一日に3回のトークショー
映画をつれあいと一緒に見るというのが我が家の大切なイベントなのだ。
それで、一日3本見るというのも珍しくない。
しかし、その3本の上映時に、いずれにも監督が登場して話をされたというのは初めての経験だった。
ちょうど、神保町シアターの小津安次郎監督特集、NFCの山田洋次監督特集が開催されていて、その合間をぬって、ポレポレ東中野へ駆けつけた。
ポレポレ東中野、朝10時10分、一日1回、12/20まで
「旅する映写機」森田恵子監督
いま映画はフィルムからデジタルにどんどん切り替わっているが、それにともなってデジタルに切り替える費用を出せない小さい劇場はどんどん閉館を余儀なくされている。 かろうじてフィルムでの上映を継続しているところはフィルム映写機をメンテして上映しているのだが、もう日本にはフィルム映写機を作っているメーカーはない。そして、閉館した劇場から、まだやっている劇場へ映写機が譲り渡され旅することになるのだ。 これを追ったこの作品は映画好きにとっては貴重なドキュメンタリーとなっている。1台の映写機しかないときにつかう「流し込み」という技術はどんなものか、それは映画を見てのお楽しみ。
森田監督
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ポレポレ東中野、12:10、14:00、19:00、一日3回、終了未定
「ある精肉店のはなし」纐纈あや監督
大阪の貝塚というところにある北出精肉店は牛を育てて、自ら屠畜し、その肉を売るという仕事を続けてきた。 貝塚には個人商店向けの屠畜場があったが、昨年閉鎖となったという。その最後の屠畜を追いながら、北出精肉店の一家の人たちを描く。すばらしく明るい一家で魅了されるがもちろん、後ろには差別を乗り越えてきた歴史がある。
纐纈監督
纐纈監督は屠畜場が閉じてしまうというニュースを聞いて、とりあえず見学会に出かけて行ったという。その時は映画にしようとは思っていなかった。屠畜の現場で、牛が実際に殺されるのだが、残酷とかそういう感情は一切湧かなかったという。 人間が一対一で牛と対峙してその命をいただいて、棄てるところがまったくなしにすべて使い役立てるという凄い仕事なのだと思ったという。
無機質なオートメーションで牛をさばいていくのではなく、人が命がけで、牛の命をもらっていくというのはどういうことなのか、この映画をみるとよくわかる。
牛の皮は岸和田のタイコにもなるのだ。
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東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)、以下の作品は次回は1/19 5pm
「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」山田洋次監督
12月3日から始まった山田監督の特集では1日3本、計54本の作品を1月22日まで上映する。「男はつらいよ」シリーズも自薦の20本を上映する。
山田監督は初日の12月3日にもトークをされたが、この13日は2回目で、急に挨拶が決まったようだった。挨拶後一緒に映画を鑑賞された。
太地喜和子さんがマドンナで登場するこの作品では寅さんの藝術観というものがでてくる。芸術家にふんする宇野重吉さんと寺尾聰さんの共演もあり、なによりあの岡田嘉子さんの姿が見える。
山田さんの好きな作品だそうで、寅さんシリーズのベスト3に入る一本と言っておられた。
みて確かにそう思った。
山田監督


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