魯迅には「中国小説史略」と著作が有って、元、明朝以後の小説を次の様に区分している様です。注:平凡社刊「東洋文庫」
1、元、明朝時代に伝わった講史、、、水滸伝等
2、明代の講史、、、三国志演義、随唐志伝、平妖伝等
3、明朝時代の神魔小説、、、四遊記、三宝大藍西洋記等
4、明朝時代の人情小説、、、金瓶梅等
5、明朝時代の作で、宋朝市人小説を模倣した小説及びその後の選本、、三言、今古奇観等
6、清朝時代の作で晋、唐朝時代を模倣した小説、、、聊斎志異等
7、清朝時代の風刺小説、、、儒林外史
8、清朝時代の人情小説、、、紅楼夢
9、清朝時代の作で、小説によって才覚を見せ様としたもの、、、野曳爆言、鏡花緑等
10、清朝時代の邪悪小説、、、品花宝鏡、花月痕等
11、清朝時代の侠義小説及び公安(裁判事件等を書いた)、、、児女英雄伝、三侠五義等
12、清朝時代末の譴責(ケンセキ)小説、、、官場現形記等
この魯迅の区分方法は、小説と言われるものを総花的に並べたきらいも有る有る様です。これを並べ替えて見れば、大きく三区分出来ると思うのです。
第一は歴史小説(三国志演義、水滸伝)と、第二は神魔小説(西遊記等)で有り、第三は社会小説(儒林外史等)で有ろう。恐らくは、歴史小説から神魔小説に変化し、やがては社会小説に変化したかと思う。特に儒林外史等に見られる官吏の不正腐敗等に、それが見られるので有り、これらが社会問題として反響を呼ぶのは自然な成り行きで有った。つまり中国小説は歴史小説以外は、全て社会性を持った小説と言え換えても良いだろう。
注
「四遊記」とは、東遊記、南遊記、西遊記、北遊記を言うらしいが、孫悟空の出てくる西遊記以外は未見です。又、「三宝太監西洋記」は明朝時代の宦官で有った「鄭和」のアフリカ遠征等を小説化したものです。

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