「京極夏彦」の連作ミステリ中篇集
『百器徒然袋 雨』を読みました。
これまで、冊子が分厚いので避けていた
「京極夏彦」の作品… 初めて読みます。
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「推理はしないんです。彼は」。
知人
「大河内」の奇妙な言葉にひかれて神保町の薔薇十字探偵社を訪れた
「僕」。
気がつけば依頼人の自分まで
「関口」、
「益田」、
「今川」、
「伊佐間」同様
“名探偵”「榎木津礼二郎」の
“下僕”となっていた…。
京極堂をも巻き込んで展開するハチャメチャな妖怪三篇
『鳴釜』『瓶長』『山颪』を収録。
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妖怪探偵小説集、百鬼夜行シリーズの番外編となる3作品を集めた中編集… 同シリーズでは脇役の位置におかれていた登場人物
「榎木津礼二郎」が主人公となり、大暴れして事件を解決(破壊?粉砕?)する物語です。
■鳴釜(なりかま) 薔薇十字探偵の憂鬱
■瓶長(かめおさ) 薔薇十字探偵の鬱憤
■山颪(やまおろし) 薔薇十字探偵の憤慨
■解説――榎木津礼二郎を演じて 阿部寛
「榎木津礼二郎」が快刀乱麻の大暴れ! 不可能状況を打開する力技が炸裂するハチャメチャな展開… 痛快さがたまらない3作品が収録されています。
電機配線の図面引きを生業とする
「僕」は姉の娘
「早苗」が輪姦され、妊娠した事を知る… 告訴しようにも相手は政治高官とその取り巻きの息子達で門前払い、、、
八方塞がりの中、知り合いの
「大河内」から探偵
「榎木津礼二郎」を紹介される… 結果的に通産官僚の汚職脱税事件を解決することになる
『鳴釜(なりかま) 薔薇十字探偵の憂鬱』。
鳴釜事件の礼を言いに薔薇十字探偵社を再び訪れた
「僕」… しかし、
「榎木津」は父親から
「青磁の甕(かめ)」と、ペットの
「亀」を探しだすことを頼まれてご機嫌斜め、、、
憑物落とし
「中禅寺秋彦」が別件で関わっているという
「赤坂の壺屋敷」に
「僕」は独断で向かう… 結果的に茶道具屋の書画骨董贋作事件を解決することになる
『瓶長(かめおさ) 薔薇十字探偵の鬱憤』
紙芝居描きを生業とする幼馴染の
「近藤」から
「新作の参考にしたい」と
「榎木津」への取材を依頼される
「僕」… とりあえず、
「中禅寺秋彦」の元に向かったのだが、彼はかつての事件で関わった僧から自分のいない間に友人の僧に関して不可解な状況が生じていると相談されていた、、、
その上、その人物がいた寺は現在一種の美食倶楽部の会場と化しているらしい… 一方、
「榎木津」は依頼であるペットのヤマアラシ捜索に奔放するうちに寺の一件にたどりつくことになり、結果的に窃盗団による僧侶殺害事件&盗品古美術の売買事件を解決することになる
『山颪(やまおろし) 薔薇十字探偵の憤慨』。
750ページ近いボリュームで持ち歩きには不向きな一冊ですが… リズム感がよく、心地よい展開が愉しめるので、意外とサクサクと読めました、、、
独特の世界観なのですが、軽い感じで入り込みやすく面白く読めました… 他のシリーズ作品も読んでみたいですね。
以下、主な登場人物です。
「僕」
一連の物語の語り部。
常にその場しのぎの名で呼ばれて、本名が出てくるのは巻末になってからである。
淀橋にある電気配線工事会社の職員で、以前は施工をしていたが、
屋根から転落して腰を強打した後遺症により高所作業が難しくなり、
図面引きに転職した。極めて平凡な人物であり、かなり鈍感。
姪の一件を解決してもらう為、怪我で湯治をしていた頃に知り合った大河内の紹介で薔薇十字探偵社を訪れ、
鳴釜事件後も様々な事情から事件に巻き込まれる。
「榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)」
薔薇十字探偵社の天衣無縫な探偵。
他人の記憶が視えるという特殊体質を持ち、世間的には名探偵として知られるが、調査も捜査も推理もしない。
「安和 寅吉(やすかず とらきち)」
薔薇十字探偵社の給仕兼秘書。
通称「和寅」(かずとら)。
「益田 龍一(ますだ りゅういち)」
薔薇十字探偵社の探偵助手。
榎木津の「下僕」の一人で、一般的な探偵業務を担当する。
卑怯が身上で、そのせいか榎木津には酷いあだ名ばかり付けられる。
「中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)」
憑物落としの古本屋。
榎木津の数少ない下僕ではない友人。

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