アメリカの作家
「エラリー・クイーン」の長篇ミステリ作品
『フランス白粉の謎〔新訳版〕(原題:The French Powder Mystery)』を読みました。
『災厄の町〔新訳版〕』に続き、
「エラリー・クイーン」作品です。
-----story-------------
五番街にある
“フレンチズ・デパート”のウィンドウに展示された寝台から、女性の死体が転がり出た。
被害者はデパートの取締役会長の後妻。
遺体のくちびるには口紅が塗りかけで、所持していた別の口紅からは謎の白い粉が発見される…。
この怪事件から唯一無二の犯人を導き出す、
「エラリー」の名推理。
巨匠
「クイーン」の地位を不動のものとした
“国名シリーズ”第二作。
解説=
「芦辺拓」
-----------------------
1930年(昭和5年)に刊行された
「エラリー・クイーン」のミステリ長篇で国名シリーズの第2作にあたる作品です。
■フレンチ事件の捜査過程における主要登場人物
■はじめに
■第一の挿話
1 「女王様がたは客間にいた」
2 「王様がたは勘定部屋にいた」
3 「ハンプティダンプティ 高い塀から落っこちた」
4 「王様の馬が全部集まっても」
5 「王様の家来を全部集めても」
6 証言
7 死体
8 見張り
9 見張りたち
10 マリオン
11 いくつもの謎
12 ウィンドウの外へ……
■第二の挿話
13 私室にて 寝室
14 私室にて 洗面所
15 私室にて カード部屋
16 私室にて 再び寝室
17 私室にて 書斎
18 錯綜する証拠
19 意見と報告
■第三の挿話
20 煙草
21 鍵、再び
22 本、再び
23 確認
24 クイーン父子の検証
■第四の挿話
25 書物狂エラリー(エラリウス・ビブリオフィルス)
26 バーニスの足跡
27 第六の本
28 ほぐれる糸
29 急襲!
30 挽歌(レクイエム)
31 アリバイ:マリオンとゾーン
32 アリバイ:マーチバンクス
33 アリバイ:カーモディ
34 アリバイ:トラスク
35 アリバイ:グレイ
36 "時は来た……"
■幕間、そして、読者への挑戦状
■最後の挿話
37 用意!
38 すべての終わり
■解説 名探偵VS全世界の物語 芦辺拓
<フレンチズ・デパート>のショーウィンドウで行われていた電動式家具の実演中、壁とベッドの隙間から銃殺死体が転がり出てきた… 死体はデパートの会長
「サイラス・フレンチ」の妻
「ウィニフレッド・マーチバンクス・フレンチ」であった、、、
すぐに
「クイーン警視」と息子の
「エラリー」が呼ばれ捜査が始まる… 捜査により、実際の犯行現場はショーウィンドウではなくデパート6階にある会長のアパートであること、
「フレンチ夫人」はアパートで誰かと待ち合わせをしていたらしいこと、殺人犯は指紋採取用の粉を使って念入りに自分の指紋を消したことなどが判明する。
さらに、
「フレンチ夫人」のハンドバッグには彼女のものではない口紅が入っており、その中からヘロインと思われる白い粉が発見される… また、
「フレンチ夫人」と前夫
「ヴィンセント・カーモディ」の娘で連れ子の
「バーニス・カーモディ」が行方不明となっており、会長アパートに
「バーニス」の所持品が残っていたことから容疑は彼女に向けられる、、、
様々な証言や状況証拠から
「エラリー」は真相を見破るが、法的に犯人を有罪にできる物的証拠が一つもないため困っていたところ、
「クイーン警視」は、そういうときは
「はったり」を使うのだとアドバイスする…
「エラリー」は捜査で取得した物的証拠を全てテーブルに並べ、そこに関係者を全員集めて自信たっぷりに真相を説明する。
はったりは成功し、関係者の一人としてそれを聞いていた犯人はその場で……… 麻薬ギャングとの知恵比べでしたね、、、
遺体のくちびるには口紅が塗りかけで、所持していた口紅は別なもので、さらにその中からは謎の白い粉が発見される… これを皮切りに、当然持っているはず鍵の行方不明、思わぬところに紛れ込んでいた白い粉、ブックエンドの底に貼られたフェルトの色の食い違い、といった些細な手掛かりから推理を巡らせるという展開と、最終ページで明らかになる真相が印象的な作品でした。
以下、主な登場人物です。
「サイラス・フレンチ」
<フレンチズ・デパート>の取締役会長
「ウィニフレッド・マーチバンクス・フレンチ」
被害者。<フレンチズ・デパート>の取締役会長夫人。サイラスの後妻
「マリオン・フレンチ」
サイラスの娘で連れ子
「バーニス・カーモディ」
ウィニフレッドと前夫の娘で連れ子
「ヴィンセント・カーモディ」
ウィニフレッドの前夫でバーニスの父親。骨董商
「ジョン・グレイ」
<フレンチズ・デパート>の取締役
「A・メルヴィル・トラスク」
<フレンチズ・デパート>の取締役。バーニスの婚約者。
「コーネリアス・ゾーン」
<フレンチズ・デパート>の取締役
「ヒューバート・マーチバンクス」
<フレンチズ・デパート>の取締役。ウィニフレッドの兄。
「アーノルド・マッケンジー」
<フレンチズ・デパート>の店長
「ポール・ラヴリ」
パリから来た家具デザイナー
「ウェストリー・ウィーヴァー」
サイラスの秘書
「ウィリアム・クルーサー」
<フレンチズ・デパート>の探偵主任。探偵たちの指揮を執っている
「ピーター・オフラハーティ」
<フレンチズ・デパート>の夜警主任
「ジェイムズ・スプリンジャー」
<フレンチズ・デパート>の書籍売り場主任
「ダイアナ・ジョンソン」
<フレンチズ・デパート>の店員。死体の発見者。
動くショーウィンドウの実演を担当する黒人
「ホーテンス・アンダーヒル」
フレンチ家の家政婦
「ドリス・キートン」
バーニス付きのメイド
「ソフィア・ゾーン」
コーネリアスの妻
「トマス・ヴェリー」
ニューヨーク警察の部長刑事
「ヘッス」
ニューヨーク警察の刑事
「ピゴット」
ニューヨーク警察の刑事
「フリント」
ニューヨーク警察の刑事
「リッター」
ニューヨーク警察の刑事
「ヘイグストローム」
ニューヨーク警察の刑事
「ジョンソン」
ニューヨーク警察の刑事
「サルヴァトーレ・フィオレッリ」
ニューヨーク警察麻薬課の課長
「サミュエル・プラウティ博士」
主席検死官補
「ヘンリ・サンプスン」
地方検事
「ティモシー・クローニン」
地方検事補
「スコット・ウェルズ」
警察委員長
「リチャード・クイーン」
ニューヨーク警察の警視
「エラリー・クイーン」
クイーン警視の息子。推理小説作家
「ジューナ」
クイーン家の召使

0