「清水義範」による新解釈世界史エンターテインメント
『シミズ式目からウロコの世界史物語』を読みました。
「清水義範」作品は、今年の1月に読んだSF連作集
『博士の異常な発明』以来ですね。
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シミズ版新解釈世界史エンターテインメント。
世界史で有名なあの事件、あの人物。
でも、本当にその真実をあなたは知っています?
「ソクラテス」とオリンピックの意外なつながりを描く(
『戦場のソクラテス』)。
22世紀から1世紀に
「ジーザス」という男の伝記映画のロケ隊がやって来て…(
『ガラリアのエキストラ』)。
ダッチ・ロールなどオランダ起源の言葉の謎とは(
『あきんどの国』)。
「アレクサンドロス」大王は、図に乗った田舎者!?(
『イスカンダルの伝説』)などなど。
学校では教えてくれない
「清水義範」エンターテインメント新世界史19史伝。
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『疑史世界伝』を文庫化して改題した作品で、世界史にまつわる物語十九篇が収録されています。
■戦場のソクラテス
■イスカンダルの伝説
■ハンニバルの戦争
■ガリラヤのエキストラ
■あわただ史記・前編
■夜の旅・昇天の旅
■フランクが来た
■おーい、サラディン
■モンゴル八百
■新月旗の帝国〔ほか〕
どこまでが真実で、どこからが想像なのか、境目がはっきりしないので、歴史モノというよりも、物語として愉しめましたね。
『戦場のソクラテス』では、哲学者の
「ソクラテス」がオリンピックを愛好する体育会系の人物で、ペロポネソス戦争等生涯で三度の従軍経験があり、戦場の最前線で大活躍した戦士だったことを知り、
『イスカンダルの伝説』では、ギリシアの
「アレクサンダー」大王の出生秘話?と絡めて、ペルシア世界にとってギリシアは西の辺境の地であり、ヨーロッパ文明の祖はギリシア古代文明という常識は作為的な歴史があるを知り、
『ガリラヤのエキストラ』では、
「イエス・キリスト」の誕生秘話に迫り(一歩間違えると、えらいことになる作品ですが…)、
『夜の旅・昇天の旅』では、イスラム教の成り立ちやキリスト教、ユダヤ教との関係等を知ることができました、、、
これまで、宗教について、あまりにも無知だったことに気づかされましたね。
根本的なことが理解できてないと、宗教戦争のことなんて、全く理解できないですよねぇ。
続く
『フランクが来た』、
『おーい、サラディーン』、
『モンゴル八百』、
『新月旗の帝国』からは、十字軍遠征における暴虐の数々や、ヨーロッパやイスラム圏だけでなく、モンゴルも巻き込んだ大虐殺の戦乱期のことを知り、、、
今までヨーロッパ寄りの視点でしか歴史を学んでこなかったことを痛感しましたね。
視点移動して物事を見ることは、何においても大切なことですねぇ。
その後の作品で、モンゴルのこと、スペインのこと、オランダのこと、中南米(メソアメリカと中央アンデス)のこと、中国のこと、インドのこと、、、
色んな地域のことを、色んな視点で知ることができました。
その中で最も印象に残ったのは
「マハトマ・ガンディー」のことを描いた作品
『真理を保つ力』ですね。
非暴力を貫き、西洋近代文明は肉体的要望の増進を文明の表徴とみる思想に基づいているとして、インドの目指す真の文明は肉体的要望の自制に基づくものでなければならない… 必要以上は食べない、着ない、持たないを説いて実践したそうです。
生活上の規範(十ヶ条)含め、感銘しながら読みました。
現代で実践することは、困難ですが、人の生き方としては理想なんでしょうね。

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