2015/6/23

ターリッヒの39番  指揮者


クリックすると元のサイズで表示します
Shinsekai-Supraphon PSX-1 LP


チェコ・フィルハーモニック交響楽団最大の功労者としては、即座にヴァーツラフ・ターリッヒの名が浮かぶが、氏は元々はヴァイオリニストで然も1903年には、ベルリン・フィルのコンサート・マスターを務めていた。当時の同楽団の音楽監督は、既に伝統者扱いのアルトゥール・ニキシュだった。そもそもターリッヒが、指揮者を志したのもニキシュあればこそだが、結局それが原因で指揮者としてのキャリアを踏む事となった。そのデビューも翌年の1904なのだから如何に行動力に長けていたのかが伺い知れる。その後の経緯は省略するが、チェコ・フィルとの関わり合いは1908年からの縁で、1919年には主席指揮者に就任をしている。此処で紹介するレコードは正に円熟期の1949年に録音されたモーツァルトの交響曲第39番だが、楽団は勿論、チェコ・フィルである。因みにこれは、まだスプラフォン盤が新世界レーベルで発売をされていた時代のものなので、日本ではビクターがプレスをしていた。そして気になる音の状態だが、モノーラル録音との事もあり、芯の強い堂々たる再生音である。しかしながら精彩に乏しく聞こえるのは、この楽団特有の燻し銀のような音色が当時の機材では捉え切れなかったと判断をしても良かろう。それはカール・ベームの時代のドレスデン・シュターツカペレのレコードにも言える事だ。さてこのレコードは、当時の制約なのか、本来なら片面に収まる位の楽曲であるにも関わらず、前半2楽章をA面に収録し、後半楽章をB面に配する贅沢なものになっている。それもあるのか音そのものの印象もたっぷりとした余裕と厚みのあるもので充分に楽曲を堪能出来る。この交響曲は私見では、作曲家が当時入信をしていたフリーメイソンの影響が色濃く表れていると思い込んでいるのだが如何なものだろう?それは序奏部に扉を叩く音のような3回の打音を連想させるリズムがある事で、これ程に明確なものもないだろう。然も調性が♭3ヶ、♯3ヶであり、変ホ長調なのだ。おまけにスラーも連続されているのも特徴で、それは調和や友愛を意味している。クラリネットの使用もそれに辺るのだが、此処に挙げた特色は、フリーメイソンへの入信儀式には必ず関わるものであり、そんな組織の秘密事項に関する事をモーツァルトが楽曲で公にした為に命を縮めたと言われているのも、音楽のオカルトとして「知ってる人は知っている」ものでもある。尚、この交響曲は作曲の理由すら不明なので尚更にそんな詮索をされてしまうのだろう。これこそ都市伝説か?此処からそのレコードの感想だが、針を下ろすと堂々たる序奏部が始まるが、基本リズムは、とても安定しているのでより曲のスケール感が解るが、それにしても弦楽器のセクションが美しく、主部の始めに聴かれる優美な第1主題がホルンとファゴットの反響を伴って第1ヴァイオリンと戯れるさまには本当に癒される。それでいてアレグロの部分は活発で晴れ晴れする。これぞ王道とも言って過言でもない程のモーツァルト像が見事に浮かび上がる。それは繊細に人の心理を覗くような第2楽章にも言える事で、これこそアンダンテなのだと納得してしまう。テンポの扱いはどちらかと言えば相当なスローテンポなのだが、じっくりと聴いていられるだけの緊張は保っているので凭れない。素晴らしい位に長閑で抒情的なので気がついた時には感動に打ち拉がれる程だ。聴いているだけで充分に幸福になれる演奏だ。第3楽章は、やや遅めのテンポなので落着いて聴く事が出来る。指定はアレグレットだが、メヌエットとしても良い印象を受ける。間のトリオも格調高く華麗で木管との掛け合いが美しい。終楽章も急がず焦らずで心地良い。此処でも大家らしい余裕を感じる。だから終始部も駆け抜けず最後の音まで決めて終わる。余白には、同作曲家のセレナータ・ノットゥルナ ニ長調 K.239 が収録されている。これはルドヴィート・ライター(ライテル)が指揮するスロヴァク(スロヴァキア)・フィルハーモニー管弦楽団によるものだ。尚指揮者のライターは、同楽団の初代音楽監督である。早速感想を述べるが、行進曲とされている第1楽章は格調高いが、力強い提示部と独奏楽器郡に表れる優しい調べの対比は面白く、展開部のピチカートのリズムにはユーモアが感じられる。その合いの手も絶妙だ。メヌエットは美しいが線が太いので主張が明確で、それはそれで良いと思う。尚、指揮者のライターはクレメンス・クラウスに師事を受けた人で、モーツァルトもその請け合いなのかと聴いていると感じてしまう。終楽章はアレグレットだが、ウィーン風の行進曲を思わせるロンドと言う事もあって、この指揮者の特性は、此処で聴かれるものが本質なのかな?と思った。これには短いアダージョの楽区があるが、それがまた見事なのだ。聴き終っておなかいっぱいになったレコードだ。

人気ブログランキングへ 

0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ