「伊坂幸太郎」の長篇作品
『火星に住むつもりかい?(英題:Life On Mars?)』を読みました。
「伊坂幸太郎」作品は昨年5月に読んだ
『仙台ぐらし』以来なので、ちょっと久しぶりですね。
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この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け。
希望のない、二択だ。
「安全地区」に指定された仙台を取り締まる
「平和警察」。
その管理下、住人の監視と密告によって
「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。
不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの
「正義の味方」、ただ一人
ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。
「伊坂」ワールドの醍醐味が余すところなく詰め込まれたジャンルの枠を超越する傑作!
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「伊坂幸太郎」ワールドが堪能できる作品でしたねー ジャンル分けが難しいですが、近未来SFっぽい感じでしょうか、、、
宇宙を舞台にした作品っぽいタイトルですが… 実際は、
「この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け!」 の希望のない二択を表していて、ディストピアとなった仙台を舞台とした作品でした。
住人が相互に監視し、密告する… 危険人物とされた人間はギロチンにかけられる―身に覚えがなくとも、、、
交代制の
「安全地区」と、そこに配置される
「平和警察」、この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが… 今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。
こんな暴挙が許されるのか? そのとき、全身黒ずくめで、謎の武器を操る
「正義の味方」が、
「平和警察」の前に立ちはだかる!
密告、連行、苛烈な取り調べ… 暴走する公権力、逃げ場のない世界… 魔女狩りが復活したような状況の中、突然、全身黒ずくめの
「正義の味方」が現われ、木刀と強力な磁石を使った武器で単身
「平和警察」に立ち向かう、、、
「平和警察」の
「薬師寺警視長」は、この事態を重く受け止め、警視庁の特別捜査室から
「真壁鴻一郎」を呼び寄せ、この事件の捜査にあたらせる。
一方、
「正義の味方」である理髪店店主の
「久慈羊介」は、心の苦しみを抱えていた… 一部の人だけを助けて、全ての人を助けることはできないことは偽善なのでは?公平性を担保できなければ偽善と糾弾されてしまう、、、
正義感の強かった祖父と父が経験した悲惨な体験、善意からの行為を偽善と呼ばれて苦しみ、そして死にまでつながった過去… そこから学んだ
「人助けをするとろくなことにはならない」という教え。
「正義の味方」が公平性を保って活躍することなんて不可能ですからね… でも彼は
「常連客の危機を知った時には、助けても良い」という、都合の良いルールを作り、自分を納得させながら活動を行うことを決意する、、、
店の客を大事にすることは客商売の基本であり、これは決して善行ではないのだ… と自分に言い聞かせて。
しかし、その行為が仇となる… 罪のない人たちが処刑されることになり、その中には
「久慈」の客である高校生の
「佐藤誠人」も含まれていた、、、
「久慈」は、
「佐藤」を助けるため処刑現場に乗り込むことを決意する… そして、そこに複数の黒ずくめの男たちが現われる。
「久慈」は、
「佐藤」を助けることができるのか!?
「平和警察」に狙われた
「久慈」の運命は!?
拷問シーンを始めとする
「平和警察」の活動が不快感マックスなだけに、公平性は保てていなくても、
「久慈」の活躍を…
「久慈」に感情移入しつつ、孤独なヒーローの活躍を、応援したくなる物語でグイグイ読ませる感じでした、、、
「伊坂幸太郎」らしさ満載の娯楽小説でした… 面白かったー

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