イギリスの作家
「フランセス・ファイフィールド」の長篇ミステリ作品
『目覚めない女(原題:Deep Sleep)』を読みました。
イギリスの作家の作品が続いていますね。
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ベッドで隣に横たわる妻のめそめそした泣き声を聞きながら、
「ピップ」は怒りと苛立ちを必死に抑え、寝たふりをつづけた。
なぜこの女はセックスで愛を繋ぎとめようとするのだろう。
透けたネグリジェを着ても、こちらの嫌悪感を掻きたてるだけなのに。
彼が心を寄せる人は別にいた。
魅力的な肢体をもつ、天使のような娘。
だが、妻がいるかぎり、彼はその娘の愛を知らずに終わるだろう。
殺意は一瞬のうちに形をとり、鮮明な光景となって脳裡に広がった。
やるならいまだ…。
弁護士
「ヘレン・ウェスト」は事件の報告書に腑に落ちないものを感じた。
健康な中年女性が、原因もなしにある日突然就眠中に死ぬだろうか?
検死では毒物は発見されず、死体を発見した夫
「ピップ」にも不審な点はなかった。
だが、
「ヘレン」の与り知らぬところで
「ピップ」は若い娘への異常な愛を募らせ、自らの欲望を満たそうとしていた。
英国女流の鬼才が放つ英国推理作家協会賞受賞作。
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1991年(平成3年)に発表された弁護士
「ヘレン・ウェスト」と主任警視
「ジェフリー・ベイリー」を主人公としたシリーズの第3作、、、
小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。
クリスマスも近い真冬のロンドン、下町の古風な商店街で薬局を営む
「フィリップ(ピップ)・カールトン」の妻
「マーガレット」が、ある夜、
「ピップ」の留守中に急死した… 地元雄警察は、睡眠中の病死と判断、、、
だが報告を受けた公訴官
「ヘレン・ウェスト」は、その結論に疑問を持った… 故人には、麻酔剤の一種であるクロロフォルムを嗅ぐ習癖があったという。
なぜ好んでそんな薬を使っていたのだろう? この死はどこかが不自然では?
「ヘレン」の恋人のスコットランド・ヤード警視の
「ジェフリー・ベイリー」は、彼女が警察の仕事に干渉するのを快く思わなかったが、やがて彼自身、奇妙な縁からこの事件に巻き込まれていく… 部下の
「ダンカン・ペリー部長刑事」の別居中の妻
「キンバリー(キム)」が、カールトン薬局で働いていたのだ、、、
「ダンカン」は
「キム」を諦めきれず、嫉妬深い監視の目を光らせ、一方、薬局の主人
「ピップ」も、この美しい助手に密かな思いを抱いていた… やがて第二の犠牲者が出て、
「ピップ」と十歳の息子
「トンボー(トム)」の身にも危険が……。
序盤から犯人は、ほぼ特定できており、どのように犯罪(殺害)を成し遂げたのかを推理するのに重点を置いたハウダニットが愉しめる展開… そして、その魔の手が次のターゲットに向けられ危険が迫る中、
「ヘレン」と
「ジェフリー」が、どのように事件を解決するのかというサスペンス性もあり、終盤まで飽きさせずに愉しめる作品でした、、、
本シリーズ、機会があれば、他の作品も読んでみたいですね。
以下、主な登場人物です。
「ヘレン・ウェスト」
弁護士
「ジェフリー・ベイリー」
主任警視
「ダンカン・ペリー」
部長刑事
「キンバリー(キム)・ペリー」
ダンカンの妻
「トンボー(トム)・ペリー」
ダンカンの息子
「フィリップ(ピップ)・カールトン」
薬剤師
「マーガレット・カールトン」
フィリップの妻
「ダニエル・マレイ」
麻薬患者
「ショーン・ヘイゼル」
麻酔医
「ブライアン・レドウッド」
主席公訴官
「ジャック・コリンズ」
警部

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