"CYBELE OU LES DIMANCHES DE VILLE D'AVRAY"
先日、午前十時の映画祭で
『シベールの日曜日』を観ました。
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インドシナ戦争で記憶を失った
「ピエール」は、パリの病院に勤める看護婦
「マドレーヌ」と同棲していたが、ある日、寄宿学校に入れられた12歳の少女と出会う。
「ピエール」は
「マドレーヌ」がいない日曜日毎にその少女--
「フランソワーズ」を外出に連れ出して森の中で一緒に遊ぶ。
だが周囲の人々はそんな二人の姿に不信感を抱き始めていた。
やがてクリスマスの夜、森の小屋にツリーを飾る
「ピエール」の元へ
「フランソワーズ」がやってくる。
彼女は
「ピエール」に、本名は
「シベール」だと打ち明けるのだが、その時、
「ピエール」を変質者だと勘違いした警官の銃が火を吹いた……。
共に孤独であり純粋であった二つの心が、年齢差が違うというだけで社会によって引き離されてしまう悲劇。
これが長編劇映画第1作となる
「ブールギニョン」監督は、モノクロ映像(撮影は名匠
「H・ドカエ」)に二人の心象を託して美しい映画を作り上げた。
ロリコンから熱烈な支持を受けている事でも有名だが、それだけにとどまらない優れた作品と言えよう。
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記憶を失った男
「ピエール」と、家族から見放された少女
「フランソワーズ(シベール)」の運命的な出会いと純粋な愛情。
毎週日曜日、二人が湖畔でデートするシーンは、微笑ましいし、映像的にも魅力的でしたね。
特に湖(池?)に石を投げて広がる波紋を作るシーンや、二人の姿を湖面に映すシーンは巧いなぁ… と感じました。
しかし、孤独な二人の、危ういながら微妙なバランスを保った関係は長くは続かなかったんですよね。
クリスマスの夜を二人で祝い、少女の本当の名前が明かされ、少女の望みを叶えようと風見鶏を届けようとした
「ピエール」は、暴漢と勘違いされ… 残酷で哀しい、そして不謹慎かもしれませんが美しいエンディング。
「シベール」の最後の言葉、
「もう、私には名前なんかないの。誰でもなくなったの!」
と泣きながら叫ぶシーンが忘れられません。
観終えてから、感情が昂ぶる… そんな余韻の強い作品でした。
そして、ストーリも、映像も、音楽も、とってもフランス映画らしい印象的な作品でしたね。
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監督: セルジュ・ブールギニョン
原作: ベルナール・エシャスリオー
脚本: セルジュ・ブールギニョン
アントワーヌ・チュダル
台詞: セルジュ・ブールギニョン
ベルナール・エシャスリオー
撮影: アンリ・ドカエ
音楽: モーリス・ジャール
出演:
ハーディ・クリューガー ピエール
パトリシア・ゴッジ フランソワーズ(シベール)
ニコール・クールセル マドレーヌ
ダニエル・イヴェルネル カルロス
アンドレ・オウマンスキー ベルナルド

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