「松本清張」のSF的小説
『神と野獣の日』を読みました。
「清水義範」のSF連作集
『博士の異常な発明』を読んで、SF作品を読みたくなったんですよね。
「松本清張」作品は、
『ゼロの焦点』以来なので約半年振りです。
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「重大事態発生です」―ある早春の午後、官邸の総理大臣にかかってきた、防衛省統幕議長からの緊急電話が伝えた。
Z国から東京に向かって誤射された、5メガトンの核弾頭ミサイル5基。
1発で、東京から半径12キロ以内が全滅するという。
空中爆破も迎撃も不可能。
ミサイルの到着は、あと…43分。
ラジオ・テレビの臨時ニュースによって、真相が全日本国民に知らされた!
SF的小説に初めて挑戦した
「松本清張」の隠れた名作。
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日本から2万km離れた太平洋自由条約機構のZ国から誤って発射された核弾頭ミサイル5基が東京に向かっている… 自爆装置は起動せず、日本(自衛隊及び在日米軍)の迎撃能力では3基しか破壊できない、、、
43分後の12時32分(のちに140分後の15時9分に訂正)には東京が被爆することを覚悟した政府の混乱、事実を告げられた住民のパニック等がリアルに描かれています。
東京から逃げるためにパニックとなった住民の蛮行は、ぞっ… とするような身勝手で野蛮な行動なのですが、実際に死の恐怖に直面した人間は、冷静ではいられないんだろうと思いますね。
極限の状態に置かれ、本能に任せ野獣と化した人々、最期まで人間性を失わず神として行動した人々、、、
その両方が描かれていますが、自分が、その場にいたら、どちらの行動を取っただろうか… 考えさせられる物語でしたねぇ。
(多分?)東西の緊張が高まっていた1963年に書かれた作品ですが、原発事故や北朝鮮の人工衛星発射等もあり、なんだか現実味のある物語に感じました。
現実にならないことを祈るばかりですね。
助かった… と思わせたあとの、このエンディングは巧みです。怖いです。
映画化しても面白そうな作品に感じましたね。

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