「ケン・グリムウッド」のSF小説
『リプレイ(原題:Replay)』を読みました。
タイムトラベルを題材としたSFモノの中でもループものというサブジャンルに分類される作品、、、
今年の4月に読んだ
「乾くるみ」のループもの作品
『リピート』の中で本書にも言及してあり、気になっていた作品です。
-----story-------------
人生を、やり直せたら。
突然の発作で時間を遡った男は……?
人生で一度は読みたい名作。
世界幻想文学大賞受賞。
ニューヨークの小さなラジオ局で、ニュース・ディレクターをしている
「ジェフ」は、43歳の秋に死亡した。
気がつくと学生寮にいて、どうやら18歳に逆戻りしたらしい。
記憶と知識は元のまま、身体は25年前のもの。
株も競馬も思いのまま、彼は大金持に。
が、再び同日同時刻に死亡。
気がつくと、また―。
人生をもう一度やり直せたら、という窮極の夢を実現した男の、意外な、意外な人生。
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1988年度の世界幻想文学大賞を受賞した作品だけあり、面白かったですねぇ、、、
たまにはSF小説もイイなぁ… と思えた作品でした。
シミュレーションゲームのように人生をやり直すことができたら… という欲望を叶え、運命を大きく変えることができれば、良いことばかりじゃないか、、、
と短絡的に考えてしまいますが、人生を都合の良い方ばかりに変えることは簡単ではなく、やり直した人生であっても、実際は失敗や成功を繰り返しながら、より良い人生を模索する過酷なことなんだ… という教訓になるような物語でしたね。
43歳の秋に死亡したニュース・ディレクターの
「ジェフ」は、大学生活から人生をやり直す(リプレイする)ことになり、最初は元の人生の記憶を頼りに競馬やギャンブル、株で大儲けして、ひたすら金銭面での成功を目指すが、金銭面以外での幸せを掴むことができない、、、
その人生(リプレイ1回目)も43歳の秋の同日同時刻に死亡し、再び大学生活に… リプレイ1回目での反省を糧に、ほどほどに儲けて中流を意識したリプレイ2回目の人生もこれまでと同じく43歳の秋の同日同時刻に死亡する。
2回のリプレイに疲れ、3回目のリプレイではドラッグに溺れた退廃的な人生を送るが、他のリプレイヤーを探し求めた4回目のリプレイでリプレイヤーの
「パメラ」と出会うことが大きな転機となる。
4回のリプレイを繰り返すうちに、リプレイのスタート地点が次第に遅くなる(リプレイ期間が短くなる)ことに気付き、その謎を解明するために5回目のリプレイでは、リプレイヤーであることを世の中に公表し、それを証明するために未来を予見するが、それにより世界の歴史が大きく変化してしまう、、、
徐々に短くなるリプレイ期間… 繰り返す時代を超えて愛し合う
「ジェフ」と
「パメラ」の運命は!?
幾度となくリプレイを繰り返すうち、遂にリプレイのスタート時点が死亡する日と同日となり、、、
このあとどうなっちゃうの… 先の読めない展開が面白くて、そして愉しめましたねぇ。
「ジェフ」と
「パメラ」の二人は、他の人が経験できないほどの長い長い恋愛経験を積み、そして節度ある愛情を知り、新しい未来を得たということなんですかね。
感動的なエンディングでしたが、、、
別な人物にリプレイの恐怖が襲い掛かる… という余韻のある終わり方が恐怖感を引き摺る感じで印象的でした。
リプレイしたら、今と全く同じ人生ってあり得ないと思うんですよね… そう考えると、今の生活は無いわけで、、、
読後に冷静に考えて物凄い恐怖感を感じました。
「ケネディー」暗殺事件や、
「スティーブ・ジョブズ」、
「ジョージ・ル−カス」、
「スピルバーグ」等の著名人も登場し、物語を側面から盛り上げてくれます、、、
映像化したら面白いだろうなぁ… と思える作品でしたね。
以下、主な登場人物です。
≪オリジナルの人生(リプレイ前)≫
ジェフ・ウィンストン(主人公)
ニューヨークにあるラジオ局のニュース部門担当ディレクター。
1988年10月18日の午前1時06分に心臓発作で突然死する。
リンダ・ウィンストン
ジェフの妻。ジェフと恋愛結婚するが、子宮外妊娠をした後、子供を作れない身体になり、1988年時点ではジェフと疎遠になっている。
ジュディ・ゴードン
ジェフの学生時代の恋人。
疎遠になり、その後は音信不通。
マーティン・ベイリー
ジェフの学生時代のルームメイトで親友。
多額の慰謝料を伴う離婚の後に自殺。
※
パメラ・フィリップス
ジェフとは知り合っていない。
二児の母。夫とは険悪ではないが、惰性で結婚生活が続いている。
1988年10月18日の午前1時15分、ジェフの死亡から9分後に心臓発作で死亡。
≪リプレイ・1回目≫
ジェフ・ウィンストン
巨大コングロマリット「未来社」の創業社長で経営者。
ジュディ・ゴードン
ジェフのリプレイ開始時点の恋人。
リプレイ開始後、疎遠になりその後は消息不明。
フランク・マードック
ジェフの大学の上級生。
やがて「未来社」創業時のパートナーとなる。
リンダ
ジェフのオリジナル人生の妻。
今回のリプレイではジェフは接触に失敗し、そもそも付き合えず。他の男の妻となる。
シャーラ・ベイカー
ジェフの愛人。
いわゆるベガス・ガールで、奔放な性格。
ダイアン・ウィンストン
上流階級出身のジェフの妻。
上流階級の思考に染まらないジェフとの関係は良好ではない。
グレッチェン・ウィンストン
ジェフとダイアンの娘。
ピアノ演奏に天賦の才を持っている。
ネルソン・ベネット
大統領暗殺犯。
オリジナルの世界におけるオズワルドの役回り。
≪リプレイ・2回目≫
ジェフ・ウィンストン
中堅の資産運用会社の経営者。
堅実で健康的な生活を送る典型的な良きアメリカ人。
ジュディ・ウィンストン
ジェフの学生時代からの恋人で、そのまま結婚。
性格は純真かつ温厚。
ジェフの理想的な妻として堅実な人生を送る。
子供が出来なかったため、ジェフに養子を取ることを提案する。
エイプリル&ドゥエイン
ジェフとジュディの養子。
≪リプレイ・3回目≫
ジェフ・ウィンストン
賭けで財産を確保した後はドラッグに溺れ、パリを中心に放蕩生活。
ある事件を契機に隠遁生活に入る。
シャーラ・ベイカー
ジェフの愛人で同棲相手。
パメラ・フィリップス
スーパーヒットした映画のプロデューサー。
ジェフと知り合い、当初は意見の相違があったが、後に恋人となる。
ジュディ
ジェフの学生時代の恋人。
ジェフと再会時に息子シーンを紹介する。
シーン
ジュディの息子。
パメラの映画に影響を受け、海洋生物学者を志す。
≪リプレイ・4回目≫
ジェフ・ウィンストン
堅実な投資を行なう事業者。
パメラ・ウィンストン(パメラ・フィリップス)
高校を首席で卒業した後、ジェフと結婚。
スチュアート・マカウワン
殺人鬼であり、精神を病んでいる。
≪リプレイ・5回目≫
ジェフ・ウィンストン
裕福な市民。
新聞広告で「予言」をし、自らの特殊性を証明した後、自身の謎について学術的解明を要求する。
パメラ(パメラ・フィリップス)
ジェフのパートナー。
ラッセル・ヘッジズ
国務省の役人。
ジェフ達を軟禁し、情報の提供を強要。
≪リプレイ・6回目≫
ジェフ・ウィンストン
ルポルタージュのベストセラー作家。
ピュリッツァー賞を受賞している。
リンダ・ウィンストン
ジェフの良き妻であり、ジェフを心より愛している。
パメラ・ロビンソン(パメラ・フィリップス)
芸術家。
本姓がロビンソン、ペンネームには旧姓のフィリップスを利用。
スティーブ・ロビンソン
パメラの夫。
医師。
クリストファー&キンバリー
パメラとスティーブとの間に生まれたの息子と娘。
≪リプレイ・7回目≫
ジェフ・ウィンストン
隠遁生活を送る資産家。
グライダーの卓越した操縦技術を持つ。
リンダ・ウィンストン
ジェフの元妻。
子宮外妊娠後(リプレイ前)にジェフと不仲になっていた。
リプレイ開始直後に離婚。
パメラ・フィリップス
元主婦。
夫のロビンソンと離婚。
前夫との二人の子供と共に、ジェフと同棲生活中。
クリストファー&キンバリー
パメラとスティーブとの間に生まれたの息子と娘。
≪リプレイ・8回目≫
ジェフ・ウィンストン
妻との離婚後、ひっそり暮らしている投資家。
既婚女性と不倫関係にあり、パトロン的立場。
パメラ・ロビンソン
主婦。
ジェフと知り合った後、不倫関係。
ジェフの援助で美術学校に通う。
パメラ(・フィリップス)
ジェフをよく知る女性。
≪リプレイ・9回目以降≫
ジェフ・ウィンストン
ニューヨークにあるラジオ局のニュース部門担当ディレクター。
1988年10月18日の午前1時06分に心臓発作で突然死する。
そして…。

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