"TOMBES DU CIEL"
「沢木耕太郎」の映画エッセイ
『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』を読んで観たくなった作品が色々とありまして… 先日の
『黙秘』に続き
『パリ空港の人々』を嫁さんと一緒に観ました。
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パスポートを盗まれたばかりに空港から出られなくなった男と、それぞれの事情から空港内に住み着いている人々の悲喜劇を綴った、滑稽でハートウォーミングなコメディ。
ボーダーレス時代に故郷を失った人々を見つめる演出の視点が温かい。
監督・脚本は
「ミシェル・ドヴィル」、
「コリーヌ・セロー」、
「ロバート・アルトマン」らの録音技師を経て、38歳で監督に転じた
「フィリップ・リオレ」で、実際にパリ空港に住んでいる人々をモデルに、
「ミシェル・ガンツ」と共同で脚本を執筆。
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これと言って盛り上がるシーンはないのに、なんだか印象に残る作品でした。
フランスなのに、フランスじゃない… そんな空港のトランジットゾーン、、、
パスポートを含む手持ちの荷物が盗難に遭い、どこの国にも属さない宙ぶらりんの空間に残された男
「アルチェロ」が体験する数日間の物語。
「アルチェロ」が、妻への土産を小脇に抱え、靴を履かずに(靴も盗難に遭った… )、空港内を歩き回るシーンは、本人にとっては哀しい状況ですが、観ている側からすると、なかなか滑稽でしたね。
パリで働く父の迎えを待つギニア出身の少年
「ゾラ」や、コロンビアから国外追放された若い女性
「アンジェラ」、出身地も言語も不明の黒人男性
「ナック」、犯罪を犯し過去を消したという男性
「セルジュ」等、フランスに入国できず、空港に住み着いている人達と知り合い、何日間かを一緒に過ごします。
空港の片隅で暮らす人達の、巧みに食料を調達し、シャワーを浴び、逞しく生きる姿と、自分の運命を受け留め、いつの間にか行動を共にしている
「アルチェロ」の適応力… なかなか良かったですね。
そして終盤… 父親がギニアに強制送還され、自身もギニアに送還されそうになった
「ゾラ」を大晦日のパリに連れ出すシーンは感動的でしたねぇ。
5人が、それぞれの想いを抱えながら、パリに向かうシーンは、とても印象的でした。
そして、妻への土産は空港係員に預け、妻のもとへは帰らず、
「ゾラ」と一緒に歩いて行くラストシーン… なかなか良かったです。
この二人、幸せになれたような気がします。
なんだか心地良い作品でした。
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監督: フィリップ・リオレ
製作: ジル・ルグラン
フレドリック・ブリリョン
脚本: フィリップ・リオレ
撮影: ティエリー・アルボガスト
音楽: ジェフ・コーエン
出演:
ジャン・ロシュフォール
ティッキー・オルガド
マリサ・パレデス
ラウラ・デル・ソル
イスマイラ・メイテ
ソティギ・クヤテ
ジャン=ルイ・リシャール

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