「東野圭吾」の初期の長篇ミステリー
『卒業-雪月花殺人ゲーム』を読みました。
『怪笑小説』、
『毒笑小説』、
『黒笑小説』と連続して
「東野圭吾」の短篇集を読んでいたので、久しぶりに長篇を読みたくなったんですよね。
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大学4年の秋。
就職、恋愛に楽しく忙しい仲よし7人組・その中の一人、
「祥子」がアパートの自室で死んだ。
部屋は密室。
自殺か、他殺か!?
残された赤い日記帳を手掛りに、死の謎を追及する友人たち。
だが、第二の全く異常な事件が起って…。
錯綜する謎に挑戦する、心やさしき大学生
「加賀恭一郎」。
卓抜な着想と緊密な構成で、現代学生のフィーリングを見事に描いた、長篇ミステリーの傑作。
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乱歩賞を受賞した
『放課後』で鮮烈なデビューを果たした
「東野圭吾」の第2弾作品。
最近の作品に比べると完成度は低い感じを受けましたが、、、
その分、瑞々しさが感じさせられ、ミステリー作品というよりも青春群像として楽しめました。
『赤い指』等、最近の作品で警察官として活躍を続ける
「加賀恭一郎」の初登場作品(本作では大学生)なので、そういう意味でもファン必見の作品ですね。
本作品でのトリックは二つ。
ある鍵を使った密室トリックの方は、解りやすく、まぁ納得の内容でしたが、、、
雪月花式カードを使った毒殺トリックの方は、かなり複雑で理解し難く読むのに疲れちゃいましたね。
図解を見ながら、なんとか理解できるレベルだったので、もう少し易しくして欲しいなぁ… と思いました。
(読み飛ばす方も多いのでは… )
物語の方は、卒業を間近に控えた仲良し7人組+高校時代の恩師の8人を中心に展開し、主に
「加賀恭一郎」と
「相原沙都子」の視点から描かれています。
親友で、何でも知っていると思っていた仲間同士が殺人(自殺?)事件を機に、、、
仲間に言えない悩みを持っていたり、仲間を裏切る行為をしていたり、恨みを持っていたりしたことが、徐々に発覚します。
これって、現実にもあることなんですよねぇ。
お互いを良く知っていると思っても、所詮、知っている部分なんて、その人のほんの一部でしかないんですから。
「藤堂正彦」と
「牧村祥子」、
「若生勇」と
「井沢華江」の二組のカップルに生じた出来事を発端に、仲間やカップルの中で憎しみや殺意が生じ、それが、やがて二つの殺人事件(自殺)に繋がります。
真相を探ることが仲間を裏切る行為になりかねないことに悩みながら
「加賀恭一郎」と
「相原沙都子」が推理を進めるところが、青春モノっぽくて良かったですね。
そして、
「加賀恭一郎」は遂にある仮説に辿りつく、、、
「加賀恭一郎」の推理は完璧じゃなく、真実とは異なる部分もあるんだけど、犯人の独白や会話から、読者には真相が知らされる構成になっています。
自分の幸福のために友人を犠牲にすることについて、色々と考えさせらる作品でした。

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