「井伏鱒二」の傑作ユーモア小説
『駅前旅館』を読みました。
『黒い雨』に続き
「井伏鱒二」作品です。
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日本映画史上に輝く人情喜劇
『駅前シリーズ』第1作原作!
抱腹絶倒傑作ユーモア小説。
昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。
子供のころから女中部屋で寝起きし、長じて番頭に納まった主人公が語る宿屋稼業の舞台裏。
業界の符牒に始まり、お国による客の性質の違い、呼込みの手練手管……。
美人おかみの飲み屋に集まる番頭仲間の奇妙な生態や、修学旅行の学生らが巻き起こす珍騒動を交えつつ、時代の波に飲み込まれていく老舗旅館の番頭たちの哀歓を描いた傑作ユーモア小説。
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雑誌
『新潮』で1956年(昭和31年)9月号より翌年9月号まで連載された作品、、、
現在ではビジネスホテルやシティホテルに駆逐され、ほとんど見かけなくなった懐かしい駅前旅館… そういった旅館の番頭
「生野次平」を主人公に据えて、彼の独白体で描かれた物語です。
いい加減で助平で昔ながらの抜け目ない番頭気質を持っていて義理堅い
「次平」の性格がイイ雰囲気を醸し出しているし… ライバル旅館
「水無瀬(みなせ)ホテル」の番頭
「高沢」等の番頭仲間やアルバイトの旅行社社員
「万年さん」と織り成す人間模様が愉しく描かれていますね、、、
そして、ちょっとした色濃い沙汰… 行きつけの小料理屋
「辰巳屋」の女将や以前吉原で豆女中をしていた
「於菊(おきく)」、甲府湯村の温泉旅館の
「ジュコさん」とのちょっとしたロマンス等々が、昭和の匂いが漂う情景とともに活き活きと描かれていました。
劇的でドラマティックな展開はないものの、男女関係に起因するちょっとしたドラマやトラブル、珍騒動が散りばめられており、懐かしさを感じつつ、心地良い気持ちで読めた作品… 読んでいると郷愁と共感を覚えずにはいられませんね、、、
1958年(昭和33年)に
「森繁久彌」が主人公の
「次平」を演じて映画化されているようです… 一度、観てみたいですね。
本作品は、
「井伏鱒二」作品の中では
『本日休診』、
『珍品堂主人』と並び、昭和の風俗小説の三大作品とも言える作品らしいです、、、
機会があれば
『本日休診』、
『珍品堂主人』も読んでみたいですね。

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