にウィーンフィルの音色は美しく、其の美音が、耳に付くものの何か物足りなかった。其れは、余りにも演奏が、理性的に過ぎて実在感に乏しく感じられたからなのだが、何度も聴くうちに演奏の内面性が、ようやく理解出来る様に成った。この手の演奏は、聴く者の年輪にも関係する様だ!其れだけ音楽は、内面的に深いと言う事だが、実際、購入時に敬遠していたレコードも後から理解出来た経験は、音楽を聴く事を趣味としている人には、誰にでも在ると思う!是もそんなレコードだ!序曲は、囁く様に始まるが、陰影を感じさせる音色は深く、録音バランスの不備を感じながらも魅了されるものがある。そして表現もとても緻密である。息の長いワーグナー特有のクレッシェンドも素晴らしいが、演奏自体の呼吸も深いので、じっくりと聴き込める。そして展開部でさえ儚く美しい情念が音化されており、圧巻である。「愛の死」も囁く様に始まるが、ニルソンのビロードの様に引き締まった声は、前世代のワーグナー・ソプラノとは、また違う味わいが在る。声のコントロールも万全の時期で頂点に達しても余裕の在る声量豊かな美しい声は、本当に素晴らしい!それは「イゾルデの物語と呪い」も同様だが、此処では、クナッパーブッシュの伴奏が、常にものを言うので聴き応えがある。湧き上がる様に始まる冒頭から全てを揺るがす壮大な表現は、実在感も在り、豊満だが透明感の在る孤高な演奏は、正に巨匠ならではと言える。聴いていると舞台が浮かぶ様だが、オケの音色は、此方の方が立体的に捉えられており、何の不満も無く聴けるのが良い!此処では、ニルソンのイゾルデが全盛時にどれ程素晴らしかったかが垣間見れる程、表現が多彩で劇的でも在る。このコンビでの全曲盤が、もしもDECCAで可能で在ったら人類の宝と言って良い程のものに成っただろうと惜しまれる。カルショウの心変わりが与えた文化的損失は大きい!残念なのは、やはり録音の彫が浅い事である。もっと良いプレスで聴いてみたいものである。

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