オーストラリア出身でイギリス在住の作家
「ケイト・モートン」の長篇ミステリ作品
『忘れられた花園〈上〉〈下〉(原題:The Forgotten Garden)』を読みました。
「ダフネ・デュ・モーリア」の後継者… 21世紀の
「ダフネ・デュ・モーリア」… 等々のキャッチコピーが気になり、読んでみることにした作品です。
-----story-------------
〈上〉
1913年オーストラリアの港にたったひとり取り残されていた少女。
名前もわからない少女をある夫婦が
「ネル」と名付けて育て上げる。
そして2005年、祖母
「ネル」を看取った孫娘
「カサンドラ」は、祖母が英国、コーンウォールにコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。
なぜそのコテージは
「カサンドラ」に遺されたのか?
「ネル」とはいったい誰だったのか?
茨の迷路の先に封印された花園のあるコテージに隠された秘密とは?
〈下〉
祖母から英国コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した孫娘
「カサンドラ」は、祖母
「ネル」の書き残したノートと謎めいた古いお伽噺集を手に英国に渡る。
「ネル」はなぜ遠い地にコテージを買ったのか?
「ネル」はいったい誰だったのか?
今はホテルとなった豪壮なブラックハースト荘、その敷地のはずれ、茨の迷路の先にあるコテージの手入れを進めるうちに、
「カサンドラ」は封印された庭園を見出す。
そしてブラックハースト荘の秘密とは……?
解説=
「川出正樹」
*第3回翻訳ミステリー大賞受賞作
*第1位 第3回 AXNミステリー
「闘うベストテン」(2011年)
*第7位
『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
*第8位
〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
*第9位
『このミステリーがすごい!2012年版』海外編
●数々の書評から
魔力に満ちた一冊――ニューキャッスル・ヘラルド
最後の最後に明かされる真実。驚愕の真相とはまさにこのこと――カーカス・レビュー
読者を別世界に誘う壮大で豪奢な作品――NYデイリー・ニュース
「モートン」は読者を時に驚かし、時に当惑させ、そして徹底して楽しませてくれる――スター・テレグラム
あざやかな筆致、堪能すること間違いなしの作品――デイリー・エクスプレス
「ダフネ・デュ・モーリア」の完璧なまでの後継者――ル・フィガロ
-----------------------
2008年(平成20年)に発表された作品で、
「ケイト・モートン」の長篇第2作目にあたる作品です、、、
舞台はオーストラリアそしてイギリスのロンドンやコーンウォール、時代は1800年代終盤から2005年と、舞台と時代を行きつ戻りつしながら、空間的にも時間的にも大きな広がりをの中で、自らの、そして祖母の出自の謎を解き明かす物語… 面白かったです。
第1次世界大戦前夜の1913年、オーストラリアの港で、ロンドンから着いた船の乗客が去ったあと、たったひとり取り残されていた少女を港の職員が見つけ、自宅に連れ帰ることに… 小さな白いトランクと少女、トランクの中身はわずかな身の回り品と、お伽噺集
『少年少女のための魔法のお伽話集』が一冊、、、
名前も思い出せないらしいこの少女を連れ帰った職員は、妻とふたりで彼女を
「ネル」と名づけて育てることに… その後、妹たちが生まれ、長女として明るく育った
「ネル」が21歳になった夜、父親は彼女に真実を告げる。
「ネル」は、自分が何者であるのかがわからないという驚愕から、心を閉ざし、人が変わったようになってしまう… 時は流れ2005年、祖母
「ネル」を看取った孫娘
「カサンドラ」に、祖母の友人が驚くべき知らせを持ってくる。
「ネル」が彼女にイギリスのコーンウォールにある小さなコテージを遺してくれたというのだ… なぜ、祖母はそんなコテージを持っていたのか? いつ手に入れたのか? 祖母の遺したノートと、かたみの古びたお伽噺集を手に、彼女はコーンウォールを訪れる、、、
コテージは、今はホテルとなった豪壮な館・ブラックハースト荘の敷地のはずれ、崖の上にあった… そして、そこには茨の迷路と、閉ざされ忘れられた花園が……。
「カサンドラ」の祖母
「ネル」はいったい誰だったのか?
「ネル」はブラックハースト荘とどんなつながりがあったのか? 幾重にも重なる謎を解き明かすことはできるのか!?
1880年代から1913年に至る時間内では名門
「マウントラチェット家」にまつわる物語が、主に一族の女主人と娘、そして当主の姪
「イライザ」の視点から描かれ、1975年前後の時間内では
「ネル」によるロンドンとコーンウォールでのルーツ探しが描かれ、2005年前後の時間内では
「ネル」の死後、白トランクは孫
「カサンドラ」へと受け継がれ、彼女は祖母の謎を解くべく渡英して謎を解き明かそうという姿が描かれ… という3つの物語が、1つの物語として編み込まれていく展開が愉しめました、、、
「ネル」が辿り着いた真実…
「カサンドラ」が辿り着いた真実… それは、ちょっとだけ違う部分もあるのですが、読む側は全ての真実が理解できる展開となっており、モヤモヤ感がなくスッキリとした読後感が味わえました。
凶悪な殺人事件やトリックを活用した盗難事件は起きず、自分のルーツを探るという地味なテーマにも関わらず、最初から最後まで読者の興味を惹きつける展開でしたねー
「ネル」は誰と誰の子どもだったのか?
「ネル」の本当の名前は?
誰が何の目的で
「ネル」を屋敷から連れ出したのか?
なぜ、その人物は
「ネル」をオーストラリア行きの船に乗せたあと消えてしまったのか?
なぜ、その後、誰も
「ネル」を捜しにこなかったのか?
全ての謎が解けたときのスッキリ感は、何とも言えませんでしたね… ホントに面白かったです。

0