フランスの作家
「ジュール・グラッセ」の長篇ミステリ作品
『悪魔のヴァイオリン(原題:Les Violons du Diable)』を読みました。
「モーリス・ルブラン」、
「オーギュスト・ル・ブルトン」に続き、フランス作家の作品です。
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人情派刑事
「メルシエ警視」、パリの街を走る!
サン=ルイ島の教会で日曜のミサが始まろうとしていた。
だが肝心の司祭がまだ現われない。
予定の開始時刻ちょうど、呼びにやった聖歌隊の少年が駆け戻ってきた。
「司祭様が死んでいます!」司祭は教会近くの自宅で殺されていたのだ。
容疑は教会の若きヴァイオリン奏者にかかるが、
「メルシエ警視」にはどうしても彼女のしわざとは思えない。
徹底した聴き込み捜査がもたらす意外な真相とは?
同じ頃、自分を密告した売春婦への復讐を公言する凶悪犯が脱獄した。
彼女に好意をもつ
「メルシエ」は、ここでも一肌脱ぐが…パリ警視庁賞に輝いたデビュー作。
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2005年度(平成17年度)のパリ警視庁賞を受賞した作品… 主人公の
「メルシエ警視」は、同じフランスの作家
「ジョルジュ・シムノン」が生み出した警察官
「メグレ警視」を意識したキャラクターのようですね、、、
小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。
パリのセーヌ川に浮かぶサン=ルイ島のサン=ルイ=アン=リール教会で若くて美しいヴァイオリン奏者
「ジュリー」が、素晴らしい音色を、ミサを待つ信者の前で披露していた… ところが、演奏が終了しても、司祭の
「ポワトゥヴァン」は現れない、、、
近くの自宅に様子を見に行ってみると、
「ポワトゥヴァン司祭」は撲殺されていた… 同じ建物に住んでいた
「ジュリー」が容疑者として浮上するが、演奏を聞いたパリ警視庁の
「メルシエ警視」には、どうしても彼女が犯人とは思えない。
ところが
「ジュリー」は同じ地域で起きた未解決の画家殺人事件にも関係していたことが判明する… 彼女は画家のモデルで、しかも演奏に使用しているストラヴィヴァリウスは画家からのモデル代として受け取ったものだった、、、
ストラヴィヴァリウスは、モデル代としてはあまりに高額なものであること、さらに
「ポワトゥヴァン司祭」も
「ジュリー」に対して秘かな欲望を抱いていたことも分かってくる… 同時に、貧しい家庭の出であった
「ジュリー」のために、母親が時折売春をしていたという過去の傷も明らかになる。
一方、かって
「メルシエ警視」が、
「ジゼール」という売春婦から情報提供を受けて逮捕した
「デデ」という凶悪犯が、
「ジゼール」と
「メルシエ警視」への復讐を誓って、サンテ刑務所を脱獄… パリ警察本部長は、
「メルシエ警視」の反対を押し切って、
「ジゼール」を囮にして、
「デデ」を誘いだそうとするが、、、
ひとりの美女をめぐる2件の殺人事件と脱獄事件…
「メルシエ警視」は、この3つの事件の解決に向けて奔走していく。
美しく生まれたことが不幸につながった、ヴァイオリンだけが生き甲斐の
「ジュリー」や、パリ警察本部長に言わせれば、たかが売春婦のひとりである
「ジゼール」等に対する、
「メルシエ警視」の温かい眼差しが印象的でしたね… 社会的弱者、特に若者への気配りは
「メグレ警視」との共通点らしいですね、、、
2件の殺人事件の真犯人は… まさか名前すら出ない人物とは!? わかってしまえば納得ですが、想像できませんでしたね。
以下、主な登場人物です。
「メルシエ」
パリ警視庁の警視
「ピニョル」
パリ警視庁の制服隊長
「ポワトゥヴァン」
サン=ルイ=アン=リール教会の司祭
「ジュリー」
サン=ルイ=アン=リール教会のヴァイオリン奏者
「マルゴワール夫人」
ポワトゥヴァン司祭とジュリーの家主
「デデ」
囚人
「ギヨーム」
デデの仲間
「ジゼール」
売春婦

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