中国に滞在した者(1995年以前)で有れば、一般大衆の目の前で行われる「公開裁判と死刑現場」を見た事が有るかも知れない。否、話とか日本の新聞、雑誌、テレビ等では話題になった事は有るかも知れないが、実見した日本人はそう数が多くは無いだろう。最近、死刑に対する論評が見られる様だが、私にはその是非を問う資格や見識を持たないから、実見した事を虚実を混ぜず有りのまま話そうと思う。
場所:中国東鎮市々内の某中学校校庭
公開裁判と死刑現場期日:’95年8月18日(火)AM10.00(気温30度以上で暑い)
横断幕:赤地に黒字で「東莞市中級人民法審判大会」と有る。
被告者合計:34名(強盗殺人犯や窃盗犯)
死刑宣告者:15名(判決後10分以内に死刑執行)
見物人:約3000以上?(外来工が多い事業所は半強制的に参加)
周囲の警備状況:学校は小高い丘に有り、ライフル銃を手にした警備兵が多数見える。
臨時の裁判所:学校の正面玄関階段に赤い絨毯が敷かれている。
罪人の登場:新聞紙大の紙に名前が書かれ、胸に下げている被告人がトラックに乗せられて登場した。意味不明の凄い歓声が上がる。又、被告人の手や足には鎖が掛けれ、両脇には警護人が付き添っている。
裁判は被告人が横一列に並ばされると同時に、裁判官が登場し罪状を一人2分以内?で読み上げられた。その判決文の言え渡し合計は、一時間以内かと思われる。裁判所(正面玄関前)の特等席は街の老人達で占められ、青いビニールシートが敷かれ座っている。中国の裁判は、中級裁判所の判決(二審で終了する)で確定すると言う。もちろんこの裁判の前には、十分な審議を尽されていると思うのです。
死刑の判決が下った者は、グランド脇の広場(焼却炉が有る片隅)に直ちに引き立てられて行き、10分と経過しない内に銃殺刑が始まるのです。両足が地に付かず自ら歩けない者もいるし、昂然と胸を張って死につく者もいるが、殆どは立っていられない。
銃殺は目に黒い布で目隠しされ木に縛られ、銃殺隊が2名いて、10メートル以内からライフル銃で撃つ。パーンと言う乾いた音がすると同時に、生命は終わりを告げる。死体は傍らの草むらに両手を引きずられて積み上げられる。この日銃声が15発聞こえて15人の生命がこの世から消えた。目前で銃で撃たれ本当に人間が死ぬのです。
この時の公開裁判について公示したものが、写真の一部で有る。罪を犯し死んだ者にも人間としての尊厳が有り、外国人で有る私が、詳細を書くのは憚られるので一部分のみ公開する。公開文を読めば、死刑になった者は死刑に与えする重大な強盗殺人等を犯している様です。なおこの公開裁判の判決文は街の中でも見ることが出来ます。赤字のレ点印は確定の意味で有る。
公開裁判と公開死刑の目的は、犯罪を犯せばこの様な死刑になると言う意味が有るのだろう。なお銃殺刑を執行した者(ライフル銃を撃った者)は未だ10代の少年兵だった様な気が致します。有る日、彼等が集団で夜市を歩いている姿を目撃した事が有ります。童顔では有ったが、彼等の振る舞いはどこか涼しげで落ち着いている。何物にも動じない風で有る事に、恐れを感じた事を覚えている。
注
あれから月日は経ち、既に時効になっている白昼夢(真夏)の出来事では有った様ですが、殺人犯罪と死刑の関心が高まっている現在、おもい出して公開するものです。なおこの記事の転載流用等は固く禁じます。又、現在の中国では、公開裁判とか銃殺刑は有りません。

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