相互の記念に海雫さんに捧げる短文
CPは高また、シチュエーションはほのぼの
初めて、ある意味、ちゃんとした高またを書いた気がする
ただ、これを「ほのぼの」と呼ぶのか、自分でもはっきりしない
ゴメン、海雫さん
いい感じだったら、また書こう
「晋助さまぁ、待ってくださいっす」
教室の前で待ち伏せをしていた上に衆人環視の前で抱きついてきたので、愛の拳骨を落としてやったのにめげずに追いかけてくるまた子を高杉は普段とは違い、少し疲れきった色が浮かぶ左眼で見る。
目の錯覚か、気から来る疲れか、腕に顔を擦り付けて来る彼女の頭部にピィンと立つ三角の耳、思いっきり丈を短くしたスカートの後ろからは千切れんばかりに振られる白い尾が見えるような・・・
「この前、駅前に出来たオープンカフェ行かないっすか?」
「行かねぇ」
「じゃあ、ボーリング」
「行かねぇ」
煙管から白い煙を昇らせながら、決まったように「NO」を返す彼にまた子はぷぅと頬を膨らませて、自分の靴を取るべく下駄箱へと走る。
「あっ、来島」
「?」
下駄箱の前にはそこそこ親しいクラスメイトが立っていた。
彼はまた子を見て、陰鬱だった表情を明るくした。どうやら、自分を待っていたらしい。
「こ、これ、読んでくれねぇか」
「へ?・・・・・・あっ」
クラスメイトは頬を真っ赤にして彼女に何かを手渡した。
また子はソレの正体を悟って、彼女は耳まで真っ赤にしてしまう。
昇降口の反対側から響いてきた彼女の声に訝しげな表情を浮かべた高杉は足音を殺しながら近付き、後ろ側からかなり強めにまた子の肩を叩いた。
「おい」
「ひゃああ」
素っ頓狂な声をおかしな所から放ったまた子は手に持っていたソレを床に落としてしまう。
「どっから声、出して」
痺れる耳を擦りながら、高杉は床に落ちたソレを拾おうとした。
しかし、慌てて彼女がソレを高杉の指が触れる寸前に素早い動きで拾い上げて、背中に隠してしまう。
「・・・なんだ、それ?」
「な、何でもないっす」
殺気のこもった視線を向けられながら問われた言葉にまた子は真っ青な顔で首を横に振る。クラスメイトも校内一危険と噂される高杉の出現に言葉と顔色を失っている。
また子は踵を返して、クラスメイトと高杉の目の前からいち早く立ち去ろうとしたが、高杉は背を向けた彼女の肩を押さえると猛禽類のような動きで彼女の手からソレ を奪い去る。
「ちょ、晋助さま」
今、高杉が自分から奪い去ったモノ、それはラブレターだった。
「あ、あの」
両目を閉じてうなだれたまた子は出来る事ならば今すぐ、この瞬間にでも消えてしまいたいぐらいだった。
ビリッビリビリ
そんな音に驚いて、目を上げると高杉は不機嫌な顔でラブレターを微塵に破り去り、たまたま近くにあった武市の下駄箱へ丸めた紙屑を突っ込む。
そして、いきなり前置きも予告も無しで、彼女の唇へと自分の唇を押し付けた。
「?!」
唇を濡らす混じりあった唾液を手の甲で拭った高杉は絶句するクラスメイトの襟を掴むと唸るような声で一言。
「こいつぁ、俺の女だ」
彼はまた子の手を掴むと、股間を黄色い液体で濡らしてしまった彼へ背を向けて早足で歩き出す。
また子が状況を飲み込めず、呆然とした表情だった。
「おい、また子」
「な、何っすか?」
「てめぇは俺だけを見てろ、いいな」
「・・・・・はいっす」
また子の顔を見ずにオレ様宣言をした高杉の耳は真っ赤になり、湯気が出ていた。
おまけ
「ラブレターがやぶられたーっすね」
「てめぇは銀時(おっさん)か」
「えへへへ」
「さて、腹減ったな。タコ焼きでも食うか・・・たまには奢ってやる」
「まじっすか?!」
「たまにはな(まぁ、その後、おめぇを美味しく食べれるんだったら安いもんだ)」


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