「開高健」のエッセイ集
『開高健エッセイ選集 白いページ』を読みました。
「開高健」の作品は、4年前に読んだ
『パニック・裸の王様』以来なので久しぶりですね。
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「純潔無比の倨傲な大岩壁をしぼって液化したかのようである」新潟・銀山平の水を
「飲む」。
200人の部隊のうち17人しか生き残らなかったヴェトナム戦争最前線を回想し
「弔む」。
老釣師から鮎釣りの秘技を
「伝授される」――。
動詞系をタイトルに、あらゆる事象を多元的な視点で捉え、滾々と湧き溢れる言葉で表現していく。
行動する作家が遺した珠玉のエッセイ集。
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月刊総合雑誌
『潮』の1971年(昭和46年)1月号から、1977年(昭和52年)4月号に掲載されたエッセイ
『 白いページ』と
『白い白いページ』を一冊にまとめたエッセイ集… 600ページを超えるボリュームですからね、
「開高健」の世界にどっぷり浸かった感じです。
自ら行動し、知覚し、思索しつつ綴られたエッセイなので、ノンフィクションやルポルタージュの雰囲気が漂っていましたね、、、
飲む、食べる、困る、驚く、狂う、弔む、流れる、学ぶ、遊ぶ、余枝る… 食卓から釣場、戦場まで徹底的に現場主義を貫いた旺盛な探求心、透徹した感性とユーモア溢れる知性、それを等身大の独自の語り口で表現したところが魅力なんでしょうね。
釣りが趣味だったら、もっともっと愉しめたと思いますね… 個人的に印象的だったのは、
『期待しない』の中で描かれているスパイ小説に対する価値観、、、
「ピーナッツ一粒一粒の味が思い出せないように一冊一冊のけじめがつかなくなった、
この種のエンターテインメントはそれでいいのである。
とにかく最後まで読ませてくれるかどうかであって、
読後にストーリーの細部が思いだせなくても構わない。
~中略~
最後まで本をおいて中断せずに読ませてくれるものなら、
たとえ読後に何ひとつとして思いだせなかったところで、
もう十分なのである。
そのこと自体がなかなかの手腕の証左なのであって、
あとは眼をつむってよろしい。」
そうなんですよね… ミステリやSF、時代小説等の大衆小説は、細部は忘れっちゃっていても、最後まで愉しめて、面白かったー と思える作品が極上の作品だと思うんですよね。
この部分にイチバン共感できましたね。

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