「乾くるみ」の連作短篇作品
『カラット探偵事務所の事件簿1』を読みました。
なかなか読書時間が確保できないので、短篇集がイイなぁ… と思って選択しました。
「乾くるみ」作品は初めてですね。
-----story-------------
あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします!
高校の同級生
「古谷(ふるや)謙三」が探偵事務所を開くことになった。
体調を崩していた
「俺」は、その誘いを受け新聞記者から転職して、
「古谷」の探偵事務所に勤めることにした。
探偵事務所といっても、浮気調査や信用調査などは苦手としているようだ。
出不精の所長
「古谷」を除けば、実質的な調査員は
「俺」だけになってしまうので、張り込みや尾行などといった業務もろくにこなせないのだ。
ではいったい何ができるのかというと――実は
≪謎解き≫なのだ。
作家とファンのメールのやりとりの中から、隠された真実を明らかにしていく
『卵消失事件』、屋敷に打ち込まれた矢の謎を解く
『三本の矢』、祖父が作ったという三つの和歌から屋敷内に隠されたお宝を掘り当てる
『兎の暗号』、差出人不明の手紙に同封された写真から父の居場所を見つけ出す
『別荘写真事件』、団地内に配られた住人の不倫を告発する怪文書の謎を解く
『怪文書事件』、
「古谷」と
「井上」の同級生の結婚式で、新婦の父親から風変わりな相談をされる
『三つの時計』の6つの事件を収録。
『イニシエーション・ラブ』、
『リピート』で大反響を巻き起こし、練達の愛好家を唸らせつづける著者、待望の連作短篇集。
-----------------------
カラット探偵事務所の
「古谷謙三」と
「井上」が謎を解き明かす、カラット探偵事務所シリーズの第一作で、
「俺」こと
「井上」が一人称の
『事件簿』を記す形で進む、以下の六篇が収録されています。
■File 1 卵消失事件
■File 2 三本の矢
■File 3 兎の暗号
■File 4 別荘写真事件
■File 5 怪文書事件
■Flie 6 三つの時計
『卵消失事件』は、作家である夫の浮気調査を依頼され、メールのやりとりから隠された真実のメッセージを解き明かす物語、、、
卵と浮気、電車でgo!等、浮気とは無関係そうなキーワードや事象が
「古谷」の推理により、結びついて行くところは面白いですね。
『三本の矢』は、謎の三本の矢が旧家に打ち込まれた謎を解き明かす物語、、、
兄弟がお互いを思いやる気持ちから発生した事件… なかなかイイお話しでした。
「この新しいスポーツの、世界で3番目にプレイした人物に、なってみませんか?」という
「古谷」の決め台詞が印象に残りました。
『兎の暗号』は、和歌に隠された宝探しのメッセージを解き明かす物語、、、
うーーーーーん、難し過ぎた… ついていけませんでした。
『別荘写真事件』は、別荘で写された写真を頼りに、生き別れた父親の消息を探る物語、、、
月って、北半球と南半球では、逆さまに見えるんですねぇ… 考えたこともありませんでした。
クロスワードを埋める内容にもなっていて、とても凝っていましたね。
『怪文書事件』は、団地で次々に発生した不倫を告発する手紙の真相を探る物語、、、
この事件は、珍しく
「古谷」ではなく
「井上」の活躍が目立ちます。
『三つの時計』は、文庫版での書き下ろし作品で、時計の謎を解くとともに、
「古谷」や
「井上」の学生時代からの付き合いも明らかになる物語、、、
時計の謎は姉のことを心配した、妹達が引き起こした事象だったのですが、それよりもなによりも、エンディングにすっごいサプライズが用意されていて、とても楽しめた作品。
まさかねぇ、、、
「俺」こと
「井上」がねぇ… 見事に騙されました。
全般的に謎解きが中心で、ドロドロした人間関係とは無縁の作品なので、その分、リアリティはありませんが、頭の体操ができる軽いミステリーとして、気楽に読めました。

0