"稲妻"
日本映画チャネルの
「成瀬巳喜男劇場 ファイナル 〜キネマ旬報ベスト・テン入り作品 一挙放送〜」特集で放映していた際に録画していた
「成瀬巳喜男」監督の
『稲妻』を観ました。
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「成瀬巳喜男」監督が、51年の
『めし』に続いて
「林芙美子」の原作を
「田中澄江」脚色で映画化した名品。
主演は本作以降、
「成瀬巳喜男」監督とたびたびコンビを組むことになる
「高峰秀子」(初コンビ作は41年の
『秀子の車掌さん』)。
複雑な家庭環境の下に育った末娘
「清子」が家を出て自立する中で成長していく姿を描く。
バスガイドとして働く
「清子」には二人の姉と一人の兄がいた。
しかし、四人とも父親が違った。
ある日、長姉夫婦が
「清子」に縁談話を持ちかけるが、
「清子」には姉夫婦の意地汚い魂胆が見え透いてしまいとても話を進める気になれない……。
現代なら間違いなく
“ドロドロ”の物語となるべきところを、人間の業やサガをありのままに描きながら、表現はあくまでも慎ましく、映画はそうしたすべてを温かく受け入れる包容力を見せ、観終わって清々しささえ感じてしまう成瀬監督の見事なお手並みが堪能できる逸品。
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この作品も
「成瀬巳喜男」監督作品にありがちな家族の在り方を描いた作品なんでしょうが、、、
母親が四人の男と結婚歴があり、三人姉妹と兄の四人の父親が全て違う… 四人の性格も全く違うという、凄い設定でしたね。
長姉夫婦が
「清子」の縁談相手として紹介した
「綱吉」は、とても嫌な役で
「清子」は
「綱吉」を避けようとするのですが、夫に愛想をつかした長姉
「縫子」、夫を亡くした次姉
「光子」と次々にイイ仲になるのは不思議だったなぁ。
そんな姉達を見ていて自宅を飛び出した
「清子」の気持ちはわかるような気がしましたね。
エンディングで
「清子」が間借りしている世田谷に、母親の
「おせい」が訪ねてくる、、、
(清子)
「どうして、わたしたちを、同じお父さんで産んでくれなかったのよ。」
(おせい)
「苦労して育てて、おまえまで、そんなことをいって。わたしは産まなきゃよかったよ」
(清子)
「産んでくれなきゃよかったのに」
二人は泣き、そして次の瞬間、
(清子)
「ねえ、お母さん、今日泊まっていかない?」
二人の心が繋がった瞬間でしたね。
母娘二人で夜道を歩いて行くラストシーン… イイ場面だったなぁ。
そういえば、歩くシーンで終わるのって
『あにいもうと』と一緒ですねぇ。
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監督: 成瀬巳喜男
企画: 根岸省三
原作: 林芙美子
脚本: 田中澄江
撮影: 峰重義
美術: 仲美喜雄
衣裳: 藤木しげ
編集: 鈴木東陽
音楽: 斎藤一郎
音響効果: 花岡勝太郎
助監督: 西條文喜
出演:
高峰秀子 小森清子
三浦光子 次姉・屋代光子
村田知英子 長姉・縫子
植村謙二郎 縫子の夫・龍三
香川京子 国宗つぼみ
根上淳 つぼみの兄・周三
小沢栄 パン屋・綱吉
浦辺粂子 清子の母・おせい
中北千枝子 田上りつ
滝花久子 杉山とめ
杉丘毬子 下宿人・桂
丸山修 清子の兄・嘉助
高品格 運転手
宮島健一 バスの老人客

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