2013/5/17

神々の黄昏 第3幕  歌劇・楽劇


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Fonit Cetra FE-20 LP 1982


嘗てイタリアのチェトラと言うレコード会社がフルトヴェングラー・エディションなるシリーズを販売していた。そのシリーズはプライベート盤で入手が難しいものを一般販売する事でファンの要望に応えたものだったが、まだ市場でも需要の在った時代でもあり、良く売れたと思う。それに新着マスターからのカッティングを売り物にしていたので所謂過去のプライベート盤よりも音質が良かったので尚更である。正式契約で得た音源が実際にどれだけ在ったかは不明だが、中には大手レ−ベルが正規ライセンスを取って再販したものよりも明瞭なものが在った不思議なレ−ベルだった。特に偉業とされるのはスカラ座の指環だろうが、今から思えばフルトヴェングラーの録音も新発見とかで盛り上がっていた時期なので余計に巨匠のファンの気持ちを煽ったと言える。国内ではキングレコードが契約しており国内盤も在ったが音そのものは本元のイタリア盤の方が良かった。イタリア盤と言うと盤質云々と敬遠されていたが、現在に当時の盤を聴いてみると如何に固定概念とは宛にならないものだと実感する。さてイタリアのチェトラ社はイタリアの大手レコード会社である。それでも歴史的音源に関しては海賊盤としての認識なのは不思議である。だが単なる企画物のシリーズだったので正直そこまで考えていなかったのかも知れない!だが巨匠の実況録音を扱うレ−ベルでは在ったが他との違いを感じた事がある。それは巨匠のイタリアでの演奏会の音源を多数発売していた事だ。その辺は流石地元の強味だろう!此処で紹介するレコードもそんなレコードである。曲はワ−グナーの神々の黄昏から第3幕である。これは現イタリア放送協会(RAI)がまだURIと言う名称の時代にラジオ放送用の演奏会で行われたものだが、歌手も豪華で中々聴き応えがある。配役は、ルートヴィヒ・ズートハウス(ジークフリート)、ヒルデ・コネツニ(グートルーネ)、ヨゼフ・ヘルマン(グンター)、キルステン・フラグスタート(ブリュンヒルデ)である。尚、楽団は、RAIローマ管弦楽団&合唱団で期日は1952年5月31日である。尚、此方の演奏会は翌年に行われた「ニーベルングの指環」全曲放送の試演らしい!さてこの演奏、イタリアの楽団と言う事で聴き慣れたベルリンフィルやウィーンフィルと比較して魅力が半減するかと思い勝ちだが確かに洗練されたオケとは違い荒い面も在るのだが、その荒さが巨匠特有の「ズシャ」「ザラッ」とした独特のアインザッツを強調させる結果となった。重量感もドイツ系の楽団の様な訳にも行かないものの生きた音楽が目の前で展開されるのは聴いていても楽しい!だが初めて聴いた時は、もう少しこの演奏に「歌が在れば」とも思った。それは角笛の後のラインの乙女達の歌なのだが今ひとつ精彩に乏しい感じがする。実はその直前に角笛も模倣したホルンがギクリとする位に音を外しているので何となく、それが後遺症となり、音楽に乗り切れなかったのかとも思うが考え過ぎか?とは言え大きく弧を描くようにゆっくりと演奏が乗って来ると何とも言えない暖かい音楽が満ち溢れてくる。幸福に満たされるとは正にこのような状態なのだろう?ズートハウスのジークフリートも悪くない!在る程度聴いていると、「イタリアのオケで聴くワーグナーも良いものだ。」と感心するが、やはり此処には巨匠の存在感が際立っている。余り壮大なワーグナーではないが、スケールが程々で聴きやすいと思う人も居るだろう?表現も意外に地味だが繊細なので、そう聴こえるのかも知れない!例の葬送行進曲もそんな感じだ!ブリュンヒルデはキルステン・フラグスタートだが、終盤の自己犠牲を聴いていると、この演奏会の「主役はフラグスタートなのかな?」と思う!既に往年を過ぎた声だが風格は流石に立派である。巨匠の指揮は既に晩年調で落ち着いている。

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2013/5/7

アーベントロートのブラームス  指揮者


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TokumaJapan TKCC-15053 CD 1999


ヘルマン・アーベントロートが指揮したブラ―ムスの交響曲第1番である。楽団は、ライプツィヒ放送管弦楽団だが、極めて純ドイツ的な音色に感心しつつも演奏そのものは、個性が強く現在では、相当風変わりのものである。収録は、1949年10月20日にライプツィヒ放送局SRKホ―ルで行われた放送用の録音である。気になる音質も良好なので、充分、演奏を堪能出来るが、初めて聴いた時は、はっきり面食らったものである。巨匠の演奏様式としては、メンゲルベルクにフルトヴェングラーを掛け合わせた様なものと揶揄される事も在るが、それにしても特有の個性が在る。フルトヴェングラーの場合は、曲の造型に対してデューナミクの収縮で構成を決めているが、メンゲルベルクの場合は、小節事に設計をすると言う特色が在る。どうやら巨匠の演奏を聴いていると後者に近いようだ!それにしても聴いていると面白い演奏だ!序奏は、意外と蒼白だ!だが、どんどん濃厚に成って行くのは正に巨匠ならではである。主部への移行も割りと普通だが、小節が進む事に「ん?」てな状況になる。其れは主題事にテンポやアキュレーションの扱いが、ガラリと変わるからだが、ルバートの掛け方も「本当は、気まぐれにやってるんじゃないの?」と思えるほど自由自在である。感心するのは、そんな鋭角的な改変でも楽員達が、寸分の乱れも無く尽いて行くところだ!其れも燻し銀の様な良い響きで応えてくれる。第2楽章も基本的には同じだが、此方は、ロマンティックの境地と言った演奏だ!揺れ動くテンポ感もとても効果的だ!しかも感情移入も素晴らしく、聴いていて身が詰まされる思いがする程である。この楽団の純ドイツ的な深く味わい深い音色も最高である。第3楽章は、割とさらりと扱っているが、反面とても充実しており有機的な響きが安定性を示している。終楽章の出だしもそんな感じだが、ピッチカートで主題を演奏する箇所のテンポは、まるで何かを探るように細かい動きをする。この楽章は、良くも悪くも巨匠の特色が出たもので、とても一筋縄で行かないものだ!聴いていて一番びっくりするのは、コーダの手前で、聴いたことの無いテンポ設定をしている事だろう!是には本当に驚愕する。確かに誰でもテンポを動かしたい箇所だが、巨匠の表現は、余りにも風変わりである。外観は、オーソドックスだが非凡な演奏だ。この演奏に嵌ると他の演奏が物足りなくなる。

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