2014/2/19

クナッパーツブッシュと英.DECCA  指揮者


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TELDEC"TELFUNKEN-DECCA" 6.48137 DT 2LP


クナッパーツブッシュが、英.DECCAに録音を開始したのは、1947年頃からだが、既にワーグナーの録音も手掛けている。後にプロデューサーが、気分屋のジョン・カルショウに移ったのは何ともだが、LPレコードの時代に移行し、ウィーンフィルとも録音を開始してからでもワーグナーの一連の作品の収録は継続された。その仕事は、目録を確かめると意外に充実している。事実、ウィーンでは、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の全曲録音も存在しており、抜粋物も結構録音されている。但し其等のものは、英国本国では、LP初期に発売されてはいるものの日本では、発売された形跡すら不明のものも多い。確か日本では行き成り廉価盤で発売された記憶がある。此処では、LP初期に録音されたものとステレオ初期のものをカップリングしたレコードを紹介する。LP初期のものに関しては、全て再録である。楽団は、勿論ウィーンフィルだ。このレコードは、ドイツ.テレフンケンでプレスされたもので、特有の硬さを感じる音質だが、其れが良い意味での明瞭さに結びついているので気に成らない。それに音質も素晴らしく、極太の強い音色が魅力的である。1枚目は、「神々の黄昏」から「夜明けとジークフリートのラインの旅」である。収録は、1956年とされているものだ。針を降ろすと実に深々とした深遠なる響きが聴こえてくる。これが夜明けの印象だが、何か巨大なものが鼓動している様な趣も在り、真に壮大な表現である。何と言っても呼吸が深い。これが巨匠の特色でも在り、魅力なのだが、徐々に膨れ上がる造型も凄くデリカシーも在り、時に聴こえる木管の調べがとても優美だ。それに決して力ずくな演奏では無いので、ちっとも煩くは無い。だからラインへの旅の処も急に駆け出す事の無い品格の良さを感じる。例えれば、天界から全てを見通している様な感じで、僅かなニュアンスも見逃がさずに鳴り響くのには感心する。それは、ジークフリートの葬送行進曲とで同様だ。冒頭の混沌とした響きから雰囲気満点だが、足取りもそう重たい訳では無いのに充分に重量感の在る充実した表現だ。フォルテシモでも決して喚く訳でも無いのに物凄い迫力である。これこそ聴く者の心理に響き渡る演奏である。裏には、「トリスタンとイゾルデ」の第1幕前奏曲が収録されている。だが別件でも取り上げているので割愛しよう。「ワルキューレ」の第3幕から「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」も収録されている。これは、1958年に収録されたものだが、冒頭のワルキューレの騎行の動機が轟然と鳴り響く様を目の当たりにすると本当に呆然としてしまう。それも人間業を超えた馬鹿でかいスケール感なので、正に圧巻である。ヴォータンは、ジョージ・ロンドンだが、時に歌唱が怪しくなる。特に後半は息切れ気味だ。しかし巨匠の表現が余りにも凄過ぎるので多少の欠点はカヴァー出来ている。木管の星の瞬きも聴きもので天界から全宇宙を眺めている趣を受ける程、神秘的だ。2枚目は1953年頃の収録のものだが、擬似ステレオ化をしているされている。最初は、「タンホイザー」序曲とヴェーヌスベルクの音楽である。演奏は、冒頭の木管から素朴の極意だが、それに絡む弦が誠に瑞々しく本当に素晴らしい。残念なのは、フォルテで音が濁る事である。テンポは普通で、スケールもそんなに大きく無いが、曲の良さは充分伝わる。それにしても素朴の中から高貴な響きが聴こえてくる。ヴェーヌスベルクの音楽も良いのだが、時に編集の雑な箇所がが在り、とても気に掛かる。バッカナーレは、徐々に音楽が膨れ上がり、どんどん熱狂的に成ってくるので、迫力も在るが、此処でも力ずくでは無い、本当の感情の嵐を体感出来る。楽員が夢中に成っているのが解る位である。その後の本来なら合唱の入る処がオケだけなのは残念だが、ここでも巨匠ならではと言うべきものは勿論在る。裏には、「さまよえるオランダ人」序曲が、カッティングされてる。これも然程スケールの大きい演奏では無い。しかし確信を持って進むので説得力が在る。例の水夫の合唱の旋律も情景が浮かぶ様な処も在り、曲を知り尽くしている感じだ。後半も凄いが、何処までも響きの透明感を失わないのは流石である。最後は、「ワルキューレの騎行」である。テンポは幾分遅めだ!勇猛なホルンの音が素晴らしくワルキューレ達が飛遊する光景が浮かぶ程である。これも後半が凄く、更にテンポを落として物凄い怒涛の嵐に巻き込まれる。聴き終わって感じたのは、やはりワーグナーの演奏には、ある程度の呼吸の深さがないと楽曲の力に負けてしまう。近年は、そんな指揮者が居ないのは、やはり残念だと痛感する。

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