「向田邦子」の
『眠り人形』を読みました。
東芝日曜劇場向けに書かれた放送台本を
「中野玲子」が小説化した作品です。
「向田邦子」の作品はエッセイ集
『無名仮名人名簿』を読んで以来なので約1年振りですね。
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美しい姉と、その陰でいつも損な役まわりを演じてきた妹。
だが、大人になってヒロインと脇役という立場は逆転してしまう。
心にわだかまりを持つ姉妹それぞれに、ある日、大事件がふりかかる。
姉妹の屈折した肉親愛をほのぼのと描く表題作の他、
「向田」ドラマの秀作
『花嫁』『当節結婚の条件』の三篇を収録。
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言葉づかいのせいか、小道具のせいか、よく理由はわからないんですが、、、
「向田」作品って、なんだか懐かしさを感じさせる雰囲気を持っているんですよねぇ。
本作品で印象に残ったのは、夫に先立たれた60前の母が嫁いでいく
『花嫁』ですね。
紹介された男が裕福だったせいで躊躇するが、経営する会社が倒産し裸一貫から再出発することになったことで嫁ぐことを決意、
「羽振りのいい時なら、コートの裏が破けたって、男はみじめじゃないんだよ。今は誰かつくろう人がいた方がいいよ」
という台詞がぐっ… ときますね。
母が嫁ぐ日、母を囲んで娘たちがガヤガヤと賑やかに玄関を出て行くエンディングも大好きです。
あと、
「向田」作品って、女性が描いたとは思えないほど、中年男性の心理を上手く描写していると思うんですよねぇ。
『当節結婚の条件』が、そのイイ例で、娘を嫁にやる親の気持ちが、とても良く伝わってきました。
「向田」作品って、ホントに懐かしくてホッとする感じがして大好きです。

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