スウェーデンの作家
「クリスティーナ・オルソン」の長篇ミステリ作品
『シンデレラたちの罪(原題:Askungar、英題:Unwanted)』を読みました。
「カミラ・レックバリ」、
「ヴィヴェカ・ステン」、
「ラーシュ・ケプレル」、
「カーリン・アルヴテーゲン」、
「ホーカン・ネッセル」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 引き続き、北欧ミステリ作品がマイブームとして盛り上がっています。
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列車から消えた少女の行方は?
女の子は座席で眠っていた。
途中駅での停車時間にホームに降りた母親を置いて、列車は出発してしまう。
そして終点で確認したときには、女の子は消えていた……。
捜査にあたったストックホルム市警の敏腕警部は、少女の母親の別れた夫に目をつけた。
どうやら母親は元夫に暴力をふるわれていたらしい。
だが彼の部下で変わり種の警察官の
「フレデリカ」は違和感を感じていた。
世界27か国で刊行、大好評を博したデビュー作シリーズ第1弾。
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ストックホルム市警の
「フレドリカ・ベルマン」のシリーズ第1作で、
「クリスティーナ・オルソン」のデビュー作にあたる作品です、、、
もどかしさや唐突感のある展開が気になりましたが… 犯罪捜査にあたる個性的なメンバーが魅力的だし、お互いを理解できず反目し合っていたメンバーが、捜査が進むに連れて一体感を醸し出すという展開が印象的で、次作以降も期待させるシリーズでしたね。
■第一部 迷走
■第二部 怒りの痕跡
■第三部 回復の痕跡
■訳者あとがき ヘレンハルメ美穂
6歳の女の子
「リリアン・セバスチャンソン」はヨーテボリ発ストックホルム中央駅行きの列車の座席で眠っていた… 母親
「サラ」は、列車がストックホルム中央駅の手前のフレミングスベリ駅でトラブルにより停車していた際、ホームに降りて電話していたところ、通りすがりの女性に助けを求められ、相手をしているうちに列車は
「サラ」を置いて出発してしまった、、、
だが、終点のストックホルム中央駅までは停車駅はなく、すぐに国鉄職員から列車に連絡を取ってもらい、乗務員が
「リリアン」を見ていたので、なんの問題もないはずだった…
「サラ」はタクシーで列車のあとを追ったが、ストックホルム中央駅で車内トラブルで乗務員が
「リリアン」から目を離した隙に
「リリアン」の姿は消えており、濃いピンクのサンダルだけが床に残されていた。
ストックホルム市警の敏腕警部
「アレックス・レヒト」のチームが捜査にあたることになった、、、
部下のひとり
「フレドリカ・ベリマン」は、ケガによりバイオリニストの夢を諦め大学で犯罪学を学び、そこで得た知識を生かそうと警察に入ってきた民間採用の警察官… 人と関わることが苦手な彼女が、未だに男社会である警察を象徴するような
「ペーデル・リュード」等の同僚たちとうまくいくはずがなく、ぎくしゃくした雰囲気が立ちこめていた。
「サラ」の交友関係を調べはじめた捜査チームは
「サラ」の別居中夫
「ガブリエル」に目をつけた…
「ガブリエル」はとんでもない男で彼女は暴力をふるわれていたらしい、、、
「アレックス」や
「ペーデル」等は
「ガブリエル」の犯罪と推理して捜査を進めるが、
「フレドリカ」は、その仮説に納得できないものを感じていた… そして事件は思わぬ方向に向かっていく。
「サラ」のもとへ
「リリアン」の衣類と毛髪が届けられ、その後、
「リリアン」の遺体がウーメオの病院近くで発見される… 遺体は全裸で頭髪は全て剃られ、身体は洗浄され、額に
「望まれなかった子」という文字が書かれ、爪はぎりぎりまで短く切られていた、、、
捜査を進めるうち、夫
「ガブリエル」が大量の児童ポルノ画像を保有していたことが判明し、さらに容疑は深まるが… 犯行当日、
「ガブリエル」は児童ポルノ愛好家のイベントに参加しておりアリバイがあることや、動機がないこと等から捜査は混迷する。
「ガブリエル」犯行説に違和感を感じる
「フレドリカ」は独自に捜査を進め、ウーメオは
「サラ」が高校卒業後の夏休みにバイトをしながら過ごした場所であったことから、この事件との関係性を疑う… そのうち、第二の事件が発生、、、
「マグダレーナ・グレーゲシュドッテル」と夫
「トールビヨルン」の養子で幼児
「ナタリー」が誘拐され、同じように衣類と毛髪が届けられた後、
「マグダレーナ」が高校を卒業するまでに住んでいて、今は別な老夫婦の手に渡っている家で遺体が発見される… その遺体は、
「リリアン」の遺体と同様に全裸で頭髪は全て剃られ、身体は洗浄され、額に
「望まれなかった子」という文字が書かれていたことから、警察は同一犯人による連続殺人事件として捜査を進める。
二人の女性の過去… 堕胎したことがあるということが犯行に関係していることは途中で気付くのですが、うまーくミスリードさせられる仕掛けがあって、犯人は警察で助手をしている
「エレン」の恋人
「カール」なんだと思い込んでしまいました、、、
でも、違っていて… ホッとさせられるのですが、ここまで緻密に犯罪を積み重ねてきた真犯人は、焦ってきたのか、第三の事件で簡単に追い詰められてしまいましたね。
ちょっとあっけない終わり方だったなぁ… まっ、捜査チームの一人ひとりがプライベートで抱えている問題をエピソードを織り込みながら、事件を解決する過程で徐々にチームがまとまっていく展開は好感が持てたかな、、、
捜査チームのひとり一人や、事件に関係した人物たちのプライベートな人間関係を知り、改めてスウェーデンにおける家族の在り方の多様性を感じましたね… 国外から養子を迎えたり、息子が海外で生活していたり、妻子ある男性と付き合って妊娠し、産休や育休を取得したり と、日本では、まだまだ一般的ではないことが多いよなぁ。
タイトルにもなっている
「シンデレラ」って、狙われた女性たちのことを何か比喩している言葉かと想像していたのですが… 真犯人が子ども時代に付けられていたあだ名だったんですねぇ、、、
「シンデレラ」って、
「灰かぶり姫」って意味で、がりがりに痩せて、髪が長く、育ててくれているヘビースモーカーの祖母の煙の臭いと汚れた外見から、付けられたあだ名だったとは… これはわかりませんでした。
以下、主な登場人物です。
「アレックス・レヒト」
ストックホルム市警警部
「フレドリカ・ベリマン」
ストックホルム市警刑事。アレックスの部下
「ペーデル・リュード」
ストックホルム市警刑事。アレックスの部下
「エレン・リンド」
アレックスのチームの助手
「マッツ・ダールマン」
国家刑事警察の分析官
「ピア・ノード」
警察官。ペーデルの浮気相手
「ヒューゴ・ポールソン」
ウーメオの県刑事部警部
「ソニア・ルンディン」
ウーメオ大学病院の医師
「スチュアート・ローランド」
心理学者。FBIのプロファイラー
「レーナ」
アレックスの妻
「スペンサー・ラーゲルグレン」
フレドリカの恋人
「ジミー」
ペーデルの弟
「ユルヴァ」
ペーデルの妻
「カール」
エレンの恋人
「リリアン・セバスチャンソン」
行方不明になった少女
「サラ」
リリアンの母親
「ガブリエル」
サラの夫。リリアンの父
「テオドーラ」
ガブリエルの母
「マリア・ブルムグレン」
サラの友人
「アンデシュ・ニューストレム」
サラの恋人
「マグヌス・セーデル」
サラのかつての恩師
「ダヴィッド・ステンマン」
心理学の学生
「ヘンリー・リンドグレン」
スウェーデン国鉄の乗務員
「アルヴィド・メリーン」
スウェーデン国鉄の乗務員
「イェレナ・スコルツ」
"人形"。虐待されている女性
「ノーラ」
過去に虐待されていた女性
「マルガレータ・アンデション」
ノーラの祖母

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