小さい頃から車好きだった。免許を取る時はどきどきした。
「これに受かるとフェラーリやポルシェも運転できる・・・」あほや。
20代の頃無理して車買って、そのローンのために働いた。2トントラックで配達をしていた事もある。
車好きにもいろいろあると思うが、僕は仕組みから、デザインから運転までも大好きだ。
今でも車関係で仕事をしている人をうらやましく思う事もある。
運転して疲れるというが、僕の場合むしろ人に運転してもらう方が疲れる。
昔からよくやるが、考え事をする時、悩んだ時によく一人でドライブに出かける。
幾度となくこれで助けられた。
先日もひゅ〜っと日頃通らない林道を走って気分転換に成功。その後仕事がはかどった。
今日もちょっとぼーっとしてたので新しくできたトンネルを散策してみるかと車に乗った。
最近物事がこころなしかスムーズにいかないなあと思っていたら案の定、前の車が仮免で、変なところで止まるし排気ガス臭いし・・・と伏線はあったのかもしれない。
目的のトンネルは探せず、まあいいかと農道をひたすら山の方へ走る。午後5時前くらいだったかな。
夜中に走る事もよくあった。暗い山の中はコワイがヘッドライトで対向車がわかるので多少冒険ができる。あくまで多少だが。公道の走りは少し把握してるつもりだがレーサーの走りは自己流なので全く自信がない。
大浜で行われるジムカーナという競技にも参加した事はあるが散々な結果だったからな。
さて、舗装された細い農道を登るとTの字にぶつかる。←名瀬方面、金作原方面→。どちらも舗装されていない山道。まあ、経験あるから慎重にいけばいい。
タイヤがもうやばい状態なので冒険せず街へ帰る事にした。
ちょっと前にタイヤが交換時期だと指摘されてあわてて前後、ローテーションした。
なのでもう少しは大丈夫だろうと思っていた。
山道をしばらく走っているとちょっと変な感じ。本当にちょっとだった。ん?パンクしてないだろうな?
FFなので前輪が気になる。スピードはゆっくりだ。人が乗ってても怖がらないはず。のんきに走りたかった。
ハンドルの切れ角が甘いかな?等と思ったが左右にゆすってもそんな変化は感じない。
周りの景色は多分奄美ならではのもの。対向車がきたら大変なくらい道幅も狭い。自然はすごい。あまり車が通らないので木々が道路にせり出しているし、わだちの真ん中は草が生い茂り車体の下をこする。
時折、小さな水のない川がありゆっくり通るが普通車ではまた、下部をごつん。
変に石が多くなった地点から金属音が大きくなる。何かおかしい。その前にもショックが固くなった様な気がしていた。いよいよか?でもまさか?車を止めて右の前後のタイヤを見る。どうもない。ほっ。
反対側に回って・・・あ〜〜〜ショック。
なんと左前輪のタイヤがホイールからはずれてる!ショック。がーん。どひゃ〜ん。
ちょっと走らせ直線に止める。ここだと対向車や後続車が来たらすれ違いできない。パニック!
こんなパニックは本当に久々だ。
予想していた以上の形とシュチュエーション。
実はタイヤの交換はお手の物だ。トラック乗ってた昔鍛えられたものだ。普通車はトラックに比べるとお手軽。
だ〜が、舗装路ではない。下り坂。ひと気はないが車が来たら待たせなければいけない。日が落ちるまでに猶予はあるが日は傾いている。タイヤがへこんでいるくらいだったら良いがはずれてリムもダメージがありそう・・・等と考えてパニックに陥った。
すぐさま作業にとりかかる。冷静な時には一服して、ちょっと俯瞰で観て状況判断するところだが今回はパニック。あたふたと非常用タイヤを取り出した。ああ、これもこの車で使用するのは初めてだ!と、空気圧は大丈夫か?パニックに輪をかける。これがパンクしたら?他のタイヤがパンクしたら?等と悪い妄想がかけめぐりさらに追いつめられた。
年はとるものだ。そんな中、冷静な部分もあった。砂利道で坂道なのでジャッキアップしたら車が動く危険がある。サイドブレーキを締め直す。そういや昔の車はストッパーなんかあったなあなんて思う。
こんな状況の設定が現代車はないのだ。ま、あったとしても役に立ったかな?
あわてつつも作業しつつ考える。ん?ホイールキャップがない!うわ、どこかで落としてる。
さあ、諦めて先へ進むか戻るか?この道幅でUターンできるのか。ただでさえパニックしているのに作業しながら考え事が増えた。ただ、これ以上の事故は避けたい。ジャッキが坂道で耐えるのを祈りつつボルトが締まってない等のおそまつな作業は重大事故につながるのでそこは慎重に・・・
テンバー(非常用)タイヤは細いのでこの砂利道ではとても頼りない。だが行くしかない。そもそもここはどこだ?進む方が良いのか戻ってホイールキャップを回収した方が良いのか?砂利道をかなり進んできていたので困った。
戻る事にした。なんとかUターンできるだろうと、慎重にタイヤへの負担を心配しつつ車を動かす。
ホイールキャップは次回!なんて不可能だと。そもそも先に行ってもすぐに舗装路に出れるかわからない。
う〜む今考えたらだんだんわかってきたがパニック頭で、よく判断したもんだ。ぞっとするな。
200mくらい戻ったところだろうか?ホイールキャップが落ちていた。パニック頭のどこかで写真とろうよと。だが却下、それどころではない。無事に帰れるかまだわからないのだ。他のタイヤがパンクしたら悲惨である。本当に怖かった。夜中のドライブじゃなかったのは助かった。
パニック映画の主人公になった気がしたぁ。もっともうまい映画だとこの後、立て続けに畳み込まれるものだが。いや〜現実はこわい。この主人公がタイヤ交換などできなかったらどうなったのだろう。
まあ、冷静に考えれば、最近の車のできがいいのかハンドルのコントロールは普通にできるのでそのまま走り続ければ街に出れただろう。ホイールとか車の損傷はあっただろうが。ホイールキャップも買えば良いし・・・
つまりお金の問題かい!
ここで終わりがちだが違う。よ〜〜く考えてみたらテーマは違うところにある。
山の中でパンクしてそのまま冷静に運転して帰ってくるのは難しい。金持ちでも。
携帯で誰かに連絡してって思ったが自分の居場所がわからない。時間はあまりない・・・
よく考えたらとてもこわいシュチュエーションなのであった。
パニックしたまま車を走らせ他のタイヤがパンクし、コントロールできなくなり立ち往生か?
そのままアクセル踏んで谷底へ。実際、間違えると落ちるような場所なのだ。ガードレールなんてないからな。
はあはあ・・・、どきどき。改めて人に迷惑かけず戻ってきたのを感謝したい。
こんな時もっとこうすれば?と思うだろうが今回はベストの選択をしたと言えるだろう。わお!
やっとここまでなれたかと思う。
ちょっと前だったらどじふんでるよな。
最近映画やその関係の本を読んでて、その影響だろうか?このパニック感は映画や小説では言えないものであった。今回の初動は冒険に挑むのもではなかったがそれに憧れる自分も再発見。
いやあ疲れた。
帰った後、いろんな物事を片っ端から片付けた。変にエネルギーもらったのか?
こわいものは・・・
たくさんあるのねぇ

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