「半藤一利」のノンフィクション作品
『日本のいちばん長い日 決定版』を読みました。
『聖断 天皇と鈴木貫太郎』に続き
「半藤一利」が太平洋戦争の終結を描いた作品です。
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あの日、日本で何が起こったか……
昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。
しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。
太平洋戦争を終結させるべく、天皇の
「聖断」に従い和平への努力を続ける首相鈴木貫太郎をはじめとする人々と、徹底抗戦を主張して蹶起せんとした青年将校たち──。
玉音放送を敢行しようとする政府関係者に対して、陸軍の一部軍人は近衛連隊を率いて皇居に乱入した。
そのあまりにも対照的な動きこそ、この一日の長さを象徴するものであった。
玉音放送が流れた昭和二十年八月十五日正午に至る一昼夜に繰り広げられた二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。
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太平洋戦争終結に至る昭和天皇の判断(聖断)については、
『聖断 天皇と鈴木貫太郎』で読みましたが、、、
その二度目の聖断(八月十四日正午)から、玉音放送(八月十五日正午)までの二十四時間を一時間毎に区切り、二十四幕の構成で描かれています。
■序
■プロローグ
■十四日正午―午後一時 “わが屍を越えてゆけ” 阿南陸相はいった
■午後一時―二時 “録音放送にきまった” 下村総裁はいった
■午後二時―三時 “軍は自分が責任をもってまとめる” 米内海相はいった
■午後三時―四時 “永田鉄山の二の舞いだぞ” 田中軍司令官はいった
■午後四時―五時 “どうせ明日は死ぬ身だ” 井田中佐はいった
■午後五時―六時 “近衛師団に不穏の計画があるが” 近衛公爵はいった
■午後六時―七時 “時が時だから自重せねばいかん” 蓮沼武官長はいった
■午後七時―八時 “軍の決定になんら裏はない” 荒尾軍事課長はいった
■午後八時―九時 “小官は断固抗戦を継続する” 小園司令はいった
■午後九時―十時 “師団命令を書いてくれ” 芳賀連隊長はいった
■午後十時―十一時 “斬る覚悟でなければ成功しない” 畑中少佐はいった
■午後十一時―十二時 “とにかく無事にすべては終った” 東郷外相はいった
■十五日零時―午前一時 “それでも貴様たちは男か” 佐々木大尉はいった
■午前一時―二時 “東部軍になにをせよというのか” 高嶋参謀長はいった
■午前二時―三時 “二・二六のときと同じだね” 石渡宮相はいった
■午前三時―四時 “いまになって騒いでなんになる” 木戸内府はいった
■午前四時―五時 “斬ってもなにもならんだろう” 徳川侍従はいった
■午前五時―六時 “御文庫に兵隊が入ってくる” 戸田侍従はいった
■午前六時―七時 “兵に私の心をいってきかせよう” 天皇はいわれた
■午前七時―八時 “謹んで玉音を拝しますよう” 館野放送員はいった
■午前八時―九時 “これからは老人のでる幕ではないな” 鈴木首相はいった
■午前九時―十時 “その二人を至急とりおさえろ!” 塚本憲兵中佐はいった
■午前十時―十一時 “これから放送局へゆきます” 加藤局長はいった
■午前十一時―正午 “ただいまより重大な放送があります” 和田放送員はいった
■エピローグ
『聖断 天皇と鈴木貫太郎』を読んだあとだったので、主な人物はわかっているものの、、、
あまりにも登場人物が多く(巻末の主要人名索引では261名の名前が索引できるようになっています… )、あれっ… これ誰だっけ と思うことが何度もあり、進んだり、戻ったり、たまにはそのまま流したりと、そんなことを繰り返していて、読了まで意外と時間がかかってしまいました。
でも、近衛師団が(ニセの命令により)決起してからの展開は、どんどん先が読みたくなり、後半は随分、早く読み進んだかな。
戦争を終結させようとした人たちと、徹底抗戦しようとした人たち、、、
それぞれ意見の食い違いはありますが、国体護持について、真剣に考え、議論し、自分の行動を決断し、その結果には責任を持つ… 国家のことや国民のことを、これほどキチンと考えた時代は、これが最後なんじゃないかと思いますね。
そして、もし微妙なタイミングのズレがあれば、八月十五日正午の玉音放送は実現しなかったかもしれないということを初めて知りました。
日本の、最も長く、そして劇的だった一日について学ぶことのできる作品でした。
映画も、ず〜っと過去に観たことがあるのですが、殆んど記憶にないので、また、時間の取れるときにゆっくり観たいですね。

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