日本人は手先が器用だと言われます。その器用さが、戦後日本の経済成長の原動力となったのです。特に精密産業を支える「金型つくり」等は他に抜きんで追随を許さなかったのです。良く言う町工場の頑固一徹な職人技の伝統です。それが無ければロケットだって飛ばせないのです。この職人技が廃れると共に、日本は貧乏に向かったのです。
さて中国人も手先が器用の様ですが、つくりが粗く繊細に欠ける嫌いが見られる様です。先ほどの金型等は、多くの日本人指導のもとで制作、修理等を行っているのが現状の様です。
中国華南地方の沿海部(福建省、広東省等)からは、海外雄飛する者が多く見られ、華僑と呼ばれますが、その理由は貧しさから抜け出す為だったのです。広東省の中山市とは「孫文」の故郷ですが、あそこは山野に囲まれた貧村だった様です。ただ海が目の前に有って、その向こうには生きて行く為の術が有ったのです。
生きて行く為の術と言うのは、手に技を付ける事です。中国人には伝統的に3個の技が有って、それを3個のハサミと言うらしい。
料理人のハサミ
中国料理店のコックさんのハサミです。いわゆる包丁一本の世界ですが、この技を身に付ければ、世界中どこに行っても食ってゆけると言う。香港を拠点にした貿易会社の社長さんの奥様は日本人と中国人のハーフですが、実家は大阪市の中国料理店だと言う。
床屋さんのハサミ
私は東北の田舎者生まれで関西の方には詳しく有りませんが、大阪生まれの友人に依れば中国人の床屋さんが多いと言う。
服屋さんのハサミ
ロスのチャイナタウン等は、中華料理店も多いのですが、あそこは服屋さんの会社が多いのです。
写真は「冷盤」と言われるものです。中国料理のコックさんが彫刻刀を使用して、肉類、鶏卵の白身と黄身、大根、人参、赤カブ、林檎、蜜柑等々で白皿に絵を画いたものです。勿論全てが食材ですから食べる事が出来ます。高級レストランの前菜として出されますが、食べるのが惜しい様です。出されたら気にしないでパクパク食べて下さい。
この様な冷盤は日本にも有るかも知れませんし、むしろ日本人の得意技かも知れません。中国では冷盤と呼んでいますが、日本では、どの様に呼ぶのか知りません。

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