日本の電子産業機器メーカーの凋落は、中国への工場移転から始まったと言っても良いだろう。例えば、ソニーと言う会社は、その昔「
東通工」と呼び、山手線五反田駅のホームからひと際大きな看板が目に入ったが、あの大きなビルも現在では、売却の対象だと言う。世の中の激変でしょうか。その不調の遠因には、中国に工場を移転した事に大きな原因が有るのです。我国の電子産業は「新石器時代」のトランジスターラジオやテープレコーダーに始まって、それは輸出の花形産業でも有ったのですが、トランジスタラジオを造り売るためには、様々な技術革新が有ったのです。例えば、ポリバリコン等の発明とか、トランスの小型化等々がそうで有るだろう。これらは
四畳半メーカーとして出発して、現在でも大手の電子機器メーカーとして生き残っています。
注
かっての日本の総理大臣等は、トランジスターラジオのセールスマンとも揶揄されたものです。又、工場の門前には、輸出貢献企業の看板が掛けられた事も懐かしいものです。
これらを語れば、生きた化石として笑われるだけですから、止めて置くがソニーとかシャープ、三洋、パイオニア等々の、電子機器メーカーの凋落の、
真の大きな原因を知る必要が有るだろう。原因を知らねば、対策や解決方法を見え出せません。
いつの頃からだかは忘れたが、「
成果主義、能率主義」を主張する者が現われ、大いに巾を利かせたのです。それを言え出したのは、アメリカ帰りの経団連の某会長だった様な気がします。それはドラッカーに被れたものですが、これを言えだし実行した事が、
現在我国に癌とも言うべき病巣をつくったのです。日本経済の凋落の原因は、ここから始まったと言っても過言では無かろう。
貴方が、もしも企業の部長クラスだとしたなら、人事評価の権限を有するだろう。少なくても人事を効果的に動かす力を持っている筈です。もしも、その人事の駆使を成果主義とか能率主義で決めたとすれば、大きな間違えでしょう。組織に中では中心となって働く者が居ても、その成果は個人によるものでは無いのです。チームワーク(組織の力)の力に決まっています。それを個人の成果主義として判断決定するなら、チームはやがて崩壊するのは火を見るように明らかです。組織内には縁の下力持ちが得て、その真面目な者が組織を固めているものです。
社員を大切にしない会社は必ず滅びます。
さて安い労働賃金を求めて、
中国へ中国へと草木も靡いた時代が有って、その現今は終末を迎えているでしょう。問題は、成果主義とか能率主義に敗れた者が、中国送りに成ったのを多く知っています。彼等は、企業戦士とは言っても、日本を追われた恨みは忘れもしないのです。然しながら実力が有り、企業内で蓄積された技術の積み重ねも豊富です。中国と言うのは、労を少なくして果実を得る事に懸命です。あらゆる策を労して、日本人に近付くのは自然です。
金で釣る場合も有るだろうし、ハニートラップも有るだろう。かくして日本の技術は底の抜けた笊の如く流れ出たのです。日本で書いた設計図を、そのままコピーして渡る場合も多いのです。
これが日本の電子産業凋落の大きな原因で、それ以外のナニモノでは有りません。中国とか韓国企業の差し出す高給に釣られて、移籍する者の多くを知っています。但し、これは持てる力が枯渇すれば、簡単に棄てられる者も居るのも現状です。
この様な事情を知ってか知らずかは知らないが、日本の電子機器メーカーのトップは有効な歯止めが出来ないのです。
成果主義とか能率主義と言うのは、いかに日本の将来を誤ったかを知るべきです。
尚、現地の海外工場に要求するのは「
傘下企業へのコスト削減」で有って、そのコスト削減の成果のみが、評価の対象に成っていたと言う。これでは、親も子も共倒れするのは当然です。闇雲のコストダウンの要求は、ナニも得るものは無いのです。しかも面白がって、コストダウンを要求する大会社も有るそうです。
福島第一原発事故等も、経理畑のコストキラーの社長が居て、安全対策等は歯牙にも掛けなかった事が、今度の過酷な事故を惹き起こしたのです。事故による直接的な死者は無いと言うけれど、間接的な殺人や故郷を地図から消した責任は裁判に掛けるべきです。
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