久しぶりに冒険小説/本格推理小説が読みたくなり、
「アガサ・クリスティ」の
『親指のうずき』を読みました。
「アガサ・クリスティ」作品は昨年の2月に読んだ
『ブラック・コーヒー』以来なので久しぶりですね。
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亡くなった叔母の遺品、一幅の風景画を見た
「タペンス」は奇妙な胸騒ぎをおぼえた。
描かれている運河のそばの一軒屋に見覚えがあったのだ。
悪い予感を裏づけるかのように、絵のもともとの所有者だった老婦人が失踪した…初老を迎えてもますます元気、冒険大好きのおしどり探偵
「トミー」と
「タペンス」、縦横無尽の大活躍。
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おしどり探偵コンビ
「トミー」と
「タペンス」モノは、彼らが初登場した
『秘密組織』以来ですね。
当時、若々しかった二人が、46年の歳月を経て本作では老夫婦となって登場します。
『秘密組織』は1922年、
『親指のうずき』は1968年の発表なので、相応の歳を重ねたということなんでしょうが、ちょっと不思議な感じがしますね。
養老院
「サニー・リッジ」で亡くなった
「エイダ叔母さん」の遺品の風景画を見て、
「タペンス」は
「見た記憶がある」と感じ、それがきっかけとなり大事件に巻き込まれていきます。
その絵は
「エイダ叔母さん」が亡くなる前に、
「サニー・リッジ」に住んでいた別の老婦人
「ランカスター夫人」から譲り受けた物だったのですが、
「ランカスター夫人」は突然養老院を出て行ったあと、、、
親指のうずき(予感、女の直感)に導かれ、
「タペンス」は
「ランカスター夫人」を探すための行動を開始します。
若い頃と変わらず、直感に導かれるままに行動する
「タペンス」… そのお節介で無謀な行動は、見て(読んで)られないくらい危なかしくって、ハラハラドキドキなのですが、不思議と彼女には見守ってあげたいような魅力があるんですよね。
本書でも何度か引用されていますが… 臭跡を追うテリアのような
「タペンス」直観力と行動力には、本当に脱帽です。
「タペンス」のお節介が、
「ランカスター夫人」誘拐?事件と大規模な組織団による強盗事件、二十年前に起きた片田舎での連続少女殺人事件の謎を解く糸口となりました。
犯罪に関する秘密を知ったために悪党一味に誘拐されたと思っていた
「ランカスター夫人」が、まさか過去の犯罪に大きく関与していたとは、、、
本作も意外な人物が真犯人でしたねぇ。
真相とは、あまり関係ないのですが… 遺品のテーブルの隠し引き出しを暴いたり、何度も夕食のチキンを焦がしたりと、召使いの
「アルバート」もイイ味を出していたのが印象に残りました。
最後に本書の冒頭にある献辞を紹介しておきます。
珍しく?読者に捧げてありますね。
本書を、世界各国から私に手紙をくださり、
「その後、トミーとタペンスはそうしました?
いまなにをやっています?」
と問い合わせてこられた多数の読者に捧げます。
この通り、トミーとタペンスもだいぶ年をとりましたが、その情熱はいささかも衰えておりません。
皆さん、どうかよろしく。
そしてこの二人との再会を楽しんでくださいますように。
アガサ・クリスティ

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