皇帝ナポレオン2巻はイタリア遠征である。ナポレオンのアルプス越えは画期的な出来事とされるが、特に苦労なく終わる。コロンブスの卵のようなものなのだろうか。
アランの活躍を除いて、あまり戦術的なことは描かれない。
ナポレオンは兵士の略奪を厳禁する。違反者は死罪とする。これは織田信長と共通する。占領地の急拡大の背景には住民の支持が不可欠である。我慢や負担を強いてばかりの日本の公務員感覚とは異なるところである。
フランス革命を描いた人が、その後でナポレオンを描く。これは小説家の佐藤賢一も同じである。ナポレオンは皇帝になり、フランス革命の息の根を止めた。このため、フランス革命を肯定的に捉えるならば否定的に考えたくなる。同時代人ではベートーベンの評価が有名である。一方でナポレオンの対外戦争は革命精神の輸出の側面もある。フランス革命の延長線上に考えることもできる。

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