「ジョン・ディクスン・カー」のミステリー作品
『曲がった蝶番(原題:The Crooked Hinge)』を読みました。
「ジョン・ディクスン・カー」作品は
『火刑法廷』以来なので6年振りですね。
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1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだ
「ジョン・ファーンリー卿」は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。
渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。
あの沈没の夜に―。
やがて、決定的な証拠によって事が決しようとした矢先に、不可解極まりない事件が発生した!
巨匠
「カー」による
「フェル博士」登場の逸品、新訳版。
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1938年に発表された
「ギディオン・フェル博士」シリーズの長編第9作目です。
■第一部 七月二十九日(水曜日)
■第二部 七月三十日(木曜日)
■第三部 七月三十一日(金曜日)
■第四部 八月八日(土曜日)
■解説 福井健太
タイタニック号沈没の際に二人の人物が入れ違い、25年後に本人だと主張する男
「パトリック・ゴア」が現れ、本当の当主であると主張するという物語… どちらが本物の
「ジョン・ファーンリー卿」なのかを調べるため、双方の弁護士立会いの下、
「ファーンリー」の少年時代の家庭教師
「ケニット・マリー」が呼ばれて試験が行われる。
「マリー」が当時の指紋帳と二人の指紋を照合する作業をしている最中、庭に立っていた
「ファーンリー」が突然池に向かって倒れた、、、
池には血が広がり、
「ファーンリー」は喉を切られて死んでいた… 倒れたのを見た者はいたが、喉が切られる瞬間を見た者は一人もいなかった。
「ファーンリー」は偽物だったので自殺したのか、それとも本物だったので殺されたのか… 騒ぎのあいだに指紋帳が盗まれ、やがて恐怖のために失神したメイドの手から指紋帳が発見される、、、
屋根裏部屋に隠されていた魔術書や自動人形、そして1年前に殺された
「ヴィクトリア・デーリー」が参加していたと思われる魔女集会… 怪奇的要素も加わり状況は混沌としますが、
「ギディオン・フェル博士」が真相を見破ります。
久しぶりに本格モノの長篇ミステリーを読みたくなって選んだ作品、、、
序盤から物語にどっぷり浸かれる展開と、怪奇色で物語を彩りながら、1年前に起きた殺人と結びつけて明かされる真相は圧巻でしたね。
≪ちょっとネタバレ!≫
「モリー」は魔術に興味があり魔女集会を開いていたという秘密があり、「ファーンリー」はタイタニック号沈没の際に記憶を失い、自分でも本物かどうかわからなかないという秘密があった… お互いの秘密を知ったこと等から、元々、夫婦の折り合いが悪かったことが終盤になって明らかになります。
これは序盤の展開からは想定できませんでしたねぇ… 実は「マデライン・エルスペス・デイン」を疑っていました。
そして、圧巻なのは「パトリック・ゴア」がタイタニック号沈没の際に両足を失い、義足を付けて身長を自在に変えるという特技を会得していたこと、、、
義足なしで手と胴体だけで、義足よりも素早く歩いたり、自動人形の座る箱に忍び込んで人形を操っていたとは想像できませんでしたねぇ… ちょっと騙された感じはありますが、17世紀には実際にそんな人物が居て、自動人形を操っていたらしいので、納得せざるを得ないですね。
以下、主な登場人物です。
「ジョン・ニューナム・ファーンリー」
准男爵
「モリー・ファーンリー(旧姓:ビショップ)」
ジョン卿の妻
「ナサニエル・バローズ」
ジョン卿の事務弁護士
「ブライアン・ペイジ」
作家・ジョン郷とバローズの友人
「パトリック・ゴア」
相続権主張者
本物のジョン・ニューナム・ファーンリーを名乗る人物
「ケニット・マリー」
ジョン卿の子ども時代の家庭教師
「マデライン・エルスペス・デイン」
ジョン卿の幼友だち
「アーネスト・ウィルバートンソン・ノールズ」
ファーンリー家の執事
「ベティ・ハーボトル」
ファーンリー家の女中
「ヴィクトリア・デーリー」
1年前に殺害された女
「ギディオン・フェル博士」
名探偵
「アンドルー・マッカンドルー・エリオット警部」
ロンドン警視庁警部

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